インターネットで契約まで完了できる住宅ローン商品が増加中!?
2020年08月05日
いまや多くの人が当たり前のようにスマートフォン(以下スマホ)を利用していると思います。Apple社の初代iPhoneの発売は2007年6月。Google社のAndroid搭載スマホの発売は2008年10月でした。ここ10年強のIT技術が進歩はすさまじいものを感じます。
スマホなどの端末の進化もさることながら、インターネットの通信環境の進歩もあり、これまでアナログでしかできなかったことが、どんどんインターネットで完結できるようになっていきました。金融機関も例外ではなく、「インターネット専業銀行(以下ネット銀行)」や「インターネット証券会社(以下ネット証券)」などと呼ばれるような金融機関が登場し、店舗を持たずに金融商品やサービスを提供するところが増えていきました。
とはいえ、住宅ローンの申込み手続きのように、本人確認書類(運転免許証やパスポート)、収入を証明する書類(源泉徴収票や確定申告書、納税証明書)、不動産売買契約書、重要事項説明書などのやり取りや、住宅ローンの契約(金銭消費貸借契約)については、対面でないとできないケースが一般的でした。
ところが最近では、住宅ローンの申込みから契約までのすべての手続きをインターネットで完結できるようにしている金融機関等が増えてきたのです。自宅にいながら、または仕事のすき間時間などに、住宅ローンの申込みから契約まで終わってしまうのは非常に便利だといえるでしょう。
金融機関等によっては、必要書類などを郵送したり、契約時に電話したりすることが必要なケースもありますが、書類の送付もインターネット経由のアップロードで済むケースや、契約時も電子署名で印鑑が不要なケースなど、完全にインターネットのみで申込みから契約まで終わる金融機関等もあります。
●店舗に行かなくても手続きを完了できる住宅ローン商品を取り扱う主な金融機関等
住信SBIネット銀行 | ネット銀行大手。申込みはインターネットと郵送で手続き完結。店舗で申込むタイプもある。 |
ジャパンネット銀行 | 2000年9月設立。ネット銀行の草分け的な存在(国内1番目のネット銀行)。変動金利で年0.38%は業界最低水準(2020年7月時点)。 |
auじぶん銀行 | KDDIと三菱UFJ銀行が共同で設立したネッ銀行。電気サービス「じぶんでんき」の利用者に対する金利の引下げも行う。 |
ARUHI(アルヒ(株)) | 日本最大手の住宅ローン専門金融機関。旧SBIモーゲージ。口座開設は不要。店舗で申込むタイプもある。 |
楽天銀行 | 旧イーバンク銀行(国内2番目のネット銀行)。申込みはネットと郵送で手続き完結。新規の借入れで楽天ポイントも。 |
イオン銀行 | 申込書類は郵送またはアップロードで手続き完結。全国110店舗以上とコールセンターともに365日年中無休。 |
ソニー銀行 | 申込みはネットと郵送で手続き完結。東京メトロ銀座駅直結の「CONSULTING PLAZA」で個別相談も可能(完全予約制)。 |
新生銀行 | 1998年に日本長期信用銀行が破綻、2000年に新生銀行に改称。申込みはネットと郵送で手続き完結。店舗での申込みも可能。 |
三菱UFJ銀行 | 「ネット専用住宅ローン」なら手続きがネットで完結。記入や郵送は不要、電子署名なので印鑑も不要。金利も通常より低め。 |
みずほ銀行 | 「ネット住宅ローン」なら通常よりも金利が低めで、手続はネットで完結。AI事前診断によって最短1分で借入可能性がわかる。 |
三井住友銀行 | 「WEB申込専用住宅ローン」は「住宅ローン審査申込アプリ」から申し込むタイプ。契約は、郵送、電話、または窓口で対応。 |
この表にあるように、いわゆる「ネット銀行」が中心ではありますが、3大メガバンクも最近になってインターネット専用の住宅ローン商品を作り、インターネットで申込みが完結するようにしています。従来からある店舗で申込む住宅ローン商品よりも金利を低くし、インターネットで完結する利便性と金利面での優位性をアピールしています。
なお、表に載っている金融機関等以外にも、地方銀行の一部では、インターネット支店などのようにインターネット上に支店を作っているところがあります。そのインターネット支店であれば、ネットのみで住宅ローンの申込みが可能なところもあります。
ちなみに、電子署名などの電子契約で済む場合は、収入印紙の貼付・消印が不要になりますし、署名捺印も不要です。何度も自筆で記入しなくていいということや、印紙代が浮くというのもメリットと言えるでしょう。
ただし、ネットで完結する住宅ローン商品の場合は、勤務先と金融機関との関係(勤務先企業がメインバンクにしているなど)による優遇は受けられないのが通常です。場合によっては、ネット銀行よりも有利な条件で住宅ローンが組めるケースもあるかもしれないので、勤務先や金融機関に問い合わせてみるとよいでしょう。
また、何かあったときに相談できるように、コールセンターや店舗があったほうが安心できるという人は、それらの存在も事前に確認してから申し込みを検討するとよいでしょう。金融機関等によって多少なりともサービス内容や対応が異なりますので、比較検討が重要です。
まずは金利面や手数料・保証料等の住宅ローン商品そのものの比較検討のほうが重要ですので、それをお忘れなく。
ファイナンシャル・プランナー(CFP、1級FP技能士)、1級DCプランナー、住宅ローンアドバイザー
1969年東京生まれ。早稲田大学法学部卒業後、山一證券に入社し支店営業を経験。山一證券自主廃業後、独立系FPに。以後20年以上にわたり、資産運用や住宅ローンを中心とした相談、執筆、講師業に従事。2000年以降の講演回数は4,000回を突破!(2020年2月現在)。近著には「お金を貯めていくときに大切なことがズバリわかる本」(すばる舎リンケージ)がある。
連載バックナンバーFP菱田雅生が伝授!住宅ローン、賢く利用するためのコツ
- 2021/02/10
- 2021/01/20
- 2020/12/17
- 2020/11/25
- 2020/10/22
本コラムは、執筆者の知識や経験に基づいた解説を中心に、分かりやすい情報を提供するよう努めております。掲載内容については執筆時点の税制や法律に基づいて記載しているもので、弊社が保証するものではございません。
住宅ローン新着コラム
-
毎月の返済額、返済総額、借り換え、賃貸とマイホームの比較、
繰上げ返済額をシミュレート。
住宅ローンの知識
提供:イー・ローン
2024年11月05日 現在
提供:イー・ローン