おうち起業・在宅ワークママの「お仕事部屋」訪問!
自宅兼オフィスのママ社長から内職ワーカーさんまで、自宅でお仕事と子育てを両立するママを訪問インタビューしました。
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おうち起業・在宅ワークママの「お仕事部屋」訪問!
自宅兼オフィスのママ社長から内職ワーカーさんまで、自宅でお仕事と子育てを両立するママを訪問インタビューしました。
2015.04.07
今回は、分譲・賃貸マンション※でサロンや教室を運営されているママさん3人のご自宅にお邪魔しました!前回の建売住宅で開業されていた2人との違い、「マンションならではのメリット」についてもフォーカスしてみました。
※マンションによっては管理規約上、マンション内での営業行為を禁止している場合もあります。
自宅を中心にカルトナージュ(カルトンと呼ばれる厚紙を切って、組み立て、美しい布や紙を貼って装飾していくフランス生まれの伝統工芸)の教室を運営されている萩谷麻衣子さん。萩谷さんが教室を始めたのは5年前からですが、自身がカルトナージュを学ぶためにスクールに通い始めた8年前から「自宅と兼用のサロンでカルトナージュ教室をやりたい」と考えていたそうです。
カルトナージュは厚紙やさまざまな種類の布などたくさんの材料を必要とするものだけに、萩谷さんが重視したポイントの1つは「収納」。萩谷さんは老人ホームなどに講師として呼ばれることもあり、そのようなときには100人分の材料を用意してストックしておかなければならないこともあるのだとか。「戸建もいいとは思うのですが、今住んでいる賃貸マンション含め、最近のマンションはクローゼットなどの収納が室内に充実してますよね。それに、材料を持って2階3階を行き来するようなことがなくて済むから、ワンフロアのマンションが好きなんです」(萩谷さん)
また、駅からの近さなど立地を重視する場合も、戸建よりマンションの方が物件を選ぶ際に選択肢が多いようです。東急田園都市線の三軒茶屋駅から徒歩3分の立地で美容鍼灸院を開いている美月綾乃さんも「1番重視したのは立地だった」と言います。鍼灸院というお客様に足を運んでもらって施術するお仕事だからこそ、立地がお仕事を軌道に乗せるための最大のポイントとだと考えていたそうです。
美月さんは以前は自宅とは別の場所にサロンを開いていましたが、場所を移す際に費用の面、2カ所分の契約・支払をしなければならない手間、そして何よりもお子さんと一緒にいる時間をできる限り確保することを考え、現在の自宅兼サロンのスタイルになりました。美月さんの住まいは最初からサロンやお店を開く人のための「自宅兼用物件」として作られたメゾネット型の賃貸マンション。なので、キッチン・トイレなどの水回りは1階と2階の両方にあります。「マンションの利便性を享受しながら、戸建のように階建てを利用してサロンと住居スペースをきっちりと区切れる現在の住まいは理想的でした」(美月さん)
美月さんのように最初から自宅兼用でサロンや教室を開くように設計された住まいは近年増えてきましたが、それでもまだまだ希少です。マンション内で教室などをやる際は、やはり住まいの中で1番広く設計されているLDKを活用することが多いようです。
たまプラーザでパン・料理家として教室を開いている吉永麻衣子さんもそのスタイル。20畳以上あるLDKはさらに6畳の和室ともつづきになっていて、1クラス6人の生徒さんがお子さん連れで集っても十分に余裕のある広さ。加えてルーフバルコニーは45m2!教室中に子どもたちが飽きるとバルコニーに誘導して遊んでもらう、といったこともあるそうです。
吉永さんはご主人が長期間不在にすることも多いため、マンション購入時に重視していたのは「セキュリティの高さ」、また頻繁に生徒さんが出入りすることを考えると「フラットフロアで掃除が大変じゃない」こと、「売りたくなった時に売りやすい」ことです。そして何よりも「子どもを育てる環境」を重視しました。もともと吉永さんご夫妻は豊洲に住んでいたのですが、きれいに整備された近代的な豊洲の街は、「自分たちが育ってきた環境とはずいぶん違っていて、私たちがここで子どもを育てるというイメージが湧かなかった」そうです。
「適度に自然もあって、都心へのアクセスも悪くない」という子育てに適した環境をフルに活用すること、さらに「子どもたちを保育園には預けたくない、でも仕事はしたい」という吉永さんの希望を叶えるには、この自宅兼教室のスタイルがたしかに最適なのでしょう。
一方で、マンションだからこそ付きまとう課題もあります。それはやはり、「近隣との関係」です。
吉永さんは新築マンションの分譲時にマンションの営業担当者には自宅でパン教室を行うことを告げ、その前提で物件を探していることを相談していました。「あまり公にせず、個人でやる分にはOK」という了承を得たものの、やはり周囲の目は気になるため、ブログやSNS等にはあまり場所の情報は掲載しない、ママ友など近隣の人には教室をやっていることをあまり告知しない、などの配慮をしてきました。現在の住まいに引っ越してくる前は月に24回ほどやっていた教室の回数も現在は5回ほどに減らし、レシピ開発や書籍監修など、自分ひとりでできる仕事をメインにしています。それでも同じマンション内から「騒がしい」「エレベーターを占領されている」などのクレームの声が上がって少しやりづらくなっていているそうです。
他の方、カルトナージュの萩谷さんはどうなのでしょうか?
「マンションで教室をやるつもりだったので迷わず1階の住戸を選びました。来訪される生徒さんもエレベーターを昇るより1階の方が都合がいいですし、下の階に物音が響かないかという不安もなく教室をやることができます。今の住まいは賃貸ですが、実は昨年に分譲マンションを購入して近々引っ越す予定なんです。そこでもやはり1階の住戸にしました」とのこと。
さらに鍼灸院の美月さんに至っては、サロン等を開店することを前提とした賃貸マンションなので「マンションの共用スペースにあるベンチをお客さんの待合がわりに使わせてもらっています」など、マンションならではメリットも享受されています。やはりマンションでの開業は、この「近隣との関係」をどう作るか、乗り越えていくか、がポイントになりそうです。
今回の3人の方にインタビューをさせていただいて、興味深く聞いたことが他にもありました。それは「子どもも心得ていて、自宅内の仕事の備品には絶対触ろうとしないんです」という言葉です。萩谷さん宅のリビングは3才の男の子がいるとは思えないくらいにきれいにコーディネートされ、片付いていました。この状態を維持するのは大変じゃないですか?と聞いた返答が先の一言です。同様に美月さんのお子さん(5才の男の子)も施術中にはサロンスペースには降りて来ずに上の階で大人しく待っていると言いますし、吉永さんの1才と3才の男の子たちも今回の取材中、ママが「お仕事のお話中だから」と話すとちゃんと理解して1時間半もの間、待っていてくれました。
「仕事がある、お客さんが来るとわかっているから子どもにも日常的にちゃんとお片付けしてもらう習慣がついています。いつもちゃんと片付いている、物はいつも同じところにあってそこから出したら片付けるもの、という意識づけは大切にしています」という萩谷さんの言葉通り、ママが家事育児と仕事とを快適に両立するために自宅で働き、その姿を子どもたちが見ながら成長をしていく、というスタイルは子育てにおいてもいい形で影響をするのかもしれませんね。