不動産投資コラム

不動産投資の成功率を上げる秘訣とは?

不動産投資の成功率を上げる秘訣とは?

不動産投資の成功率がどれくらいか知りたい理由は、自身が不動産投資で成功できるか知りたいからだと思います。しかし、不動産投資の成功率は、〇%と数字で表せるものではありません。なにをもって成功とするかが人によって異なるからです。1,000万円の投資をするのと1億の投資をするのでは、利益もまったく異なりますよね。ですが、どんな不動産投資にも共通している「成功率を上げる方法」があります。この記事では、現役大家業を営む筆者が、培ってきた知識をまとめました。もちろん成功率にも触れていますので、ぜひご一読ください。

リスク・リターン別で押さえる投資の種類

投資の種類は、リスク・リターンの程度で下記の3種類に分類できます。
1.ローリスク・ローリターン
2.ミドルリスク・ミドルリターン
3.ハイリスク・ハイリターン
不動産投資で成功する人はこの3つの違いを理解していて、自分に合った方法で資産を形成しています。それでは、それぞれの投資について解説していきましょう。

投資の種類(1)ローリスク・ローリターン

リスクが低く利益も低い投資先としては、下記のものがあります。

  • ・円での普通預金や定期預金
  • ・貯蓄型の生命保険(学資保険や個人年金保険など)
  • ・国債や社債などの債権

一般的な「投資のリスク」とは、投資対象の値動きなどによって、元本(投資した資産)が目減りする可能性や損失の程度のことです。上記のいずれに投資しても大きな利益が出ることはありませんが、元本割れのリスクは限りなく小さく、長期間預け入れて放置しているだけで資産が堅実に増えていくという特徴があります。

投資の種類(2)ミドルリスク・ミドルリターン

リスクが中程度で利益も中程度の投資先としては、下記のものがあります。

  • ・外貨預金(ドルなどの外貨預金)
  • ・投資信託(iDeCo・つみたてNISA・NISAでETFなどを購入)
  • ・不動産投資(不動産を所有して賃貸するもしくはREITを購入)

上記はそれなりのリターンが期待できるものの、為替・価格・流動性・金利・信用などの変動リスクによって損失が出る場合があり、投資した元本が目減りすることもあります。

なお、不動産投資のなかでも実際に不動産を所有する家主業とは、ほかの金融商品にくらべて投資額が高額であり、入居者の入れ替え時には賃借人募集・賃貸借契約・リフォームなどの手間がかかるでしょう。
また、家賃収入などの不動産事業収入にかかる所得税のほか、不動産の購入・所有・売却時には印紙税・登録免許税・固定資産税・譲渡所得税などもかかります。そして、不動産は債券や証券のように簡単に売れない(流動性が低い)ため、現金化したい場合には時間がかかります。

投資の種類(3)ハイリスク・ハイリターン

リスクが大きく利益も大きい投資先としては、下記のものがあります。

  • ・株式投資
  • ・先物取引
  • ・FX、仮想通貨

上記は、投資対象のなかでもとくに価格変動が大きいため、うまく運用できれば短期間で大きな儲けが出るものの相場を読み誤ると損害は甚大になります。最悪の場合には資産をすべて失ってしまうほどのリスクがあると考えられるでしょう。

不動産投資の成功率と成功かどうかの判断

前述のように大体の投資の難易度は示せますが、成功率を具体的に数値で示すことはできません。しかも、投資は誰でも成功するほど簡単ではなく、投資に関する深い知識や正しい判断力が必要です。

不動産投資が成功したといえる基準

不動産事業の運営が順調でも、ひとたび災害などで物件が半壊すれば収支は大きくマイナスに傾くため、売却して、その物件の資金を回収し投資を終えた時点でないと、その不動産投資が「成功」だったかどうかは分かりません。
また、不動産事業でそれほど儲からない場合でも不動産所有の目的が相続税の節税対策であれば、相続税が圧縮できた時点で、その不動産投資はおおむね成功といえるでしょう。つまり、不動産投資はその主たる目的によって成功の条件や基準が大きく異なります。

不動産投資の成功率とは

なにをもって不動産投資を「成功」とするかは投資家によって異なるため、ネットで見かける「成功率○○%」などの数値に根拠や信憑性はありません。良質な知識を身につけて事業の基本である「売上と原価とリスク管理」において適切な判断が必要になります。
とくに不動産投資では高額の物件を購入する必要があり、小さな元手で大きな資金を動かす(レバレッジを効かせる)ために、ほとんどの場合にローンを組んで資金を調達します。中長期のスパンで家賃収入からローンの返済をして不動産投資を成功させるには、プロのサポートを受けて成功率を高める方法を実践する必要があるでしょう。

不動産投資の成功率を高める「事業の育成」

不動産投資事業を健全に育成していくために、3つの大切な考え方があります。

短期的な利益を追い求めない

短期間で大きな利益を上げようとして物件の状況や賃貸市場をろくに調べずにいると、焦って正しい判断ができずに、収益性の悪い物件を買ってしまう確率が上がります。また、原価を下げるために顧客ニーズを無視して手抜きのリフォームをするなど、判断を誤る場面も増えるでしょう。不動産投資は短期決戦ではなく、中長期的な視点で堅実に「事業を育てる」という思考で臨むことが重要です。

パートナー選びを重要視する

家主は不動産事業の免許がなくても自分で不動産事業を行うことができますが、不動産会社と同等の水準で運営するのは困難です。また、不動産業界や関連業界で刻々と変化する法令への対応も、個人の力だけで完全に適法を維持することはできないでしょう。
一方、プロがサポートについてくれれば、懸念材料があっても先回りしてリスク想定や回避策を提案してくれます。サポートの質は千差万別なので、管理会社や客付け会社などのパートナー選びはとくに重視すべきです。

入居者も大切な資産

入居者は家賃を安定して支払ってくれる事業の要ですが、入居審査を誤れば滞納・館内の美化・犯罪や自殺など、物件価値を下げるようなリスクが大きくなります。空室が多くなれば入居審査を甘くしがちですが、入居者の質は居住環境や滞納などに影響する資産であると見なすべきでしょう。

不動産投資の成功率を高める「運営方針」

どの不動産投資を選ぶにしても、物件の購入前には収支やリスクのシミュレーションを綿密に行いましょう。

自分に合った投資物件を選ぶ

動産投資には、主に下記の5種類があります。需要の安定感・地域や顧客層の特色・種類ごとの特殊性にも注目して選ぶようにしましょう。

・アパート・マンション投資
一棟まるごと購入する方法と、1室単位(区分)で購入する方法があります。
一棟物件の購入には資金力が求められますので、不動産投資がはじめての場合には比較的少額から始められるワンルーム投資を選ぶのもよいでしょう。ただし、需要や相場が読みやすい反面、競争が激しいため空室期間の長期化や安値競争のリスクがあります。

・ビル投資
店舗や事務所が入っているビルに投資する手法です。こちらも一棟まるごと購入する、または区分を購入する方法がありますが、入居率の維持や管理など、アパートやマンションと比べて難易度が高い投資になります。

・戸建て投資
築年数が古い戸建ては格安で購入できる場合がありますが、劣化が激しいためリフォームが高額になったり、既存不適格(いまの法令では違法建築と判定される)になったりするなど、リスクの見極めが難しい不動産です。

・駐車場経営
土地を購入して始める場合は初期費用が高額になり、建物を貸す場合よりも固定資産税率が高いのが特徴です。しかし、既に土地をもっているのであれば、初期投資はアスファルト舗装やフェンス設置など安く抑えられるうえ、駐車場からの次の事業への転用がしやすい点が魅力です。

・不動産投資信託証券
不動産事業から発生する配当が購入口数に応じてもらえる証券で、数万円から始められるREITという金融商品です。REITなら投資先の選定や運用は専門家が行うため、投資家には証券の購入以外の手間はありません。
とくに上場銘柄など信頼性の高いものは、利回りが安定していてリスクが少なく流動性が高いのが特徴です。

・不動産クラウドファンディング
新しい形態の不動産投資で1万円など少額から不動産投資ができますが、原則として決められた期間内は換金できません。基本的な仕様はREITと似ていますが、REITよりも価格変動が少ないため、投資初心者の入門としても向いています。

ランニングコストを把握する

不動産投資のランニングコストの頻度は、毎年・数年に一度・突発的なものがあるため、年間の必要費とそれ以外の費用も前もって予算化しておくと安心です。年度替わり前には予算表を更新して、併せて資金確保の準備や節税対策の方針を修正するとよいでしょう。

発生を予見してリスク対策をする

下記のリスクに対する費用は予算化して、積み立て・融資・保険などでカバーしつつ、事前回避策や事後改善策は常に準備しておきましょう。

1.建物の老朽化:長期スパンで発生、前もって改修費用を確保する
2.空室の長期化:短期スパンで発生、家賃相場やニーズを把握する
3.滞納督促と回収:突発的に発生、保証会社加入と少額訴訟で対処する
4.自然災害や火災の被害:突発的に発生、改修費用は損害保険で確保する
5.家賃相場の下落:緩やかに進行、設備の改修や付加価値で抑制する
6.自殺他殺などの事件事故:突発的に発生、家賃下落と告知義務期間に注意する

情報収集はプロの手を借りる

不動産投資の運営方針はすべて自分で発案するのではなく、不動産のプロの知恵を借りて情報を収集します。
とくに、不動産会社・家主専門誌・不動産投資セミナー・オンラインサロンなど、いくつかの情報チャネルをもって、情勢や価値観の変化に対して常にアンテナを張っておくことを意識しておきましょう。

不動産投資の成功率を高める「知識の更新」

不動産投資で成功するためには、常にトレンド・時代背景・不動産ニーズを正確に把握しておかなければなりません。

家賃相場・設備・住環境などのトレンド

不動産投資でもっとも大切なのは、賃貸住宅の需要があるかどうかです。そして、需要に対して供給が多く空き物件が多い場合には家賃の値下げ競争になりやすく、空室期間も長くなりやすい傾向があります。

次に、家賃相場・人気設備・エリア特性・立地と交通・生活利便性が高いエリアかなどの条件から、居住対象として人気のエリアかを判断します。とくに、夜間の治安が悪かったり周辺に嫌悪施設があったりする立地は、物件の質が高くて物件価格が安くても客付けに苦労するので、購入するのは止めておきましょう。

金利・税金・法令制限についての知識

そのほかにも不動産投資事業に大きく関わるものとして、金利・税金・法令制限があります。購入時に組んだローンは、数年たてば銀行へ借り入れ条件の交渉をしたり他行への借り換えをしたりする可能性があります。同じ家賃収入でも金利負担が軽くなれば、収支がプラスになるうえにその後ずっと寄与し続けるため、金利の動向や他行の動きには敏感になるべきでしょう。

また、法令は年々厳しくなる傾向であり法令が変わるタイミングでは、法令違反になる物件の競争力が落ちたり、必要な改修工事のために多額の費用がかかったりすることもあるため、法令の傾向を事前に把握して対策する必要があります。

売却のタイミングを見極めるコツ

動産投資物件を売却するのに適した時期は下記のとおりです。

  • ・大規模修繕が必要な時期:多額の出費がかかる前に売却してしまう
  • ・譲渡所得税が下がる時期:所有期間が5年超なら税率が約半分になる
  • ・その他の切り替わり時期:事業年度、法律の改定、相続などで有利不利が変わる

このように、不動産投資事業において売却に時期や売却価格が落ちる要因を理解して、自分で資産価値を客観的に査定しながら売却時期を決定するようにしましょう。

不動産投資で失敗する要因・7つ

不動産投資に失敗する7つの要因は下記のとおりです。

・資産がない状態から不動産投資を始める
自己資金があると、借り入れできる金融機関の選択肢が増えて金利が安くなるため、月々の返済額が少なく無理な運営をしなくて済みます。 

・物件購入価格が高い時期に投資を始める
物件が少々高くても、人気エリアで希少性が高いなど確度の高い成功理由がある場合を除いては、高額で購入するのは危険です。常に不動産相場や物件の長所・短所を見る目を養っておきましょう。

・短期間で多くの利益を出そうとする
利回りが高いなど数字のマジックによって隠れたリスクに気づかなければ、質の悪い物件を買うリスクがあります。いま入居者が入れ替わっても利回りが大幅に悪化しないか、購入後に多額の改修費用がかからないかなどを慎重に見極めましょう。

・情報や知識の更新ができていない
不動産のプロがサポートしてくれるからといって、なんでも営業マン任せで報告も受けずに放置していると都合よく扱われるかもしれません。自分から情報を収集して知識を最新の状態にアップデートすれば、担当者の見落としに気づいたり担当者の良し悪しを判断したりできます。

・条件が悪い物件だと気づかず投資をする
安くて表面利回りがよくても築年数が古い場合には、後から高額の費用がかかる可能性が高くなります。お得な目玉物件の情報が投資初心者へ回ってくる可能性は極めて低いことを知って、不誠実な情報に振り回されないように注意してください。

・不動産会社との関係がよくない
不動産会社やリフォーム会社などへ値下げを強要するのは、人間関係においてマイナスの行動パターンです。どんな事業でも周囲の助けがなければ成り立ちません。自分だけが得をすればよいという考え方では誰ともよい関係は築けないでしょう。

・借入可能額と借入適正額を混同している
不動産投資では手元に現金を残しながら融資金を使って事業を育てますが、自己資金をほとんど入れずに借りられる限界まで借りて始めるのは危険です。返済ができなくなれば不動産は銀行に差し押さえられます。ですから、借りられるだけ借りておくという思考は危険を伴うということをご理解ください。
気になる方はこちらの記事もご参照くださいませ。

「不動産投資で『失敗する人』とは⁉失敗例10選&失敗回避の方法を紹介」

まとめ

不動産投資の成功率を上げるには、知識欲・好奇心をもって事業に本気で取り組み努力する姿勢が不可欠です。そして、正しい情報の流入チャネルとなり、不動産業界の変化や賃貸市場の動向を教えてくれる信頼できるパートナーの存在が欠かせません。自らも不動産会社や担当者の精査をして、さらに家主専門誌・不動産投資セミナー・オンラインサロンなどから良質で新鮮な情報を得て知識を深める習慣ができれば、自ずと成功率も上がることでしょう。

柴田 敏雄
柴田 敏雄

柴田 敏雄宅地建物取引士、管理業務主任者

司法書士事務所に2年、大手不動産管理会社に5年、個人顧客を中心に不動産賃貸・売買の仲介営業会社に7年間従事。また、外資系金融機関にも2年間従事し個人顧客へ金融資産形成や相続税の節税アドバイスなどを担当。現在は不動産/金融業界での経験を活かし、記事の執筆にもあたっている。

 

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