住宅ローンの「借り換え」は何回やってもいい!?
2020年09月02日
住宅ローンの返済窓口である金融機関を乗り換える「借り換え」。この借り換えは、回数の制限はありません。効果が上がるのであれば、何度でもチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
2020年8月現在の住宅ローン金利の水準は、変動金利型で年0.5%を切る水準のところもありますし、フラット35などの固定金利型でも年1%前後といった水準です。この現在の金利水準は、過去最低の水準にあると言ってもいい状態です。これからも金利が下がっていく可能性はありますが、下がる余地はかなり小さくなっていると言えるでしょう。
現在住宅ローンを返済中の人は、是非とも借り換えを検討してみるといいでしょう。利息の軽減効果が期待できるかもしれません。また、過去に借り換えを実行したことがある人も、2回目、3回目の借り換えを検討してみてください。効果が上がるなら実行することをお勧めします。
5年前の2015年ごろの金利水準は、変動金利型で年1%を切る水準、固定金利型で年1%台後半といったところ。10年前の2010年までさかのぼると、変動金利型で年1%ちょっと、固定金利型では年2%台半ばといった水準でした。
仮に適用金利を0.5%や1%引き下げることができるとすると、利息の軽減効果はどのくらいになるのか。計算してみると、下表のようになります。
残りの総返済額が少なくなる金額(=利息の軽減効果)は、現在の住宅ローン残高や、残りの返済期間、適用金利によって異なりますが、住宅ローン残高2,000万円で適用金利が1%下がると300万円近く、0.5%下がるだけでも200万円近い差になるというのは大きいと言えるでしょう。
返済先の金融機関を乗り換えるだけでこれだけの効果が得られるわけですから、借り換えしない手はありません。
ただし、住宅ローンの借り換えを実行するには、諸経費がかかります。印紙税や登録免許税などの金融機関による違いがない費用もありますが、事務手数料や保証料などの金融機関によって異なる費用もあります。借り換えの諸経費の合計金額は、安い場合で20~30万円、高い場合で70~80万円にもなることがあります。事前に確認して、比較検討することが大切です。
金融機関の立場に立ってみると、借り換えであったとしても、新規の住宅ローンの融資が実行できることになります。その後さらに借り換えをされない限り、返済終了までの利息収入を得られることになります。
借り換えについては、複数の金融機関に相談に行き、借り換えの試算をしてもらうことが重要です。これに合わせて諸経費がいくらかかるのかも、きちんと計算してもらうとよいでしょう。
そのうえで、諸経費を上回る効果が得られるのであれば、借り換えを行ってもよいと思います。借り換えは何度行っても大丈夫です。そもそも借り換えの効果が得られるということは、あまりおトクではない住宅ローンを返している証拠なのですから、借り換え効果が得られなくなるまで借り換えを実行したほうがよいでしょう。
なお、現在変動金利型を利用している人は、借り換えによってどれだけの利息軽減効果が得られるのかを正確に計算することができません。それは、将来の適用金利がどうなるかわからないからです。
とはいえ、今後も変動金利型で返済を続けようと思っていたのであれば、同じ変動金利型で適用金利の低い金融機関があるなら、借り換えを検討することをお勧めします。諸経費がよほど高額でない限り、適用金利の引き下げ効果は大きいと思われるので、検討に値するでしょう。
ちなみに、借り換えの効果をより大きくしたい場合は、手元にある資金を使って、借り換えと同時に繰り上げ返済をするなど、借り換え後の住宅ローンの残り返済期間を1年でもいいので可能な限り短くするといった方法も検討しましょう。
例えば、<例1>の借り換えの際に、毎月返済額をこれまでと同様の金額(87,722円)になるように返済期間を短くすると、残りの返済期間を22年へと3年も短縮することができ、利息の軽減効果もさらに40万円ほど大きくすることができます。
つまり、毎月返済額はそのままで、残りの返済期間を3年短縮でき、利息の軽減効果は合計330万円程度まで引き上げられます。諸経費が30万円程度なら、300万円の差が出ることになります。
住宅ローンは一度組んだら終わりではありません。定期的に、もっと有利な返済方法はないかと模索してくことが重要です。それが将来の家計にとっても大きなプラスになります。これを機会に住宅ローンの見直しをしてみてはいかがでしょうか。
ファイナンシャル・プランナー(CFP、1級FP技能士)、1級DCプランナー、住宅ローンアドバイザー
1969年東京生まれ。早稲田大学法学部卒業後、山一證券に入社し支店営業を経験。山一證券自主廃業後、独立系FPに。以後20年以上にわたり、資産運用や住宅ローンを中心とした相談、執筆、講師業に従事。2000年以降の講演回数は4,000回を突破!(2020年2月現在)。近著には「お金を貯めていくときに大切なことがズバリわかる本」(すばる舎リンケージ)がある。
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