不動産投資コラム

不動産投資はメリットが多い?デメリットと対策も含め解説

不動産投資はメリットが多い?デメリットと対策も含め解説

不動産投資が人気である理由の一つとして、「ミドルリスク・ミドルリターン」の投資という点が挙げられます。ただし、メリットとデメリットをしっかりと把握しておかないと、「ハイリスク・ローリターン」になる可能性も十分にあります。
まずは不動産投資のメリットとデメリットを理解したうえで、ご自身にあった投資手段なのかを検討してみてください。

不動産投資のメリット

まずは、不動産投資のメリットについて確認してみましょう。

少ない自己資金で高額の投資ができる

収益不動産の購入時に、金融機関から借入をすることができます。借入を活用して自己資金よりも大きな金額の投資を行うことを「レバレッジ」と言います。不動産投資は他の投資と異なり、融資期間によっては10年や20年といった長期間にわたってレバレッジを利かせた投資を行うことができます。

ローンを他人資金で返済できる

不動産投資においては、入居者からの家賃収入を金融機関から借入れたローンの返済に充てます。つまり、ご自身が働いて得た収入を使うことなくローンの返済ができるため、他の投資にはない魅力的なメリットと言えるでしょう。

時間や手間を節約できる

忙しい方、サラリーマンとして本業がある方でも、建物の維持管理や入居者対応などを管理会社に委託すれば、本業にほとんど支障をきたすことなく運営可能です。言い方を変えると、ある程度ほったらかしにできるということです。もちろん、入居者の入れ替わりや、原状回復修繕時には、管理会社と連絡を取りあうことが必要になりますが、電話やメールで対応可能です。

資産価値が急落しにくい

市況の変化や建物の老朽化により、物件価格が下落することはありますが、株式投資のように価値が急落したり、ゼロやマイナスになったりすることはまずありません。また、建物が老朽化したら修繕やリフォームすることで価値を維持したり、上げたりすることができるなど、資産価値をある程度コントロールできる点も不動産投資ならではのメリットです。

将来に向けた安定的な資産形成が可能

テナントからの収入(家賃等)という毎月安定的に得られる収益が不動産投資の大きな魅力です。物件の種別ごとに収入の増減の景気弾力性等若干の違いはありますが、基本的に不動産は比較的安定したテナント収入が入ってきます。もちろん、賃貸ニーズの旺盛なエリアの物件を選ぶ必要がありますが、中長期的に安定したテナントからの収入を得られ、売却すれば売却益を得ることもできるため、将来に向けた資産形成に大いに役立つと言えます。

結果的に納税額が少なくなる場合もある

個人の不動産所得の場合、給与所得と損益通算をすると所得税が還付となることが比較的多いです。このように結果的に納税額が縮小するケースが多いことも、株式投資等の他の投資と比較した場合の不動産投資のメリットでしょう。

不動産投資のデメリット

次に、不動産投資のデメリットについて確認してみましょう。それぞれのデメリットに対するリスク回避策にも触れていますので、不動産投資を始める際のご参考になればと思います。

幅広い分野の知識が必要

不動産投資はいわば不動産“経営”であり、不動産をはじめ、金融、税務などの幅広い知識が必要になります。特に物件を選ぶときは、不動産投資の正しい知識をもとに慎重に収支シミュレーションを行わなければ、キャッシュフローが回らなくなる、購入価格よりも大幅に安価で売却せざるを得なくなるなど、不動産投資に失敗してしまうリスクが高まります。また、不動産会社や金融機関などとの交渉が必要になりますので、知識がないと交渉が不利に進んでしまう可能性があります。

セミナーに参加したり、書籍を読んだりすることで知識を得ることができます。とはいえ、最初から幅広い知識を完璧に習得することは困難です。不動産投資の基礎知識を身につけたうえで、経験を積みながら理解を深めていくと良いでしょう。不動産投資経験者の話を聞いたり、信頼できる不動産仲介会社に相談にのってもらったりするのも良いと思います。

自力で全て行うことはかなり困難

前述の通り、幅広い分野の知識が必要になりますが、知識を得ても全て自力で行うことは非常に困難です。自力で売主や買主を見つけて売買交渉をするのは至難の業です。税金の計算処理も非常に複雑で、損益計算書にて、細かく計算する必要があります。所得税率は5%~45%、法人税などの実効税率は21%~33%となり、同じ物件であっても購入名義や経営の仕方で納税額が異なってきます。

不動産仲介会社や税理士などの専門家に援助してもらうのが近道です。最初はルートがないかもしれませんし、問い合わせするのは少々ハードルが高そうですが、親身になって相談にのってくれる先を見つけることが、今後の不動産投資に大きく役立ちます。

投資資金の回収に時間がかかる

安く物件を仕入れて、すぐに高く売り抜けるように、短期的に収益を狙うことも可能ではありますが、かなりハードルが高く、本業があるサラリーマンでは難しいものです。株式投資などと比べると、収益不動産は流動性が低く、すぐに売却できるとは限らないことが一因です。仮に売却に出してすぐ売れたとしても、現金化するまでには時間がかかります。売却したくても買い手が現れず、売るに売れないこともあります。ある程度、投資資金の回収には中長期の期間が必要なことを念頭におきましょう。

比較的購入希望者の多い都心部で不動産投資を行うことで、ある程度回避できます。

収入減少リスクがある

空室が発生してしまうとテナント収入が減少し、ローンの支払いがある場合、月々の収支が赤字となる可能性もあります。特に、戸建てや区分マンションの投資は、空室になると一気に家賃収入がゼロになるため返済が苦しくなります。空室が長期にわたる場合、入居促進のために募集家賃を下げるケースもあり、収益の悪化にも繋がります。

空室が出にくい物件を選ぶことが第一ですが、もし空室が多くなったときには、不動産管理会社や専門家(空室対策コンサルティング事業者など)に相談して対策をとることで回避できます。

支出増加リスクがある

建物の老朽化に伴う修繕費用やリフォーム費用、金利上昇に伴い支出が増加するケースがあります。想定よりも支出が増えてしまうと、赤字運用となってしまうこともあります。

修繕費用は工夫次第で抑えることが可能ですし、もし想定より支出が多くなってしまっても、経費計上できますのである程度はリカバリが可能です。仮に支出が膨らみ赤字となってしまっても、他の所得と損益通算ができ、1年で引ききれない分は3年間繰越控除も可能です。ただし、納税額を減らせるからと赤字運用を続けることは避けるべきです。物件購入のときに、支出をしっかりと想定した収支シミュレーションを行うことが重要です。

災害リスクがある

地震や台風、火災などで物件が損壊してしまうと家賃収入が得られない上、多額の修繕費がかかってしまいます。最悪の場合は建替えになってしまうケースもあります。

ハザードマップを確認し、災害の影響を受けにくいエリアの物件を選ぶこと、また火災保険などに加入しておくことで、ある程度の対策を施すことは可能ですが、すべての災害リスクを完全に回避することは困難です。現物資産である不動産ですので、このリスクは念頭に入れておきましょう。

不動産投資を検討したいがまだ一歩踏み出せない方は、以下の記事もぜひご覧ください。
不動産投資とは?【初心者向け】仕組みや、メリット・デメリットを解説

まとめ

ここまでで、不動産投資における、メリット、デメリットの両方をお伝えしてきました。デメリットについては、ある程度対策をとることで、リスク回避することができます。必要に応じて専門家の力も借りながら不動産投資を進めていってほしいと思います。

萱谷有香叶税理士法人 東京事務所代表

不動産投資に特化した税理士事務所で働きながら収益物件について税務と投資の面で多くの知識を得られたことを活かし、自らも不動産投資を手がけている。不動産投資の規模を拡大していくための金融機関からの融資についても積極的に紹介やアドバイスを行う。著書『減価償却節税バイブル』( 技術評論社)
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