
家の資産価値を調べるためには、市役所など公的な機関で調べられた指標のほか、不動産情報サイトなど一般の方が容易にアクセスできる情報も参考になります。この記事では、家の価値を調べる方法や注意点を宅建士の資格者が解説しました。売買のため、税金の計算のためなど、目的によってどのような情報を参考にして良いかが異なりますので、目的に合った情報を取捨選択して活用しましょう。
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1. 家の価値を評価する指標

家の資産価値は「土地価格」と「建物価格」の合計で表されます。もっとも、評価方法や参考にする指標によって、さまざまな評価額が存在しうるため注意が必要です。とくに土地は「一物五価」と言われ、実際に取引されている価格のほかに、公的ないくつかの指標が毎年発表されています。
1-1.実勢価格
実勢価格とは、実際に取引されている土地・建物の価格です。不動産売買の成約価格がすべて公開されているわけではありませんが、国土交通省のサイトなどにアクセスすれば、一般の方でも実勢価格を調査できます。
1-2.固定資産税評価額
固定資産税評価額は、各区市町村が土地家屋を調査して決定した固定資産税課税のための評価額です。おおむね実勢価格の70%程度とされているため、対象不動産の固定資産税評価額から実勢価格を推測できます。なお、固定資産税評価額は、3年に1度評価替えが行われます。
1-3.公示地価
公示地価は、国土交通省が毎年3月に発表する全国26,000地点の標準地(土地)の価格です。㎡単価で公表され、おおむね実勢価格の80~90%と言われています。実勢価格を知りたい土地の近くの標準地を探してみることで、実勢価格を推測できます。
1-4.路線価(相続税路線価)
路線価(相続税路線価)は国税庁が毎年7月に発表する土地価格です。相続税や贈与税の課税額を計算するときに使われますが、公示価格の80%程度が目安とされているため、実勢価格の推測に役立ちます。対象となる土地が面している道路に表示されている㎡単価から、評価額を算出します。路線価がない地域の場合には、固定資産税評価額をもとに算出します(倍率方式)。
1-5.基準地価
基準地価は、都道府県が毎年9月下旬に発表する土地価格です。その基準地は全国で20,000地点ほどあり、商業地、住宅地のほか、工業地や林地などを含むのが特徴です。公示地価と基準地価は地点が重なっているところもあるため、公示地価の補完的な指標として捉えて良いでしょう。
2. 目的別・家の価値を調べる方法
家の資産価値に関する指標には、さまざまなものがありますが、家の資産価値を調べる目的によって参考となる指標が変わってきます。目的別に適切な指標を用いて、家の価値を調べてみましょう。
2-1.家を買いたい・売りたいとき
家を買いたい・売りたいときに調べる際には、実勢価格を見てみましょう。後に紹介しますが、一般の不動産情報サイトで相場を調べられるほか、レインズ(不動産流通機構が運営する公的な不動産情報サイト)、国土交通省の不動産情報ライブラリなどが、家の資産価値を調べるのに有効です。また、売りたいときには不動産業者に査定を依頼すると良いでしょう。
2-2.固定資産税や不動産取得税を計算するとき
固定資産税や不動産取得税は、固定資産税評価額をもとに計算します。現在所有している不動産であれば、1月1日時点の所有者に毎年4~6月に送られてくる、固定資産税課税明細書・納税通知書で確認できます。新築マンション・一戸建ての引渡時期が1月1日以降の場合には、翌年からの固定資産税の納税になるため、通知書の受領も翌年からとなります。
2-3.相続税を計算したいとき
相続税を計算するときの不動産の評価は、土地は路線価(路線価のない地域は固定資産税評価額の倍率方式)、家屋は固定資産税評価額をもとに計算します。相続税評価には、さまざまな計算のルールや軽減税制があるため、詳細な評価額を知りたいときには、専門家の助言を得るのが無難です。
2-4.投資用一棟マンションなどの大型物件の場合
一棟マンションや商業ビルなどの大型物件は、立地や周辺環境のほか建物の維持管理の質や老朽化の度合いなど、さまざま状況を考慮して価格を算定します。物件によってかなりの価格の幅があるため、詳細な価格査定は不動産鑑定士に依頼するのが一般的です。
3. 家の価値を調べる無料サイト
登録不要・無料で家の価値を調べるサイトには、「不動産情報ライブラリ」「レインズ・マーケット・インフォメーション」「民間の不動産情報サイト」があります。順に紹介していきましょう。
3-1.不動産情報ライブラリ(国土交通省)
国土交通省が提供する不動産情報ライブラリは、実際に不動産取引のあった物件の買主へのアンケートをもとに作成された取引データ集です。住所から検索でき、エリアの特徴(住宅地・商業地など)取引価格総額、坪・㎡単価が表示されます。取引事例が少ない地域では、情報も少ないため参考にならないこともありますが、都市部では一定数のサンプル抽出が可能です。
3-2.レインズ・マーケット・インフォメーション
レインズ・マーケット・インフォメーションは、レインズに登録された物件の成約価格をもとに作成された取引データ集です。宅建業者は、買主と専任の不動産売買における仲介契約を締結した際に、物件情報をレインズに登録する必要があり、その成約価格をまとめたものです。レインズは宅建業者のみしか利用できませんが、レインズ・マーケット・インフォメーションであれば、一般の方も利用可能です。
3-3.民間の不動産情報サイト
民間の不動産会社が運営する不動産情報サイトも、家の価値を調べるサイトのひとつです。もっとも、表示されている価格の多くは売り出し価格です。売り出し価格と実際の成約価格は異なるので、不動産相場を調べるための参考価格と考えておきましょう。
4. 家の価値を調べるときの注意点

家の売却時には、ネットで得られた情報を安易に信用せず、プロの査定を受けてみることをおすすめします。とくに、家の価値の算定結果をもとに今後の資金計画を検討する場合は、慎重に調査を進めましょう。
4-1.情報サイトの価格はあくまで目安
情報サイトで得られた知識に基づく家の価値は「あくまで目安」です。実際の家の価値は、建物の築年数や管理状態、土地の広さや形状などによって変わってきます。資金計画を立てるときには、余裕をもった計画を心がけましょう。
4-2.高い査定は要注意
不動産業者による査定は、複数の不動産業者に依頼して比較検討することが重要です。なかでも、不自然に高い査定をつけてくるところは要注意。高い査定を出すことで競合他社との交渉を諦めさせ、自社のみになったタイミングで、売値を下げる交渉をしてくる高い査定を出してきたら、その理由を聞いて、納得できるものか判断しましょう。
5. まとめ
家の資産価値は、公表されている指標や不動産情報サイトの成約情報などから推測できます。もっとも、価値を調べる目的によって、参考にする指標・情報が異なりますので注意が必要です。実際に売買することを想定して、家の価値に関する確かな情報を知りたいときには、不動産業者や不動産鑑定士の査定を依頼しましょう。

宅地建物取引士
株式会社イーアライアンス代表取締役社長。中央大学法学部を卒業後、戸建・アパート・マンション・投資用不動産の売買や、不動産ファンドの販売・運用を手掛ける。アメリカやフランスの海外不動産についても販売仲介業務の経験をもち、現在は投資ファンドのマネジメントなども行っている。
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