不動産投資コラム

これだけは知っておきたい!アパ-ト・マンション経営の注意点とは?

これだけは知っておきたい!アパ-ト・マンション経営の注意点とは?

こんにちは。今回から「ノムコム・プロ」の不動産投資コラムを担当することになった税理士の「村岡清樹」です。野村不動産アーバンネットが開催するセミナーの講師も務めておりますので、もしかしたら私の名前をご存じの方もいらっしゃるかもしれませんね。
普段は不動産税務を専門に活動をしていることもあり、アパート経営をはじめようという方から数多くのご相談をいただいております。
このコラムでは、これからアパ-ト・マンションの賃貸経営をはじめる方へメリットや注意点などについて判り易く説明していきます。

アパ-ト・マンション経営が、インフレ、デフレ対策になるのはなぜ?

まず、なぜアパート・マンション経営がインフレ、デフレ対策になるのかをご説明します。

インフレとは、「インフレーション」の略で、物の価値が上がり、お金の価値が下がっている状態です。要因のひとつとして好景気があります。物がよく売れると需要が供給を上回り、物の価値が高騰していきます。会社も利益が出て、その結果給与も上がり、なんだか好景気な感じもします。

ただし、景気がそれほど良くないのに、これまで100円で買えていた品物が急に1,000円払わないと買えないほどに物価が上昇したとすれば大変ですね。過度なインフレは良いとはいえません。

デフレとは、「デフレーション」の略です。インフレとは逆に、物の価値が下がり、お金の価値が上がっている状態です。例えば1,000円で売られていた品物が100円で買えるようになってくるのがデフレです。

日本は景気が悪い状態がかなり長い間続いているので、「デフレ」と感じます。デフレの原因は、物やサービスが売れなり、安くしないと売れないことが原因です。会社も利益が出ず、給与も下がり、景気は後退しやすくなります。

ここに興味深い資料があります。

消費者物価指数※1市街地価格指数※2家賃指数※1
昭和55年(1980年) 100 100 100
昭和60年(1985年) 114 137 117
平成12年(2000年) 133 165 154
平成20年(2008年) 132 117 146
平成22年(2010年) 129 109 142
平成25年(2013年) 129 100 141
平成27年(2015年) 134 98 141
平成28年(2016年) 134 98 141

※1資料 総務省統計局「消費者物価指数」(昭和55年を100として再計算、独自の試算を含みます)
※2資料(財)日本不動産研究所「全国市街地価格指数(住宅地)」(各年3月の指数、昭和55年を100として再計算)

昭和55年を100とした場合の各年の消費者物価指数、市街地価格指数(土地価格指数)、家賃指数を比較したものです。昭和60年はバブル経済前を指します。

この資料では市街地価格指数が昭和55年当時の100から平成28年の98とほほ同じ水準であるのに対して、消費者物価指数はデフレ(物の価値が下がり、お金の価値が上がっている状態)といわれながらも100から134に上昇していることがわかります。その一方で、土地の価格(市街地価格指数)は昭和55年の水準まで下がったことになります。

家賃の水準はどうでしょう。家賃水準は昭和55年当時と比較すると消費者物価と同様に上昇しています。ここに不動産賃貸の強さを見ることができます。家賃が堅調に上昇しているということは、アパ-ト・マンション経営による不動産の有効活用は、消費者物価の上昇に耐えうる、インフレ対策であると言えるでしょう。

また、家賃は本来大幅な下落がないため、アパート、マンション経営は、土地価格の下落にも耐えうるデフレ対策であるとも言えます。

土地の下落に嘆いている方がいますが、土地は健全な価格に戻ってきています。家賃の上昇に反比例し土地価格が下がったと言うことは投資利回りの上昇を指します。

また昭和55年以前に土地をもっている方にとっては健全な土地価格に戻ったことは歓迎すべきことです。不動産投資で、「土地建物の値上がり益」から、「家賃収入の利回り」に着目しはじめたことは、当然の流れと言えるでしょう。

アパート・マンション経営は消費者物価の上昇に耐え、土地価格の下落に耐える、インフレ・デフレ対策になっているのです。土地価格は今プラスに働こうとしています。景気の回復は、いずれ土地価格を上昇させ、場合によっては消費者物価以上の上昇率になるかもしれません。

ですが、このようなインフレのときに乗り遅れず、デフレのときはこれに耐えることができれば、アパート・マンション経営は、景気の動向に左右されにくい、非常に堅実な事業だと言えます。

アパ-ト・マンション経営を始めるときの注意点とは?

◆今、重視するべきは「収益性」
かつて、アパート・マンション経営といえば、地主さんが相続税・固定資産税を抑えるために行うのが一般的でした。
税金対策に目を奪われるあまり、「収益」については、二の次になっていたのが現実でした。
また、賃貸物件が少ない時代には、大家さんの立場が強いこともあり、「借り手」への配慮が足りなかったと言えます。

ところが、昨今では空き家対策も社会問題視されています。空き家が増えて、物件同士の競争が激しくなれば、「借り手」への配慮が足りない賃貸住宅は当然「空室」となってしまいます。これからの賃貸経営では、「税金対策」の意識を捨て、「借りて=大切なお客様=収益につながる」という考えに転換できなければ、厳しくなっていくでしょう。

これはある意味、会社経営に通じるものがあります。会社の経営者は資金と人材を投入して「収益」を上げることに日々努力しています。賃貸経営はどんなに安くても何千万円、場合によっては何億円もの資金を投入し、それを何十年の長期間にわたり回収していく立派な事業です。

このような投資をする前に十分なリスク分析せず、ただ他人任せにしていたのでは、いい結果がもたらされるはずはありません。アパ-ト・マンション経営は、はじめに大きなお金が必要になり、その回収には時間はかかります。そのときどきの時代背景の変化、入居者のニ-ズに常に着目して柔軟に対応することが求められます。

賃貸アパ-ト・マンションを持つ人自らが「経営者」としての自覚を持ち、投資リスクの分析をし、「経営者」としての視点をしっかり持つことが重要でしょう。

村岡 清樹
村岡 清樹

村岡 清樹不動産税務 専門税理士

資産税のプロフェッショナルでコンサルティング経験が豊富。不動産会社、ハウスメーカー、證券会社、新聞社等のセミナー、社員研修を数多く行う。アパ-ト・マンンションの税金対策・マイホ-ムの税金・不動産の譲渡税金・相続税対策・土地の有効活用・不動産事業承継対策を得意とする。明治大学リバティアカデミ-講師。

 

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