古い家を売却処分する際には、本当に売れるのか、売るとしたらどのように売ればよいのか、不安を抱く人も多いはずです。
そうした場合に気になるのは、古い家を売却する方法や注意点、税金が発生した際の節税ポイントではないでしょうか。
また、古い家をスムーズに売るコツもいくつかあります。
本記事ではこれらについて詳しく紹介しますので、古い家を売りたいと考えている方は参考にしてください。
1. 【アンケート調査】古い家の売却でリフォームや解体をしましたか?
本記事では、古い家を売却する際の参考にするために、古い家を売却したことがある人を対象としたアンケート調査を実施しました。
調査結果から、古い家を売却した人の52%がリフォームや解体をせずそのままの状態で売却できていることがわかりました。
一方、土地として売却している人が25%、リフォームして売却している人が23%いることから、何らかの理由で売れない場合には解体やリフォーム、古家付きの土地としての売却も選択肢として十分入ってくることが推察されます。
2. 古い家とは
売りたい物件が古い家に該当するのか気になっている、という方もいることでしょう。結論から言えば、不動産売買において「築年数が何年だから古い家」という定義はありません。
目安となる年数に、法定耐用年数が挙げられます。法定耐用年数とは、税務上定められた、固定資産の資産価値が帳簿上から消滅するまでの期間のことです。建物など固定資産は使うごとに価値が減少するという考え方に基づき、国税庁によって定められています。
住宅の場合は構造ごとに、次の表のように規定されています。
法定耐用年数を超えた家だからといって、即座に住めなくなってしまうわけではありません。ですが税務上の評価がなくなるとともに市場価値が下がるため、構造ごとの法定耐用年数を超えているかどうかが古い家の一つの目安といえます。
また、古民家にも決まった定義はありません。目安としては、築50年を超え、木造軸組工法で建てられた家かどうかが挙げられます。国が制定する登録有形文化財建造物制度においては、築50年以上経過した建物が対象となるためです。
古い家と呼ばれる物件と同じ築年数でも、同様の売り方が良いとは限りません。築年数だけにとらわれず、家の今の価値や状態を正確に把握することが重要です。
3. 古い家を売る7つの方法
古い家を手放す状況次第で、適した売り方は異なります。ここではよくある売り方7つと、それぞれの特徴とメリット・デメリットを説明します。
3-1. 現状のまま不動産会社に売却を依頼
一般的な不動産売買と同様に、不動産会社へ現状のまま売買の仲介を依頼する方法です。次のような流れで売却が進みます。
- 不動産会社に売却の相談
- 物件調査・査定
- 媒介契約の締結
- 売り出し価格の決定
- 不動産会社が販売活動を開始
- 買主と売買条件を交渉
- 売買契約の締結
- 引越し手続きや登記手続き
- 売買の決済と物件の引き渡し
売れるまでにかかる期間は、3~6ヵ月が目安です。実際に物件を売り出す時の価格や査定価格は、売り出してから3ヵ月ほどで売却できる可能性がある価格が設定されます。古い家も、売り出し価格が相場に見合ったものであれば、通常の売却と同様に3~6ヵ月ほどで売れる可能性が高いです。
また、売却までの手続きも通常の物件と同じため、特別な対応が不要というメリットもあります。
しかしあまりにも家が古かったり、設備に不具合があったりすると、売却まで時間がかかるかもしれません。1年以上かかることも珍しくないため、すぐに物件を現金化できない可能性があることは頭にいれておいたほうがいいでしょう。
※関連記事:不動産売却にかかる平均期間とは?詳細スケジュールとポイントを解説
※関連記事:不動産を売却する方法と流れ|家や土地を売るときに知っておくべき手続きと注意点
3-2. 古家付きの土地で売り出し
中古物件ではなく、古家付きの土地として売り出す方法です。土地をメインに売り出せるため、売却しやすくなる可能性があります。
築年数が法定耐用年数を超えてしまった家は、中古住宅としての価値を評価してもらえない場合があります。しかし古家付きの土地として売り出せば、次のようなメリットが得られます。
- 解体費用と固定資産税が節約できる
- 買主が住宅ローン融資を受けられるため資金調達がスムーズ
- 古い家に興味を持つ人と土地が欲しい人双方をターゲットにできる
ただし、解体を前提に買主が土地を購入するため、高額売却は難しいかもしれません。家の状態によっては、普通の不動産と同じように売却した方が手間も時間もかからない可能性があります。
古家付き土地として売り出すかどうかは、仲介を依頼する不動産会社とよく相談して決定することが大切です。
※関連記事:古家付き土地の購入はアリ?メリット・デメリット解説|不動産売却【ノムコム】
3-3. リフォーム・リノベーション済みで売る
古い家の設備をリフォーム・リノベーションすることで、売りやすい家に変える方法です。見た目も綺麗になるだけでなく、すぐに買主が引越しできるほか、リフォーム済みの住宅として銀行からの融資を受けるため、手続きがスムーズに進みます。
しかし、古い家を選んで購入する買主の中には、購入費用を抑え、購入後に自分の好みに合わせたリフォーム・リノベーションをおこないたいと考える場合も少なくありません。
無理に手を入れずに、一部の設備だけをリフォーム・リノベーションするのも手です。たとえば水回りや壁の亀裂など、買った後の不安につながるような箇所だけに絞って、部分的なリフォームをおこなうことで、他の家に差をつけやすくなります。
また、壁紙など、好みに沿って変更したい箇所について、売主負担でリフォーム・リノベーションできるという売り込みをおこなうのも効果的です。
リフォーム・リノベーションの内容によっては高額な費用がかかります。必要性を不動産会社の担当者とよく相談し、費用の全体像を把握したうえで実行に移すようにしましょう。
※関連記事:家を高く売りたい!売却の流れや基礎知識、 ポイントなどを解説
3-4. 古い家を解体してから売る
古い家を解体してから売却する方法です。土地のみを売却するため、古い家があるから売れにくいという状況を防ぎやすくなります。
ただし、解体費用がかかるので注意が必要です。構造や物件の立地などによって詳細な費用は異なりますが、相場は以下の通りです。
- 木造:4万~5万円/坪
- 軽量鉄骨造:6万~6.5万円/坪
- 重量鉄骨造:6.5万~7万円/坪
- RC(鉄筋コンクリート)造:7万~8万円/坪
古い家がある立地によっては、さらに費用がかかります。たとえば狭い道路しかなく、人力で建物の解体や廃材の運搬が必要な場合です。
また、解体が完了したら早めに売却を進める必要があります。古い家がなくなることで、土地の固定資産税の優遇措置が適用されなくなり、固定資産税の支払いが増える可能性があるからです。
建物を建てて一定の要件を満たした住宅地として使っている場合、土地の固定資産税が最大で1/6まで減額されます。土地の固定資産税は毎年1月1日の所有者へ発生するため、家を解体して売却すると決めたら早めの行動が大切です。
リフォーム・リノベーションと同様に、費用の全体像を把握しておきましょう。
※関連記事:家を解体する際の費用はどれくらい?更地にするメリット・デメリットなどを解説|不動産売却【ノムコム】
3-5. 自治体の空き家バンクを利用
不動産会社に仲介を断られてしまう物件を手放す手段として、自治体の空き家バンクへの登録が挙げられます。
空き家バンクとは、空き家を使いたい人と空き家の所有者のマッチングを進めるサービスです。不動産会社による営利目的の仲介とは異なり、空き家の増加による社会問題の解決や、空き家の情報共有を目的としています。
営利目的ではない反面、買主と売主が直接価格交渉や書類作成をおこなうため、トラブルも少なくありません。トラブル回避のために、マッチング後に指定の不動産会社に仲介を依頼する自治体もあります。
自治体によって対応が異なるため、まずは国土交通省の「全国地方公共団体空き家・空き地情報サイトリンク集」から、売りたい家のある自治体の対応状況をチェックしてみましょう。
3-6. 隣地の所有者と交渉
隣接する土地の所有者と交渉し、古い家や土地を買い取ってもらうのも手です。次のようなメリットが挙げられます。
- 初めて会う買主より物件に詳しい
- 隣地の所有者なら高く買ってくれる可能性もある
- 付き合いのある人なら交渉しやすい
第3者には魅力が少ない古い家も、隣地の所有者にとってはお金を多少払ってでも手に入れたい可能性があります。隣地の面積が広くなるため、駐車場や家庭菜園用の畑、二世帯住宅を建てるなど活用方法が豊富だからです。
注意点として、不動産会社へ仲介を依頼する際に結ぶ媒介契約が専属専任媒介契約の場合、売主が自分で買主を探す自己発見取引ができません。一般媒介契約や専任媒介契約であれば問題ないため、古い家の場合は自己発見取引の可能性を残しておくとよいでしょう。
※関連記事:『専任媒介契約』の特徴やメリットを知ろう! 「一般媒介&専属専任媒介」とは何が違う?|不動産売却【ノムコム】
3-7. 不動産会社による直接の買取
不動産会社に古い家を直接買い取ってもらい、現金化する方法です。不動産会社の提示した買取額に納得できるのであれば、短期間で手続きが進みます。会社によっては最短1日で現金化をおこなうことができ、短期間で手放したい場合におすすめです。
ただし買取による売却は、一般的な市場価値の6割から7割ほどと仲介に比べると安くなる傾向があります。不動産会社は物件を買い取った後、リフォームなど手をくわえて再販するため、買取価格を低くしないと利益が出せないからです。
成約価格を少しでも高くしたい時には、時期的なタイミングもありますが仲介のほうが高く売れる可能性があります。
また、不動産会社によっては仲介で売り出し、一定期間が過ぎれば買取をおこなうという買取保証を付けられます。古い家の場合は、売りたい目的にもよりますが、買取も視野に入れて検討してみましょう。
4. 古い家をスムーズに売るためのコツ
古い家をスムーズに売るには、次の3つのコツを実践してみましょう。
4-1. 広告作成や内覧時にホームステージング
ホームステージングとは、物件のインテリアコーディネートをおこない、物件の魅力をさらに高める販売方法です。広告作成や内覧時など、タイミングに合わせてホームステージャーというコーディネートのプロが対応してくれます。
一般社団法人日本ホームステージング協会が公表する「ホームステージング白書」の2022年版によると、ホームステージング実施前と後では成約までの期間が「大幅に短くなった」が31%、「少し短くなった」が48%です。
近年はインターネットを通じて写真や動画で物件をチェックする人も多く、広告で使う写真の与える印象は少なくありません。写真の印象をよくすることで、物件に興味をもってもらいやすくなります。
また、空室状態の部屋に比べると、インテリアや家具があったほうが、内覧時に「自分がこの家で暮らすイメージ」をしてもらいやすくなります。反対に住みながら売却するのであれば、コーディネートで生活感を減らすのも手です。
サービスによっては、小物のレンタルや物品の預かりなどもおこなってもらえるため、不動産会社の担当者にも相談してみましょう。
※関連記事:物件にさらなる付加価値がつく!?ホームステージングを活用した販売方法とは?|不動産売却【ノムコム】
4-2. 既存住宅売買瑕疵保険に加入
家を売る際には、売る側に契約不適合責任(瑕疵担保責任)というものが発生します。契約時に明示していなかった家の欠陥や不具合(瑕疵)が発見された場合、売る側が修繕費用などを支払うという民法上の決まりです。
契約不適合責任はあくまでも任意規定であり、売主と買主が合意できれば責任や権利を行使する範囲を狭めたり、免責にしたりすることも可能です。
古い家の場合、雨漏りや白アリ、木材の腐食などの問題が発生しているかもしれません。そのため一般的には、契約不適合責任に対し特約をつけて免除や期間制限をおこないます。万が一、目に見えない不具合があったとしても、売主の負担を大きくしすぎないためです。
ですが、買主にとっては何かしらの問題があったときに備えにくくなるため、制限のない物件に比べると買い手が付きにくくなるかもしれません。そこで役立つのが、既存住宅売買瑕疵保険(瑕疵担保保険)です。
既存住宅売買瑕疵保険に加入していれば、不具合が発生した際の損害賠償金などを保険会社が補填してくれます。事前に専門家が不具合がないかチェックし、新耐震基準(昭和56年6月以降の基準)を満たす場合のみ加入できるため、買主への安心感にもつながる保険です。
費用面でも買主にメリットがあり、住宅ローンの利用がしやすくなるほか、築年数が古い家であっても住宅ローン控除を利用できるようになります。
※関連記事:民法改正で売主様の瑕疵担保責任が「契約不適合責任」に!不動産売却に生じる影響と対策とは?
4-3. インスペクションの実施
インスペクションとは、家の基礎や壁、床などを専門家が調査し、家の今の状態を明確にすることです。インスペクションを受けることで、次のようなメリットが得られます。
- 家の状態を明確にするから買主も安心しやすい
- 契約不適合責任を負う可能性が減らせる
- 物件を高値でスムーズに売却しやすい
古い家の場合、建物の欠陥に気が付かずに売りに出してしまう可能性もあります。その点、インスペクションを受ければトラブルを避けることができ、条件を満たした検査ができる事業者なら、瑕疵担保保険への加入も可能です。
反面、デメリットも存在します。具体的には費用と調査にかかる時間です。調査には物件の規模や実施業者により、6万円前後の費用が発生します。建物の規模にもよりますが、調査時間は1~3時間です。必要に応じて実施を検討してみましょう。
5. 古い家を売る3つの注意点
売り方を問わず、古い家を売る際に注意したい項目が3つあります。
5-1. 家の境界は確定しているか確認
古い家が建っている土地の境界が確定しているか、登記事項証明書(登記簿謄本)や地積測量図を確認しておきましょう。
古くから家が建っている土地の場合、隣地とお互いの信頼関係のうえで位置を決めていることも少なくありません。しかし自分が認識している境界と書類上での境界が異なっていると、面積がはっきりと分からないばかりか、引き渡し後に買主が隣地とトラブルになる恐れもあります。
境界が確定していない、分からない場合には、土地家屋調査士に依頼して測量を受ける必要があります。境界を示す境界標が見当たらず設置する場合は、隣地の所有者からの立会も必要です。
仲介で売却する際には、早めに不動産会社の担当者に相談しましょう。
5-2. 土地に埋設物があるなら契約書に記載
地中に昔の建物の基礎が残っていたり、井戸が埋められていたりする際には、契約書への記載が必要です。買主が埋設物を知らずに購入してしまうと、すぐに古い家を取り壊せなかったり、家を新しく建てられなかったりして、契約不適合責任を追及される可能性があります。
事前に分かっている埋設物があれば、必ず買主へ伝え、契約書にも記載しましょう。家が古く埋設物の有無が分からない場合は、専門業者へ依頼して埋設物の有無を調べるのも手です。
また、埋設物がある場合には、撤去費用を見越した売り出し価格をつけることで買主が購入しやすくなります。
5-3.査定額は1社だけで判断しない
不動産会社へ仲介や買取を依頼する際には、家がいくらで売れるか査定を受けるのが一般的です。このとき1社しか査定を受けずに売却を進めると、成約価格や会社独自のサービスの面で後悔するかもしれません。
不動産会社にも得意不得意があり、査定額にも差が出ます。査定を依頼した際の返信の速さや、査定額の根拠もチェックし、信頼できる不動産会社と契約することが大切です。
また、価格を査定する方法には、机上査定と訪問査定の2つがあります。机上査定は入力された情報だけを元に、過去のデータに基づいて見積もる簡易的な査定です。大まかに相場を知りたいときには、複数社へ机上査定を依頼してみましょう。
一方、具体的に売却計画を練りたいときには訪問査定がおすすめです。不動産会社の担当者が物件に足を運び、現地の様子も含めて査定をおこないます。スケジュール調整の手間はかかりますが、正確な査定結果や担当者へ直接質問できるのがメリットです。
複数の不動産会社へ査定を依頼し、査定額の相場やサービスの差を比較しましょう。
ただし、査定を依頼する際は1度に2~3社が目安です。査定依頼後はメールや電話でのやり取りが発生するため、あまり多くの会社へ依頼するとサービスや価格の見極めが難しくなります。2~3社であれば、不動産会社の特色や担当者の対応の比較もしやすいです。
6. 古い家を売る時の節税ポイント
家を売却する際には譲渡所得税や相続税など、さまざまな税金が発生します。古い家だからこそ注意したい節税ポイントを3つ紹介します。
6-1. 最新の控除を適用
古い家の成約価格が購入額より高くなった場合には、利益に応じて譲渡所得税の支払いが必要です。古い家の場合、減価償却によって取得費が減少し、譲渡所得税が出やすい傾向があります。
譲渡所得税の対象となる課税額は、次の式で計算します。
譲渡所得課税額=成約価格-(物件取得費+譲渡費用)-控除
物件取得費とは、購入にかかった費用です。家を建てた人がすでに亡くなっているなど詳しい情報が分からない場合は、成約価格の5%を概算取得費として使用します。なお、土地は成約価格などが該当し、建物については築年数に応じて減価償却費を控除した額が適用されます。
譲渡所得税の税率は所有期間が5年以下なら短期譲渡所得、5年を超えるなら長期譲渡所得に分かれます。税率は次の通りです。
所得税率 |
復興特別所得税率(令和19年まで) |
住民税率 |
|
短期譲渡所得 |
30% |
2.1% |
9% |
長期譲渡所得 |
15% |
2.1% |
5% |
所有期間は不動産を取得した日から売却した日の1月1日時点までが対象で、相続した物件であれば前の所有者の所有期間を引き継ぎます。
しかしそうでない場合は短期譲渡所得が当てはまるため、復興特別所得税率を除いても税率は39%もかかります。売却を検討した段階でどのような控除が利用できるか調べておくことも大切です。可能であれば、売却前に税理士に相談して、譲渡所得税の概算や利用できる控除を把握しておきましょう。
たとえば相続財産を譲渡した際に、納めた相続税額の一部を譲渡所得の取得費に参入できる「取得費加算の特例」があります。「相続空き家の3,000万円特別控除」や「小規模宅地等の特例」も候補です。
また、売却予定の家に自身も居住している場合には「マイホームを売ったときの軽減税率の特例」をはじめ、マイホームの売却に関連した控除を利用できます。
なお、上記の内容は2024年4月時点での内容です。控除を利用する際には、最新の情報を国税庁ホームページで確認しましょう。また、分からない点があれば税理士へ相談し、正確な情報を把握することが大切です。
※関連記事:不動産売却の流れ|媒介種類や司法書士への依頼、税金についても解説
※関連記事:『実家売却』の手順やかかる税金を解説!後悔しないベストタイミングは?
6-2. 取得費がわかる書類を用意
譲渡所得を正しく把握するためにも、取得費がわかる書類を用意しましょう。正確な取得費が不明な場合、成約価格の5%が取得費として取り扱われるからです。
たとえば取得費が1,000万円の家を、2,000万円で売ったとします。本来なら成約価格から1,000万円を差引するところ、正確な取得費がわかる書類がない場合は100万円を取得費として計算するため、本来よりも譲渡所得を多く計算されてしまうのです。
取得費には、購入費用のほか、手数料や設備の改良費なども含まれます。取得費は建物と土地、それぞれ計算をおこなうため、双方の取得費がわかる書類を探しましょう。売買契約書や引き渡し時の清算書があれば、正確な取得費がわかります。
取得費がわかる書類がなければ、取得費を合理的に算出するのも手です。次のような方法が挙げられます。
- 消費税から建物の価格を逆算する
- 固定資産税評価額から求める
- 不動産鑑定士に当時の取得費を算出してもらう
親族に取得費が分かる書類を持っている人がいないか、聞いておくのもよいでしょう。
6-3. 古い家の解体は年明け早々に実行
古い家を解体して売却する際は、所有した年の1月1日を過ぎてからできるだけ早い時期におこないましょう。更地の状態のまま翌年も保有すると、土地の固定資産税が古い家があるときに比べて6倍になってしまうからです。
固定資産税はその年1月1日の時点で不動産の所有者に課税されるため、年明け早々に解体すればその年のうちに余裕をもって売却できます。更地にして売却するのであれば、固定資産税が高くなる前に売れるよう、タイミングを考慮して解体を実施しましょう。
7. まとめ
長く所有する家や実家の価値を考えたとき、よく物件を知っているからこそ「古くて売るのは難しいだろう」など自分の考えを軸に判断してしまいがちです。
しかし、本記事で紹介したように、古い家にはさまざまな売り方があります。売却を考えたら早い段階で専門家に客観的な視点から評価してもらい、物件がもつ魅力を引き出す売り方を見つけていくことが大切です。
また、家を売却すると税金も発生します。売却のタイミングや控除をうまく活用し、負担を減らしながら古い家をより良い形で売却につなげましょう。
※本記事は2024年4月9日時点の情報をもとに記載しています。法令等の改正により記載内容について変更となる場合がございますので予めご了承ください。
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