不動産投資コラム

不動産投資で『失敗する人』とは⁉失敗例10選&失敗回避の方法を紹介

不動産投資で『失敗する人』とは⁉失敗例10選&失敗回避の方法を紹介

不動産投資は、多くの投資家に人気の投資ビジネスです。しかし空室リスク、流動性リスクなどさまざまなリスクがあることを軽視し、損をしてしまう人がいることも事実です。

そこで今回は、不動産投資に失敗しないために「失敗する人の典型事例」とその回避方法についてご紹介。失敗パターンや投資リスクを十分に理解することで、急なトラブルに対しても冷静な対応ができます。不動産投資を始める前に、失敗パターンをしっかりと押さえておきましょう。

不動産投資の失敗は好景気でも起こりうる

不動産投資の失敗とは、空室が多くなり賃料収入が減ったためにキャッシュフローが赤字となってしまったり、物件売却で得られる資金で借入金を返済できず、借入金が残ってしまったりする状態を指します。結果、個人再生や破産手続きに至るケースも少なくありません。

「2020年日弁連破産事件及び個人再生事件記録調査」によると、投資(株式・会員権など・不動産投資など)による破産件数、個人再生件数の割合は年々増加傾向にあります。特に個人再生事件は、2005年調査では全体の1.28%であったのに対して2020年調査では5.76%と、約4.5倍に増加しています。

2010年以降は、アベノミクスの経済効果の影響もあり、株式市況・不動産市況ともに盛況であったにもかかわらず、投資による個人再生の割合も急増している点は興味深いところです。

不動産投資で失敗する人の特徴

不動産投資の失敗は、不動産市況の好不況に関係なく起こります。それは、不動産投資に失敗する人に典型的な特徴があるからです。不動産投資の理解不足を自分で補うのではなく、他人任せにした結果、失敗を引き寄せていることが多いようです。

人任せにする人

不動産投資は、信頼できる不動産業者や金融機関のサポートが不可欠です。とはいえ、何でもかんでも人任せにすると、不動産投資の失敗を招く原因となります。投資用不動産は星の数ほどあり、すべての物件が良い物件とは限りません。

例えば、入居者が賃貸借契約を解約する気配があることを隠して売買が行われ、購入後すぐ退去してしまったケース、想定賃料が高すぎて入居募集がうまくいかなかったケースなど、失敗事例は数えきれません。こういった失敗は、資料チェックや物件精査を人任せにした結果、起きるケースが多いといわれています。

計画性がない人

投資する前にしっかりとした投資計画を立てずに投資を実行することも、典型的な失敗パターンです。

不動産投資は比較的長期間の投資になります。そのため、投資期間中にきちんとキャッシュフローが回ること、突発的な経費の支出や市況の変化にも対応可能な資金計画が立てられているかも確認する必要があります。

長期間の投資になると、空室が増えたり、災害に見舞われたりすることもあるかもしれません。どのくらい赤字が累積したら物件を売却して投資撤退するかについても、事前にイメージを持っておくべきでしょう。

投資期間中も予算と実績の対比、計画の見直しを積極的に行っていく必要があります。事前に計画を立ててその計画通りに実行できているかについて、注意してチェックしていきましょう。

不動産投資失敗の10の体験談・事例

それでは、実際の不動産投資の失敗事例を見ていきましょう。不動産投資の成功要因は、どの物件を購入するかの選定が大きなウエイトを占めます。実は、不動産投資の失敗は、物件を購入した時点で決まっていることも多いので、物件選びは特に慎重に行いたいものです。

1.表面利回りのみで判断してしまった

不動産情報のポータルサイトなどに記載されている表面利回りは、家賃収入額を物件価格で割り算した数値です。しかし実際には退去後のクリーニングやリフォームのための空室、季節性による空室、家賃の滞納などが発生する可能性があります。そのため、年間満室想定賃料を実際の運用時に期待するのは現実的ではありません。

物件の本当の収益力を見るには「実効総収入」(実効総収入=年間満室想定賃料-空室・滞納損失)を参考にしていきましょう。

空室・滞納によって生じうる損失について満室想定収入の何パーセント程度と考えておくかは人によって異なります。しかし、キャッシュフローがマイナスになるのはどの程度の空室・滞納が生じたときか、という最低ラインは把握しておく必要があるでしょう。

詳しくはこちらの記事をご参照ください。
アパート経営の利回り計算方法!正しい物件の選び方や利回りの見方を解説!

2.節税目的で購入したが見通しが甘かった

節税目的での購入にも注意が必要です。不動産を購入した場合、建物部分の取得価額は減価償却費として費用計上できるため、不動産所得が「会計上の赤字(※)」になることがあります。

※実際には家賃収入があるので、キャッシュフローはプラスになります。これが不動産投資の強みです。

この不動産所得の赤字を本業の所得と損益通算し、節税を目的として不動産投資する方もいます。しかし、最初から節税だけを目的として不動産投資を始めることはおすすめできかねます。確かに赤字を他の所得と通算すれば課税所得は減りますが、不動産投資単体では十分な投資効果が得られていないケースがみられます。

このような場合、空室期間が長くなると途端にキャッシュフローが回らなくなるでしょう。当初は手元資金を持ち出すことで持ちこたえられるかもしれませんが、空室が長期にわたると次第に苦しくなってきます。

詳しくはこちらの記事をご参照ください。
不動産投資でサラリーマンは節税可能?仕組み&税金シミュレーション

3.ローンの返済プランが甘すぎる

ローン返済プランが甘すぎることも失敗の一因です。

物件購入時に、頭金1割以下やフルローンでの購入を勧められることがありますが、これはあまりおすすめできません。満室想定でやっとキャッシュフローが回る投資計画では、災害などによる突発的な修繕費用の支出や、市場環境の変化に対応できないでしょう。

また、減価償却期間が終了した後の所得税の増加を考慮していないケースも散見されます。減価償却費が計上できているうちは手残り資金があるかもしれません。しかし、税金が増えてキャッシュフローがマイナスになってしまうと、ローン返済が苦しくなる場合もあります。

4.そもそも購入金額が高すぎる

不動産投資で失敗する人のほとんどが、割高で物件を購入してしまっています。不動産業者が投資計画を作成し、銀行が融資に応じたから安心と考えるのは早計です。投資計画は投資がうまくいった場合の一例に過ぎず、また金融機関は貸金債権を回収できるか否かを判断しているだけと考えたほうが良いでしょう。投資が成功するか否かは別問題です。

そもそも本当にお買い得な物件は、投資のプロが先に情報をつかんでいるものです。各物件が、どのような経緯で販売されているのか、周辺物件相場に見合っているかなどを、投資前に吟味しなくてはなりません。

5.賃料が想定よりも下がり続ける

特に新築物件に投資するときに、賃料がこの先も下がらないと見込んで投資計画を立案していることがあります。

新築物件は、周辺相場よりも割高な賃料でも満室になることが多いので、強気の設定で構いません。ただし、賃料はこの先上がらず、むしろ一定期間後に下がることを前提に計画を立てておかなければなりません。駅から遠い物件や各駅停車しか止まらない駅の物件など、不便な立地の場合は、さらに踏み込んだ賃料下落を想定しておく必要があるでしょう。

6.空室が多く家賃が入ってこなくなる

不動産投資において最大のリスクは空室リスクです。不動産投資の収益は入居者による家賃収入が中心なので、空室が多くなることは収入の減少に直結します。

空室が多くなる要因は、建物の老朽化、周りに賃貸物件が増えたなどさまざまです。駅前や都心の好立地の物件でない限り、ある程度の空室は出るものだと思っておいたほうが良いでしょう。空室が増えたときには広告料を増やしたり、設備を更新したりすることになります。そのような対策の費用を予算に計上しておくと安心でしょう。

7.修繕費が想定外に嵩んでしまう

投資物件を長く管理していると、建物の老朽化に伴い、数年から数十年に一度大規模な修繕する必要が出てきます。長期修繕計画に従って修繕を実施していても、修繕費が想定外にかさむこともありますので、普段から余裕をもって修繕積立金を準備しておくことが大事です。

また、近年では想像を超える風水害や地震などの天災も増えています。倒壊とまでいかなくても、災害のたびに何かしら修繕しなければならない箇所が出る可能性がございます。このような想定外の修繕費についても予算に織り込んでおきましょう。

8.不動産管理会社の財務体質が悪化し家賃回収できなくなる

不動産管理会社の財務体質が悪化すると、家賃の振り込みが遅れたり、サブリース賃料を減額交渉されたりすることがあります。最悪の場合は倒産して家賃の回収が大幅に遅れる、もしくは踏み倒される可能性があります。

管理会社に委託すると、賃借人の対応や警備など不動産に関する管理をすべて請け負ってくれるため、つい任せきりになってしまいがちです。管理会社の状況変化に気づかないことがないよう、定期的に委託先の状況をチェックすることも大切なリスク管理です。

9.入居者に家賃を滞納されてしまう

不動産投資において懸念すべき内容の一つが、入居者による家賃の滞納です。不動産管理会社がサブリースに入っている場合には家賃滞納のリスクはサブリース会社が負います。ですが単に家賃の回収業務を委託している場合には、所有者が滞納リスクを負うことになります。

借地借家法では、生活の基盤となる居住権保護のため、借家人の権利が非常に強く、家賃の滞納があってもそう簡単に退去させることができません。最終的には明渡し請求ということになりますが、裁判上の手続きには時間と費用がかかります。さらにその間、家賃が入ってきません。

築年数が古く安めの家賃設定の物件については、滞納リスクあることについても理解しておくことが大切です。

10.競合物件よりも魅力が劣っている

不動産投資は長期間にわたる投資であるために、経済市況の変化のほか、物件の周辺環境の変化に晒されることもあります。周辺が開発されて賃貸物件が急に増加したり、競合物件が賃下げしたりすることで、物件の競争力が弱まり、空室率が高まる恐れもあります。

このような場合には、早めに売却してしまうか、設備面などで周辺物件との差別化を図るなどの対策が求められます。放置しておくと、空室率は悪化するばかりです。

不動産投資が上手くいかないときは

不動産投資における失敗を避けるには、事前の対策が重要です。もっとも、対策を練って投資を始めた場合でも、投資期間中の環境変化について行けず、撤退を考えなければならないこともあります。当初の予定とは違った事態に陥ったとしても冷静に対処できるように、さまざまなケースを想定して対策を練っておきましょう。

空室率を下げる

空室率を左右する要因にはさまざまなものがありますが、中でも立地が最も重要なポイントになります。人気のあるエリアで駅から近く、繁華街も近い物件ならば、少々古い物件でも空室が増えて困ることはありません。逆に、人気のないエリアで交通の便が悪い物件は、いくら設備を更新したりリフォームしたりしても、空室率を改善するのは難しいものです。

エリアの客層の特徴に合わせた間取りや設備も重要です。学生街であれば少々設備の質を落としてでも家賃の安いほうが空室率は低い場合もあるでしょう。ですが、勤労者やDINKS向けならば、広い間取りや一定の設備レベルも求められるでしょう。条件が満たせないようであれば、リフォームや模様替えを行うことも検討に値します。

ローンを見直す

不動産投資後しばらく経過したら、ローンの見直しを考えてみるのも良いかもしれません。金利の見直しや返済条件・返済期間の変更など、改善できるのであれば、金融機関に相談してみましょう。

今後、インフレが進行するようであれば、変動金利が将来的に重い負担になってくる可能性もあります。その場合、固定金利のローン商品に変更したほうが良い場合もあるでしょう。

ローンの借り換えは、築浅物件(築10年以内)のほうが応じてもらいやすい傾向にあります。

一方で、返済額のうち金利分に関しては経費計上できるため、キャッシュフローが大きくマイナスにならなければ、あまり敏感になる必要はないかもしれません。経費についてはこちらでも詳しく説明しています。
不動産投資でサラリーマンは節税可能?仕組み&税金シミュレーション

物件を売却する

不動産市況の変化や物件の周辺環境の変化、また当初の投資計画に比してパフォーマンスが大きく減少し撤退ラインを超えた場合には、物件の途中売却も考えねばなりません。
売却価格がローンの残債を上回っていれば、ローンを完済して終了となります。一方、売却資金でローンを完済できなければ、「任意売却」の手続きを取らなくてはなりません。

任意売却とは、ローン債権者(銀行やその保証会社)と交渉をして、抵当権の抹消に同意してもらったうえで、市場取引によって売却する方法です。売却後は物件の担保権がなくなりますので、残債についてほかの不動産などの担保を提供するか、保証人を提供するなどの交渉をすることになります。

売却しても借金が残る場合には

売却しても負債が残り、今後約定どおりの返済が難しいと見込まれる場合には、「任意整理」や「個人再生」、あるいは「自己破産」などの、債務整理に移行します。
返済方法によっては個人に債務の支払い能力が認められる場合には、「任意整理」もしくは「個人再生」を選択します。

任意整理とは、ローンの借入先と直接交渉をして債務返済について解決をはかる方式です。利息のカットや返済期限の延長が和解案に盛り込まれます。

個人再生とは、民事再生法に基づく手続きで、裁判所に個人再生の申し立てを行います。不動産投資のローン債権者のほか、車のローンやクレジットカードの返済など、原則としてすべての債権者を対象にローン残債の債務整理を行うのが特徴です。債務の減額が認められることが多くなっています。

個人再生手続きを進めるためには、家計の収支も含めた個人財産に関する資料を提出し、再生計画の認可を受けなければなりません。ただし、その際に手持ちの財産を処分・換価することは必須ではありません。

そもそも個人に債務の返済能力がない場合には、破産手続きをするしかありません。破産手続きは個人再生と同様に破産を裁判所に申し立てることによって開始します。管財人が財産を換価して債務を弁済し、弁済しきれない分については債務免除されます。

不動産投資に失敗しないよう慎重に

不動産投資を成功させるためには、物件の選定は慎重に行い、投資計画やキャッシュフロー予測についても自分で理解・納得するまで突き詰めて考えておきましょう。あわせて、空室、災害、想定外の修繕などさまざまなケースを想定して事前に対策を練っておくことで、いざというときに落ち着いて対処することができます。不動産投資を成功させた投資家の投資手法や経験談を参考にして、ぜひ不動産投資の面白さ・奥深さを感じてみてください。

徳田 倫朗
徳田 倫朗

徳田 倫朗宅地建物取引士

株式会社イーアライアンス代表取締役社長。中央大学法学部を卒業後、戸建・アパート・マンション・投資用不動産の売買や、不動産ファンドの販売・運用を手掛ける。アメリカやフランスの海外不動産についても販売仲介業務の経験をもち、現在は投資ファンドのマネジメントなども行っている。

 

関連記事

不動産投資ニュース

業界の動向やトピックスなど、不動産業界の最新ニュースをお届けします。

  1. 不動産投資、収益物件、事業用不動産サイト「ノムコム・プロ」
  2. 不動産投資コラム
  3. ノウハウ
  4. 不動産投資で『失敗する人』とは⁉失敗例10選&失敗回避の方法を紹介