基礎知識

売却

共有不動産の売却について

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1.共有の種類

2人以上と共同で不動産を保有する共有名義。
不動産の共有には、夫婦それぞれが資金を出し合いながら、どちらかが住宅ローンを組んで住宅を購入する場合の夫婦間の共有だけでなく、親子それぞれが資金を出し合い二世帯住宅を建てるときの親子間の共有や、相続に伴い兄弟や姉妹で親の所有していた不動産を共同で相続したときなどの親族間での共有など、共有の形態もさまざまです。

また、共有名義の共有者の持分は共有者の出資割合に応じて登記されており、夫婦間の共有の場合でも、共有持分は[9/10(夫):1/10(妻)][1/2(夫):1/2(妻)][1/10(夫):9/10(妻)]など共有持分の割合はさまざまです。

1-1. 登記事項証明書の例

父(野村太郎)が亡くなり、母(野村花子)とひとり息子(野村二郎)の2人の相続人が父(野村太郎)の土地を相続した場合の登記事項証明書の例

なお、共有者の共有持分が1/2や1/3しかないときでも、共有者は共用名義の不動産の全部を使用することができ、1/2や1/3といった自分の持分だけを単独で自由に処分することも可能です。共有名義の不動産の修繕といった保存行為を単独で行うことも法律により認められています。

ただし、改装工事や賃貸借契約の解除といった改良行為や共有物の利用に関することは、各共有者の「持分の価格の過半数」の同意がないと行うことはできません。増築や改築、共有物の全部の売却といった共有物の物理的な変更や処分は全員の同意がないと行うことはできないためです。

1人で所有する単独名義と違い、共有には共有特有のルールがあることで「共有者が単独で行えること」と「単独では行えないこと」があるのです。

2.共有不動産の全部を売却するには共有者全員の同意が必要

共有不動産の全部を売却するときは、原則、共有者全員の同意が必要です。ただ、共有者全員の同意が得られたとしても、売却価格や売却タイミングは共有者により考え方が異なる場合もありますので、その調整には時間がかかることもあります。

また、共有名義の不動産を売却するときは、各共有者が保有している権利証や登記識別情報(※)といった所有権移転登記時に必要な書類が整っているかどうか、あらかじめ確かめておくことも大切です。これらすべての書類がなくても所有権移転登記の手続き自体は進められますが、少し余計に時間や費用が掛かる場合があるからです。

※登記識別情報とは、所有権等の登記名義人になった人に対して登記官から通知される12桁の英数字のことで、次に登記を申請する際の本人確認資料となる重要な情報のこと。登記識別情報は従来の権利証に代わるもので、登記完了後に登記識別情報通知といった書類で通知され、書類の下部に記載された12桁の英数字が第三者に読み取られないように書類がのり付けして折り込まれています

3.他の共有者が代理人となり、売却手続きを代理して行うこともできる

共有名義の不動産を売却するときは、原則、共有者全員が売買契約や代金決済などの取引の重要な場に立ち会う必要があります。しかし、共有者の一部の人が遠方に住んでいたり、仕事や病気で契約や代金決済の場に立ち会えなかったりする場合もあるでしょう。そのようなときは、ほかの共有者に手続きを委任することで取引を進めることが可能です。

ほかの共有者に手続きを委任するときは、売却に関わる一部の手続きの委任か、売却に関わるすべての手続きの委任かを明確に記述した委任状を作成し、委任者が委任状に署名捺印(実印)し、委任者が受任者に代理権限があることを取引関係者全員に証明できるよう、委任者の印鑑証明書を添付することが一般的です。

3-1. 委任状の例

共有者が他の共有者に売却の委任をする際に使用する委任状の例

土地や中古一戸建ての取引では、代金決済までに、隣接土地所有者との間でお互いの敷地の境界を現地にて確認するための境界確認が必要な場合があります。この境界確認も売却に関わる手続きの一部であるため、原則、共有者全員の立ち合いが必要ですが、契約や代金決済同様ほかの共有者にこの境界確認を委任することも可能です。

このように不動産の売却にはさまざまな手続きが必要になりますが、必要な手続きに立ち会えない共有者がいるときは委任状を作成して他の共有者に手続きを代理してもらうことが可能です。なお、認知症等による成年被後見人が共有する不動産を売却するときは、成年後見人が成年被後見人を代理して手続きを進めることになりますが、ほかの共有者が成年後見人を兼ねているときは成年被後見人の成年後見人であることを証明する登記事項証明書を準備しておくことが一般的です。

4.自分の持分だけ売却することも可能

相続財産分与の際に親族間同士で共有した不動産を売却するときは、共有者全員の同意がなかなか得られない場合もあります。どうしても共有者全員の同意が得られないときは、自分の持分だけを第三者に売却することも可能ですが、売却までに時間が掛かったり売却先が限定されたり、売却価格が安くなってしまう場合もあります。

共有者に自分の持分を買取ってもらう方法もありますが、共有不動産が比較的大きな更地の場合には、共有持分に応じた割合で土地を分けて(分筆)から単独名義の土地として売却する方法もあります。ただし、土地の分筆を行う際は、敷地面積の最低限度といった地区計画等が指定されている場合や、分筆する土地の形状によっては土地の価値が変わってしまう場合もあります。自分でおこなうには手間もかかるため、あらかじめ土地家屋調査士や宅地建物取引業者に相談しましょう。

5. 売却価格は持分に応じて分配するのが原則

共有不動産を売却して得たお金とかかった経費は、共有者の持分割合に応じて分配、負担するのが原則です。

5-1. 売却価格の例

3人で1/3ずつ共有している100坪の土地に建っていた50坪2階建ての建物を解体し、更地にして売却した際の例

売却価格:3,600万円
建物解体費用:300万円
譲渡費用(仲介手数料等含む):300万円

建物解体費を3人で100万円ずつ負担し、譲渡費用(仲介手数料含む)も3人で100万円ずつ負担。売却価格は3人で等分に分けるので、1人当たりの売却益は1,000万円。

100万円(建物解体費用300万円÷3人)+100万円[譲渡費用(仲介手数料等含む)]
=200万円

3,600万円÷3人=1,200万円

1,200万円-200万円=1,000万円

※その他印紙税や譲渡所得等が別に掛かる場合があります

6. まとめ

単独で売却活動が行える単独所有の不動産と違い、複数の人で共有する共有名義の不動産の売却は時間と労力が思っていた以上に掛かる場合があります。共有名義の不動産の売却を検討する際は、なるべくスケジュールに余裕をもって売却活動を進めることが理想的です。

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三上隆太郎

三上隆太郎

代表取締役
宅地建物取引士・2級ファインシャル・プランニング技能士・管理業務主任者・賃貸不動産経営管理士 資格予備校にて宅地建物取引士試験講座の宅地建物取引業法専属講師。
著書に「自然災害に備える!火災・地震保険とお金の本」(自由国民社:共著)。

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