経営にはマ-ケットリサ-チが不可欠です
アパ-ト・マンション経営を行うにあたってはマ-ケットリサ-チも不可欠です。
リサ-チをするにあたって重要なポイントを3つ挙げましょう。
1.土地の適正を調べてみてください
①居住性
日照は確保できるか。騒音はどうか。地盤等はどうか。
②利便性
駅からのアクセスはいいか。周囲に買いもの施設(コンビニ・スーパー等)や公共機関はあるか。
③土地の広さ、形状
建築等するのに十分は広さがあるか。建築に適した形状か。
2.入居者のニ-ズ、市場性を調べてください
①入居者層は
ファミリ-か。社会人単身か。学生単身か。
②間取りは
1ル-ム。1LDK。2LDK。それ以上か。
③構造は
木造。軽量鉄骨。鉄筋コンクリ-ト。その他何が適しているか。
④附属設備は
エアコン、床暖房、オ-トロック、モニタ-付インタ-フォン、浴室乾燥機、高速のインタ-ネット環境等の必要はあるか。
⑤周辺の物件は
周辺の物件の入居状況、間取り、構造、設備はどうか
3.将来性を調べてください
①エリアの人口動態の増減傾向はどうか
②鉄道や駅周辺の再開発計画はあるか
③路計画はあるか(便利になると場合と騒音は増す場合はある)
④工場、学校、大規模店舗、公園等の生活に影響の大きい施設の設置計画はあるか
いかがでしょうか。アパ-ト・マンション経営を行うにあたっては、最低限これらのポイントを押さえておく必要があります。
住む人の立場に立つ、これが一番の営業戦略です
マ-ケットリサ-チを踏まえて、入居者を増やす営業戦略ついて考えましょう。入居者の厳しい目に耐え、なおかつなるべく費用をかけずにできることはあるはずです。
たとえば、近所の買い物マップや公共施設、安全な道や近道の案内図、緊急連絡先などを事前に冊子にしておくと喜ばれるのではないでしょうか。
アパ-ト・マンションを借りる人の多くは他の街からやってきます。いろいろ不安を抱いていることでしょう。駅から住居までの道のりから、玄関そして部屋の中、さまざまな点で快適さを望んでいるはずです。
これからのアパ-ト・マンション経営では、入居者が満足する、魅力ある物件を提供することが求められます。ですが、お金をかけなければお客様を満足させられないかと言えば、決してそうではありません。
住む人の立場に立ってできることをやる、これがアパ-ト・マンション経営においては一番の営業戦略ではないでしょうか。
損益と資金繰りの見通しをたてましょう
不動産賃貸では「収益性」の理解と「事業計画」を立てることが大切です。何千万円、場合によっては何億円もの投資をするのですから、「なんとなく」始めてはいけません。
まずは、「損益」と「資金操り(キャッシュフロ-)」について考えて行きましょう。
といっても、むずかしく捉えないでください。要は、「損益」は「何にお金がかかり(マイナス面)、どうすれば儲けが出るか(プラス面)」を考えることですし、「資金操り」は、「手持ちのお金(自己資金)と借入したお金で、どうやりくりしていくか?」ということ。
いずれも、収入と支出のバランスを考えることですから、主婦の方が家計をやりくりすることと大差はありません。
「損益予定表」と「資金操り予定表」を作ってみましょう
「何に、どれくらいお金がかかるのか?」「家賃からの儲けはどのくらいあるのか?」これらの収支を考えるためには、表(損益予定表)を作ると、すっきりわかりやすくなります。
さらに、アパート・マンション経営の場合、多額の初期費用がかかることもあり、借入金をすることがふつうでしょう。儲けから借入金の返済をして、どのくらいキャッシュが残るかの予定表(資金操り予定表)も作成しましょう。
損益予定表と資金繰り予定表をつくるためには、まず次の点を明らかにしましょう。
①アパ-ト・マンションの購入コストがどれだけかかるのか
②購入コストをどのようにして調達するのか(自己資金か借入か)
③借入の場合の返済計画表(何年で返済するのか、利息は何%か)
④毎月の家賃収入・礼金・敷金はどのくらい見込めるか
⑤管理手数料、修繕費、光熱費等、税金の諸経費がどのくらい必要か
【損益予定表計算方法】
項目が明確になったら、まず損益予定表を作成してみましょう。これはアパ-ト・マンション経営の不動産所得(損益)がどのくらいになるかを試算するためのものです。
収入金額になるもの | 収入金額にならないもの |
家賃・地代(未収含む) | 敷金・保証金のうち返還を要するもの |
礼金・更新料 | |
共益費 | |
敷金・保証金のうち返還を要しないもの |
必要経費になるもの | 必要経費にならないもの |
借入金の返済のうち利息部分 | 借入金の返済のうち元本部分 |
固定資産税、事業税 | 所得税、住民税 |
管理会社への管理費 | 自宅にかかる経費 |
広告宣伝費 | プライベ-トにかかる費用 |
共用部分の水道光熱費 | |
税理士への報酬 | |
立退料 | |
損害保険料(その年に対応するもの) | |
減価償却費(建物対価を構造・築年数に応じた耐用年数で計算します) | |
修繕費 |
【資金繰り(キャッシュフロ-)予定表計算方法】
次に損益予定表をもとに、資金繰り予定表をつくります。
アパ-ト・マンション経営においては、この資金繰り予定表は非常に重要です。資金繰り予定表は、先ほどの損益予定計算で出した不動産所得を基に税金を計算し、「(税引後所得)-(借入返済元金)+(減価償却費)」で算出できます。
個人の不動産所得に対して課税される税金としては、所得税と住民税、事業税があります。
住民税は税率10%、事業税は税率5%(不動産賃貸業)と固定ですが、所得税は税率5%~45%(復興特別所得税を除きます)と幅があります。
所得税率は、所得が高ければ税率が上がります。不動産所得以外の所得がある場合、たとえば給与がある方ですと、その給与所得に不動産所得をプラスして税率が決まります。高額の給与をもらっている方は、不動産所得が100万円しかない場合でも所得税率45%となり、45万円が所得税となってしまいます。
また、実際に不動産を運営するにあたって注意したいのが「借入返済元金」です。返済金額のうち、利息については必要経費として計上できますが、借入返済元金については必要経費になりません。フルローンやオーバーローンのように元金が多い場合は、資金繰りがマイナスになりやすいので注意しましょう。
〈損益予定計算・資金繰り予定計算表イメ-ジ(単年)〉
※所得税・住民税率は合計30%と仮定して計算しています。
※説明の都合上、数字等は簡略化しています。
(10室以上の賃貸等ですと事業税も対象となります。)
損益予定計算は所得税と住民税(これらの税金は厳密に言えば翌年支払います)の税金計算に必要です。資金繰り予定計算は現金収支です。
資金繰り予定計算が最終的に黒字になっているかが非常に重要です。また、将来的に支払いが予想される修繕費などが十分積み立てられていけるかもポイントになります。
これらの計算表の作成によって事業の見通しが明らかになってくるはずです。すでに経営を始めている方も、これから経営を始める方も、自分の事業が無理のないものか確認してみてください。
次回コラムは「初心者必見!アパ-ト・マンション経営でおトクな青色申告とは?」について解説いたします。