不動産投資コラム

投資用不動産を安く買うための4つのポイント

投資用不動産を安く買うための4つのポイント

不動産投資において収益をあげるためには、やはり「最初にいかに物件を安く買うか」ということが非常に重要です。何も考えずに、市場に出されている価格で購入するだけでは、物件を安く購入することができません。
ここでは、物件を安く購入するためにどういうことが重要か、どのようにすれば安く購入できるかについてお話ししたいと思います。

不動産価格というものを理解する

一般的な商品と違って、不動産は世の中に同じものはありません。すべて条件が異なるものです。同じマンション内の一室でも、微妙な間取りの差、景色の違い、部屋の傷み具合など、細かいところを入れれば、全く同じものはありません。
それでも新築物件の金額は、土地の取得コスト、建物の建築コストと、建築会社の利益の合計で決まります。しかし、中古物件では、クルマでも程度の良い悪いで下取り価格に違いがあるように、物件ごとに条件が異なり、それによって価格も違ってきます。

さらに、不動産は相対(あいたい)取引なので、買いたい人と売りたい人が合意すれば、どのような価格でも取引が成立するものです。売るのであれば少しでも高く売りたいと考えるのは人として当然です。

売却価格を考える際、もちろん不動産会社の提示する査定価格を基準にしますが、できればこれくらいになったら嬉しいと思う、多少高めの価格での売却を希望します。不動産会社もその価格が相場からあきらかに乖離した金額であれば、受け入れることができませんが、相場より多少高い程度であれば、まずは市場に出してその反応を見てみようと考えます。そうやって市場での売却価格は決定されていきます。

ではいよいよ、このような不動産市場の中で、不動産を安く購入するために私が実践しているポイントを紹介します。

ポイント1 )売却開始時期を調べる

私自身も何度も売却を行ったことがありますが、最初はどうしても少しでも高く売りたいという気持ちがあり、強気の価格設定をお願いして購入申込を待っています。ところが、しばらく何の反応もないと、やはり売却価格が高すぎたのではないかと不安になってきます。

買う側の場合はこの心理を突くわけです。売っても売れなくてもどっちでもいいと思っている売主は価格交渉に応じませんが、売りたいと思っている売主は2ヵ月くらい経つと不安になってきます。

さらに、物件を扱っている不動産会社は、通常3ヵ月単位で売主と媒介契約を結びます。2ヵ月経ってしまうと契約を延長できない、また、1社専属で受けてきた専任媒介契約を他の会社にも売却を依頼する一般媒介契約に切り替えられる可能性がでてきて、不動産会社にも焦りが生じます。

そのような時期にある程度の指値(さしね:売り出し価格より安い価格での購入を希望すること)の購入申込が入ってくると、売主も売主側の不動産会社も、なんとか折り合いをつけようと考えるようになります。買主側の不動産会社も含めて、全員が契約を成立させたいという考えになってきます。

こういう仕組みをきちんと理解しておくことで、価格交渉をするのに適切な時期を見極めつつ、関係者の心理を利用して市場にある物件を安く購入することができるようになります。

ポイント2 )売主の売却理由を調べる

購入したい物件の売主が、どんな理由で売却をしたいと考えているのかを調べることは、とても大事です。急なお金が必要になって売却する場合は、とにかく急いで売ることを望んでいますから、相場より安く買える可能性が高いです。

区分所有や一軒家の場合、住みかえや買いかえで先に新しい物件の購入の契約をしてしまっている方もいます。そういう方は、元の物件が売れない限り新規物件の購入も違約金を払ってキャンセルしなくてはならないケースが多く、それくらいなら多少でも安く売ってしまいたいと考えるものです。

もちろん、購入物件の契約時に、売れない限り契約を白紙撤回するように特約事項を入れていれば問題ないのですが、その場合でも、気持ちはもうすでに新しい物件にいっていますので、できれば売りたいという気持ちが働くことも事実です。

売主の売却理由は不動産会社の方にいろいろ尋ねてみるとわかることがあります。
逆に、売主が百戦錬磨の投資家であれば、安く買うことはかなり難しいかもしれませんね。

ポイント3 )やる気のない売主を見極める

このコラムを読んでいる方の多くは、不動産を購入して大家になり、家賃収入を得ることを望んでいると思いますが、世の中、大家業に前向きでない人もいます。当然、そういう大家さんの物件は空室も多く、荒れ果てていることもあります。

先日、私が購入した物件もオーナーが二代目で、物件の状態はひどいものでした。庭には雑草が生え放題、木の枝も伸び放題、物件は汚く、掃除も全くされていませんでした。

※画像はイメージです。本文の内容とは関係ありません。

このようなオーナーの多くは、物件のトラブルや入退去などを面倒に感じており、「もう正直、早く物件を手放して現金に変えてしまいたい」と思っています。高く売れることより「早く売れること」を優先したいのです。

もちろん、あまりに行き過ぎた指値は受け付けられません。しかし、個人の買い手が見つからず不動産会社が買い取る場合は、修繕やリフォーム費用が加味され、ずっと安い価格になってしまいます。そうした買い取り価格よりやや高めの金額であれば、購入できる可能性が高いわけです。

もちろん、荒れた物件を再生して満室にする力が必要ですが、それができれば、かなり利回りを上げて運営できると思います。

ポイント4 )売却相手よりも高い知識を持つ

不動産は相対(あいたい)取引です。一般商品のように定価というものがありません。そして、売主側は少しでも高く売りたいと思っているし、買う側は少しでも安く購入したいと考えているのが普通です。

お互いの希望価格に乖離がある場合は、価格交渉が始まります。その時に、とにかく20%値引いて欲しいといった根拠のない交渉はまとまらない可能性が高いです。土地の路線価や近隣の取引相場、建物の残価や修繕費用など、具体的な基準をもとに話を進めていけば、まとまる可能性は高くなります。

例えば、「この部分に不具合があってそれを修理するのに○○万円かかるので、その分は値引きしてほしい」とか、「近隣の取引価格に対してこの物件は道路付が悪いので、○○万円安くしてほしい」などと、周りを説得できる知識がある方が交渉力が高いです。
相対取引の場合は交渉力が強い方がより価格決定力があるので、具体的な根拠をもとに交渉をする力を持った方が安く買える可能性が高いでしょう。

だからといって、売主の気分を害するような根拠を示して、この物件はこんなに価値が低いんだから安くして当然と説明されれば、「もうあなたには売りません」という感情的な問題になることもあります。根拠を示して価格交渉をするのは大切ですが、その言い方や伝え方は相手の立場に立って考えることが大切です。
このあたりも相対取引の難しさですね。

いかがでしょうか。これ以外にも任意売却や競売といった別の市場で安く買う方法はありますが、最低限、今回の内容をよく理解することで、一般に売られている物件の情報からでも、条件の良いものを少しでも安く購入することはできると思います。皆さんもそういった視点で物件情報を見てみると新たな発見があると思います。

赤井 誠
赤井 誠

赤井 誠

1985年、北海道大学大学院工学研究科卒、大手電機メーカーに27年勤務、2004年より不動産投資を開始し、その後、サラリーマンを退社、専業大家となる。16棟117室所有。家賃収入は年間1.2億円。不動産会社を経営しながら、そこで得た知識や情報をブログやコラムで全国に発信し、またセミナー講師としても活動中。著書は「ゼロからの不動産投資」「本気で始める不動産投資」(すばる舎)。

 

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