不動産投資の基本
Q4.投資対象となる不動産にはどんなものがありますか?
A4.居住用orオフィス用、ワンルームor一棟、新築or中古、などと分類され、それぞれリスクやリターンが異なります。
オフィス用建物はやや「ハイリスク・ハイリターン」
賃貸用建物を「用途」で大別すると「居住用」と「オフィス用」になります。アパートやマンションが前者で、事務所や店舗などの「テナント」が入るのが後者になります。
「居住用」の場合、オフィスビルにくらべて規模が小さいことが多く、家賃収入は「オフィス用」より低くなるのが一般的です。
また、内装や設備などのコストは、住宅用である汎用的で安価な設備が主流になり、オフィスビルのような消防設備、エレベーター、変電設備、立体駐車場、セントラル空調、OAフロアなど「オフィス専用品」より少額で済みます。したがって、購入価格も安くなるのが一般的です。
このほか「不動産投資の基本 Q2.家賃収入以外にもメリットがあるって聞いたんですが本当ですか?」に記載の通り、土地にかかる固定資産税が大幅に下がるというメリットもあります。
「オフィス用」のメリットは、高い家賃収入が望めるという点です。ただし、内装や設備等でのコストがかかることも多く、固定資産税の「住宅用地の特例」も受けられなくなります(「住宅用地」ではないため)。
また、ビル内の総テナント数が賃貸マンションの総戸数よりも少ないため、ひとつのテナントが退去して空室が増えると収支が大きく悪化しやすいです。居住用のように毎年春に大きな異動シーズンが来ることもないため、客付けが難しいという問題があります。
さらに「景気」の影響を受けやすい(業績悪化によって、テナントが賃料の安いビルへと移転してしまう)のもデメリットのひとつです。これらを考えると、オフィス用の物件は居住用にくらべて「ハイリスク・ハイリターン」の傾向が強いと言えるでしょう。
「リスク許容度」や「物件の特徴」に応じてさまざまな選択肢
建物そのものの「属性」によって分類すると、
・「一棟買い」と、分譲マンションの一室を買って貸す「ワンルーム投資」
・「新築物件」と「中古物件」
・「都市部の物件」と「地方の物件」
といった分け方ができます。それぞれにリスクとメリットがあり、「どちらがいい」とは一概に言えません。
例えば新築マンションと中古マンションを比較すると、新築のほうが一般に「競争力」は高く、「満室に近い」状況も期待できます。家賃も高く設定できるでしょう。しかし、新しいだけで計画どおりの家賃収入が安定して得られるとは限りません。
購入金額も高く、借り入れも大きくなるので、キャッシュフローが回らなくなるリスクはそれだけ大きくなります。
その点、中古は購入金額が少なく済むというメリットがあり、また、すでに入居者がいるので「実績から客付けのコツが分かりやすく戦略が立てやすい」「購入後すぐに収入があり先の収支がよみやすい」といった利点もあります。立地や周辺環境によっては、築年数がある程度経過しても、高い競争力を保てる物件もあります。
ご自身が「どれだけのリスクをとれるか」といったことに加え、「その物件自体の特性」を考慮して、かけた費用に対する効果が高く、それが長く持続するような投資対象物件を見極めて購入するのが望ましいでしょう。
柴田 敏雄(しばた としお)宅地建物取引士、管理業務主任者
宅地建物取引士、管理業務主任者
司法書士事務所に2年、大手不動産管理会社に5年、個人顧客を中心に不動産賃貸・売買の仲介営業会社に7年間従事。
司法書士事務所に2年、大手不動産管理会社に5年、個人顧客を中心に不動産賃貸・売買の仲介営業会社に7年間従事。
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