不動産投資コラム

オーナーチェンジ物件とは?不動産投資初心者に人気の理由、注意点を解説!

オーナーチェンジ物件とは?不動産投資初心者に人気の理由、注意点を解説!

不動産投資を考えたことのある方なら、オーナーチェンジ物件に興味のある方は多いことでしょう。しかしオーナーチェンジ物件の売買には、居住用の物件とは異なる点も多く、正しい知識を持たないまま、投資に挑むのは危険です。そこでこの記事では、不動産投資の入門用としてオーナーチェンジ物件を特におすすめする理由や、見えないリスクについて解説していきます。

オーナーチェンジ物件とは?

オーナーチェンジ物件とは、賃借人が入居した状態で売りに出されている収益不動産のことです。売買手順は通常の物件売買とほぼ変らず、売買が成立した場合、賃貸契約条件は原則としてすべて踏襲されます。

収入があるのにオーナーチェンジする3つの理由

家賃収入があるのに、投資・収益物件をなぜ売るのでしょうか?主に次の3つの理由があります。

1. 売却に適した時期だった

売却相場が高い、もしくはライバル物件が少なく売りやすいなど、売買市場の好機が挙げられます。
それ以外にも、オーナーがマイホームを購入するので借入金額を減らしたい、もしくは節税対策に、売却して損益を確定したい、などの理由の場合もあります。

2. まとまった資金が必要になった

急に手元に資金が必要になり、現金化する場合があります。

3. 他の物件に買い替えるため

投資の方針が変わった場合などに、資産内容を組み替えるために売却することがあります。

オーナーチェンジ物件で引き継ぐ権利と義務は?

オーナーチェンジをしても、前オーナーと入居者が交わした賃貸借契約の内容や、権利義務は原則としてそのまま引き継がれます。

新オーナーへ引き継がれる賃貸借契約上の権利の例

  • テナントから家賃を受けとる
  • 賃貸借契約が終了時に建物を明け渡してもらう
  • 明け渡してもらう際には賃貸時のもとの状態に戻してもらう

新オーナーへ引き継がれる賃貸借契約上の義務の例

  • 家賃の対価として建物を使用させる
  • 賃貸設備が劣化すれば修繕する
  • 契約終了時に預かり金(敷金など)を返還する

なお、購入した物件であっても、賃貸人(入居者)に対する契約更新の拒絶をするには、借地借家法第28条に示された「正当な事由」が必要です。「自分が住みたい」という理由でオーナーチェンジ物件を購入する場合には、注意が必要です。

ちなみに、立ち退きや契約更新の拒絶が認められるためには、以下のような明白な理由かつ双方の合意が必要です。

  • 賃借人の素行があまりにひどい
  • 建物の老朽化で倒壊する可能性が高い
  • オーナーが提示した立ち退きの条件に賃借人が合意した

改正民法による変更点とは

2020年4月1日から、旧民法にはなかった賃貸借契約に関するルールが下記のように定義されました。

  • 要求しても賃貸人が必要な修繕をしない、もしくは緊急なら、賃借人が修繕を手配して実費を請求できる
  • 新オーナーが賃借人へ適法に家賃を請求するには、不動産登記名義が書き換わっていなければならない
  • 通常使用の損耗や経年で自然に劣化した部分には原状回復義務はなく、現況のままで引き渡せば良い
  • 敷金は、契約の範囲内で賃借人が支払うべき金銭を担保するためにあり、債権を相殺した残額を返還する

オーナーチェンジ物件のメリット

オーナーチェンジ物件は、不動産投資入門者が初めて購入する物件としてメリットが多いと言われています。具体的に3つの例を挙げて説明します。

相場価格よりも安い場合がある

前項で説明したように、契約の更新に制限があるため自分では住めない場合が多く、居住用物件の相場よりも安い場合があります。特に、現金化や投資先変更で売却を急いでいる場合、大幅に安くなることもあるのです。

また、次の入居者入れ替え時まで、リフォーム費用や募集費用が要らない点もメリットといえます。

賃貸借契約中の入居者から家賃収入が入る

物件のリフォームなど初期投資や、入居者募集の手間や費用を掛けることなく、すぐに家賃収入を得られることは大きなメリットです。不動産事業に慣れていない方にとっても、ストレスが少なく安心です。

家賃収入が分かり投資計画が立てやすい

オーナーチェンジ物件は、投資計画が立てやすく、銀行の融資にも有利な傾向にあります。
銀行は融資審査で貸付額に無理がないかを、人物査定(債務者の属性・収入や資産額など)と物件審査(不動産の適法性・資産性)も含め審査します。

すでに家賃収入があり、運営経費の実績もあるオーナーチェンジ物件は、融資審査が通りやすいのです。

オーナーチェンジ物件のデメリット

次にオーナーチェンジ物件を購入する際のデメリットについて説明します。オーナーチェンジ物件には、売主からの告知や覚書がなければ分からないことが多いなど、注意すべき点もあります。

入居者と契約の変更が容易にできない

オーナーチェンジ物件では、原則として賃貸条件をそのまま引き継ぐことになっており、家賃や他の条件は簡単には変えられません。
例えば、借地借家法第32条の規定では、家賃改定には少なくとも下記の要件が必要とされています。

  • 税金や運営コストが大きく変動した
  • 不動産売買価格が大きく変動した
  • 近隣家賃相場との差が大きくなった

つまり、契約変更がやむをえないと思える状況と双方の同意がない限り、一方的な契約条件の変更はできないのです。

室内の住宅設備の現状把握ができない

入居者がいると内覧ができず、住宅設備の状況は売主の告知を信じるしかありません。室内写真や修繕履歴などの情報は、設備の不具合予測に効果があるため、できる限り入手しましょう。

入居者対応の経緯などを事前に把握できない

過去の家賃滞納履歴やクレームなども、売主からの告知がなければ分かりません。入居者を選べないことはリスクのひとつだと言えます。

良いオーナーチェンジ物件選びのポイント

優良なオーナーチェンジ物件に出会うためには、どのような情報を入手すべきでしょうか。見過ごしがちなポイントについて解説します。

できる限り情報を集める

オーナーチェンジ物件の購入にあたり、優良物件を見分けるために下表にある情報を入手しましょう。

知るべき情報摘要
入居者の契約情報 入居時期・年齢・属性から結婚・異動・転勤などライフサイクルを予測
現地で分かる環境 外観・日影・眺望・騒音臭気・嫌悪施設・常夜灯など賃貸募集条件に影響する周辺環境
入金と対応履歴 滞納履歴や要望・クレームに対する対応履歴や覚書の有無、またその内容
売却したい理由 現金化・資産組み替え・引越し・ローン返済が困難など本当の売却理由
修繕履歴と懸念箇所 住宅設備の耐用年数と修繕履歴から今後の改修予測と予算化
近隣の家賃相場 家賃改定の可能性や入れ替え時の利回り変動を予測
敷金など預り金額 退去時に返金すべき最大金額
契約不適合責任の期間 主要構造物の不具合や無告知の不具合に関する補償の把握

なお、これらのすべて情報が購入前に必ず得られるわけではありませんのでご注意ください。

安過ぎるオーナーチェンジ物件のリスク

相場より大幅に安い物件の場合、下記のようなリスクを抱えているかもしれません。

  • 周辺の家賃や売却相場が下落しはじめた
  • 物件や周囲の物件で嫌悪事件があった
  • 入居者と揉めていて解決することが難しい
  • 売主でない者が勝手に売却を進めている
  • 高額家賃で契約し優良物件に見せている

今後家賃や物件価格が下落したり、借り手がつきにくくなったりする可能性もあるため、注意が必要です。

信頼できる不動産会社から購入する

投資用不動産は居住用不動産とは性質が異なり、特殊なルートやコミュニティから情報を入手できる場合があります。優良情報に思える物件でも、鵜吞みにせず、確かな情報なのかをしっかりと確認、検証することが必要です。不動産投資の経験が浅いうちは、仲介手数料が安くなるからと安易に知人の不動産会社に依頼せず、投資用不動産の取引に特化した知識・経験・業界ネットワークが豊富な不動産会社にサポートを求めましょう。

オーナーチェンジで売りやすい物件・売りにくい物件

売りやすい物件と売りにくい(売れない)物件の特徴は下記の通りです。

オーナーチェンジで売りやすい物件

  • 好立地で築年数が浅く借り手がつきやすい
  • 入居時期が浅く相場並みの家賃で高利回り
  • ライバル物件が少ない時期の売り物件
  • 立地・外観・眺望・仕様などが希少
  • エリアのランドマークなど有名な物件

オーナーチェンジで売りにくい(売れない)物件

  • 駅から遠く買物が不便など、賃貸ニーズがない
  • 間取りが悪い・設備が古い・防犯対策が甘い
  • 眺望や日当たり・雰囲気など生活環境が悪い
  • 高額の修繕工事がこれから予定されている

借り手のつきやすさ、希少価値や利回りの将来性を考慮すれば想像しやすいでしょう。

オーナーチェンジ物件こそ投資初心者におすすめ

投資不動産の収益の最大化にとって、資料の数字で判断できる問題よりも、表面に現れないリスクをいかに汲み取るかが、重要です。
一方で、不動産オーナーには快適な居住環境を提供する絶対的な義務があり、それを達成してはじめて対価が与えられるというマインドを忘れてはなりません。その理念を胸に良い投資活動をするためにも、投資不動産を専門にあつかう知識と経験が豊富な不動産会社をお選びください。

柴田 敏雄
柴田 敏雄

柴田 敏雄宅地建物取引士、管理業務主任者

司法書士事務所に2年、大手不動産管理会社に5年、個人顧客を中心に不動産賃貸・売買の仲介営業会社に7年間従事。また、外資系金融機関にも2年間従事し個人顧客へ金融資産形成や相続税の節税アドバイスなどを担当。現在は不動産/金融業界での経験を活かし、記事の執筆にもあたっている。

 

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