パパだって楽しみたい!「工作・おうち遊び」アイデア
やりすぎたりふざけたり、大人が楽しめば子どもも楽しい。そんな「パパ」ならではの視点で贈る、父から子への工作・おうち遊び集。
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パパだって楽しみたい!「工作・おうち遊び」アイデア
やりすぎたりふざけたり、大人が楽しめば子どもも楽しい。そんな「パパ」ならではの視点で贈る、父から子への工作・おうち遊び集。
2016.10.06
プラ板をオーブントースターで焼くときゅるきゅる縮むプラ板工作。子どもたちが夢中になるのはキャラクターや空想の世界の話です。しかし思い切って日常どまんなかのプラ板工作をやってみてはどうでしょうか。
そんなことを思い立ったのも娘が友達の家に泊まりに行くことにハマったからです。いきなりの4連泊。早くもきました、外泊する娘をもつ父親の気持ち。お父さんはショックです。
そんな彼女に言いたい。そんな他人の家に泊まりに行かなくてもお前の家、そしてお前の日常はいいものだぞと。
プラ板で絵をなぞって焼くプラ板工作。ちぢまっていいオブジェになる
そんな折、娘が最近プラ板工作にもハマっていることを思い出しました。キャラクターなどの非日常を写しとってきゅるきゅるちぢめるプラ板工作。これで日常を楽しめばいいのではないでしょうか。
とはいっても私はなにを言ってるのでしょうか。 日常を写しとる? なんでしょうか。たとえばいつも通ってる道はどうでしょうか。
ふだん通ってる道を写しとってくるのはどうか・・・しかし、楽しいかなこれ
おお、意外と写しとれるものですな
ここで用意するものはプラバンと油性マーカー。これをもって路上に出ます。そして娘の日常を写しとっていくんです。たとえば通園路にあるマンホール。なぞりましょう。
「東・・・京・・・下・・・水・・・道、と」
この日の東京の最高気温は34℃。午後3時。マンホールは熱くてさわれたものではありません。真夏日は軍手をもっていきましょう。
平日の昼間にやってます。自販機にコーラをガッチャンガッチャン入れていく業者の汗がまぶしいです。顔見知りの宅配便屋がいて思わず顔をふせます。私は今なにをしているんでしょうか。
東京34℃、マンホールは熱くてさわれたものじゃありません
電話ボックスの「ひく」とかもキーホルダーにしたらいいんじゃないでしょうか
ああ、これはいいものですよ、消防のね、なにかです。わからないですけど
これのキーホルダーとかもってる子どもはシブいですよ。
シブくてなにがいいのかはわかりませんが
「いいサンプリングですねー」声をかけられたりします。
こっそりやりましょう
しかしそこそこ目立ちます。私自身もこんなことしてる人がいたら何をやってるのか気になります。
「いいサンプリングですね!」
いきなり声をかけられます。サンプリング・・・ああ、収集? 街を写しとる芸術活動と思われてるんだ。私は芸術をやってたのでしょうか。いいえ、これはただの父の工作なんです。ついつい無視してしまいました。
これは大人もちょっとほしくなるバルブ。いいものだなあ
保育園から子どもが帰ってきたら街で写しとったプラ板を見せましょう。
「それなあに? あっ、知ってる! 見たことあるもん」
さすがに5歳児が「バルブ」とか「東京下水道」とか見ても「キャーッ!」とはなりません。しかし話はこれからです。だからどうしたと言われようとも、プラ板はちぢむんです!
だからなんだと言われましても、
ほら、マンホールのふたがオーブントースターでちぢまるんですよ!
できた、ちっちゃくてかわいいマンホールのふた!! ほらいいものですよ!
大人だったら500円くらいで買うんじゃないかな・・・
オーブントースターの熱でキューっと小さくなるマンホールのふた。か、かわいいじゃないですか・・・マンホールのふたも消火栓のマークも全部まとめて金具をつけたら、ほら、いい感じのキーホルダーができました!
「ねえ、リュックにつけてったら怒られるからとってくんない?」
娘のリュックにつけたら不満が噴出しました。なんてことでしょう。彼女はいつもの日常をつけてるのに! このクールさはやはり5歳児には伝わってないのでしょうか。いいえ、このキーホルダーのよさはこれからです。ここから街に出るんです!
遠足だという娘のリュックに。いいからいいから、つけておきなさい
ここから風向きがかわります。
「今からおれたちは保育園に行く。そのキーホルダーについてるものが、全部その道にある。見つかったら言え」
そう言った瞬間に、娘は獲物を見つけたビーグル犬のように駆け出しました・・・! すごい、そのゲームなんにも出ないのに! 子どものやる気スイッチ、どこにあるのかわかりません!
「これからお前の通る道にそのキーホルダーはあるから、探してごらんよ」
理解すると走りだした
「あったー! わー、すごいねー!」と。
それ平日の昼間に炎天下マンホールをはいつくばって大変だったんだよ
次は電話ボックスにあるよというと「電話ボックスって何!?」
くそ、そういう時代め!
「あった! あった!」
電話ボックスの"ひく"で喜んでるの世界中で今おまえだけだよ
「やった、あったー! あったー! これなあに!?」
おれも知らん、たぶんありがたいものだよ
「英語が書いてるねー!」そうだ、中国語も韓国語もある。
勉強になるからな、一生持っておいたほうがいいよそれは
「自転車もあったー!」そうだ、だが本物の自転車はここにはないんだ、持ってっちゃうからね。
あとそれは「いいサンプリング」らしいよ
「最後わかんない! 最後わかんない!」ヒントは地面にある水色だよ。
それにしてもよくそこまで熱中できるな
「あったー!!」・・・バルブ。
これだけ脚光をあびた今日はこのバルブの一生のハイライトとなることだろう
5歳児の熱中というのは突風のようでした。見つかった見つかったと喜んでは、また次のキーホルダーをさがしました。最後は難関、水色の「バルブ」のふた。自販機の裏側にあるそれを見つけた娘は大喜びでした。
お前は今、バルブで喜んでいるんだな・・・
そう思うと胸の奥でキュッとプラ板がちぢこまるような気がしました。不憫・・・いや、不憫なんでしょうか、もうわけがわからない領域に来てると思うんですよ。
これから娘は何度も日常に飽きることでしょうし、そのたびに私はプラ板片手に日常を集めにいかないといけないでしょう。そうしないとまた外泊しにいってしまうのです。道路にはいつくばって芸術家にまちがわれながら、世の中のお父さんたちはなんとか娘の気を引こうと必死なんです。
そういういつもの道をお前は身につけてるんだ、
そしてそれがどういうことなのかは・・・お父さんもわからないよ