固定資産税評価額とは?調べ方も分かりやすく解説

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毎年かかる固定資産税は固定資産税評価額を元に計算されます。そもそも固定資産税評価額とは何なのでしょうか。どういう流れで計算されているのでしょうか。調べ方も含め、分かりやすく解説します

目次

1. 固定資産税評価額とは何か

固定資産税評価額とは、固定資産税の課税標準となる評価額です。土地や家屋の評価方法を定めた「固定資産評価基準」に基づき、各市区町村が個別に評価額を定めます。評価額は、固定資産課税台帳に記録されます。

評価を行う基準日はその年の1月1日ですが、毎年評価が行われるわけではありません。評価をし直すのは原則、3年に1回です。ただし、次のような事情が生じれば、その都度評価を行います。

【土地】

  • 分筆や合筆、地目変更などで土地の区画や形質が変化した
  • 著しい地価の下落があった

【建物】

  • 新築があった
  • 増築があった

1-1. 固定資産税評価額は税金の計算の基礎

固定資産税評価額は、さまざまな税金の計算の基礎になります。代表的なのは、固定資産税です。この他、都市計画税や不動産取得税、登録免許税の計算でも用いられます。

さらに、相続税を計算する際の財産評価でも一部用います

2. 固定資産税評価額の計算の流れ

固定資産税評価額の計算には、次のような一定のルールがあります。

2-1. 各地方自治体が個別に決定

固定資産税評価額は、各地方自治体が固定資産評価基準に従い、評価・決定をしています。法律上、次の順番で行われます。

1.固定資産評価員による評価

土地や建物の評価は、各地方自治体の固定資産評価員が行います。固定資産評価員は、知識や経験のある人の内から、議会の承認を得て選任された人です。固定資産評価員がいなければ、市町村長となります。

2.価格等の決定・登録・公示

土地や建物の実地調査を行った後、評価調書を作成して各地方自治体に提出します。この後、各地方自治体で価格の決定を行い、固定資産課税台帳に登録します。登録すると価格が公示されます。そして、台帳での閲覧等が可能になります。

2-2. 土地や建物の評価の出し方

固定資産税評価額が決まるまでの流れは、土地も建物も同じです。ただ、評価の仕方は違います。

【土地の評価】

土地は、「宅地」「田畑」などと区分し、その上で用途地域などで細かく区切っていきます。その後、評価となるわけです。例として、市街化地域にある宅地の評価を見てみましょう。

市街化地域の宅地は、標準的な宅地を設定した後、地価公示価格の7割程度の金額を目安として、適正な時価を計算します。その後、土地に接する道路につけた路線価を基準に評点をつけます。この評点の数に評点1点あたりの価額を乗じた金額が評価額となります。

この他、農業用宅地や田畑にも評価方法があり、細かく分かれています。

【建物の評価】

建物は、再建築価格を基準に評価します。再建築価格とは、新築時に通常かかる建築費に、建物の経過年数や損耗の状況等に応じて減価を加えて評価した金額です。

こちらも新築か中古かの他、建物の構造、築年数などによって評価額は変わります。

2-3. 土地と建物の評価額の目安

「固定資産税評価額を把握するのは難しそう」と感じるかもしれません。しかし、実勢価額、つまり通常の取引価額を基準にすれば、大体の金額は分かります。次の通りです。

土地:実勢価格×70%
建物:実勢価格(新築時の請負工事価格)×50~60%

ただし、建物は、規模や築年数、構造などで評価額が変わります。

3. 固定資産税評価額の調べ方

固定資産税評価額の正確な数字を知りたいこともあるでしょう。そんなとき、次のような方法で調べることができます。

3-1. 固定資産税課税明細書(納税通知書)で確認する

毎年6月になると、固定資産税課税証明書が納付書と一緒に届きます。前年度分と本年度分の固定資産税評価額が書かれています。

3-2. 固定資産評価証明書を取得する

固定資産評価証明書とは、土地や建物といった固定資産の評価額を証明する書類です。固定資産税課税明細書と違い、当年度分を含め、6年度分を発行できます。固定資産税課税明細書は、各地方自治体(東京23区なら東京都)が発行します。

3-3. 固定資産課税台帳を閲覧・縦覧する

固定資産税課税台帳を閲覧または縦覧するのも一つの方法です。閲覧とは「自ら所有する固定資産の情報だけを見ること」、縦覧は「自分の情報だけでなく、他の人の所有する固定資産の情報をも確認し、自身の固定資産の評価額や課税が適切かどうかを確認すること」を言います。

台帳は市町村の役所や都税事務所に備え付けてあります。ただし、閲覧や縦覧ができる期間は自治体ごとに異なるので注意しなくてはなりません。

4. 固定資産税評価額が基準となる5つの税金

固定資産税評価額は、主に次の5つの税金の計算で用いられます。

4-1. 固定資産税

冒頭でもお伝えしましたが、固定資産税評価額は、固定資産税の計算の基礎となります。

固定資産税は、土地や建物に対し、所在地の市町村(東京23区は東京都)が課する税金のことです。原則、固定資産税評価額が固定資産税の課税標準額となります。計算式は次のようになります。

固定資産税=課税標準額×1.4%

ただし、住宅用の土地だと、課税標準が下がります。住宅用の土地なら、「固定資産税評価額×1/6または1/3」が固定資産税の課税標準となります。この他、新築住宅にも、固定資産税が軽減される特例があります。

なお、毎年1月1日時点で所有者として固定資産課税台帳に登録されている人が納税しなくてはなりません。毎年6月頃に納税通知書が届きますが、この納税通知書に納期が記載されています。この納期までに固定資産税を納めなくてはなりません。なお、納税は一括もしくは分割が可能です。

4-2. 都市計画税

都市計画税も固定資産税と同様、土地や建物に対して市町村がそれぞれの条例で課す税金です。ただし、課税は、市街化区域内に所在する土地や建物に限られます。

次の式で計算した金額が課税額です。都市計画税でも固定資産税評価額が課税標準となります。

都市計画税=課税標準額×税率(上限0.3%)

なお、固定資産税と同様、住宅用地は特例で軽減されることがあります。

4-3. 不動産取得税

不動産取得税は、土地や建物を購入や贈与、交換などで取得したときにかかる税金です。通常、相続以外の理由で不動産を取得するとかかります。税額計算の課税標準額は原則、固定資産税評価額となります。計算式は次の通りです。

不動産取得税:課税標準額×4%

ただし、取得した不動産が土地か住宅用建物なら、2024年3月31日まで税率が3%になります。また、住宅一定要件を満たすと、課税標準額が下がります。

関連記事はこちら【不動産取得税とは?軽減措置の条件や手続きなどをわかりやすく解説!

4-4. 登録免許税

登録免許税は、不動産や会社、資格などの登記や登録のときに国に納める税金です。不動産登記の登録免許税は、固定資産税評価額を課税標準額とします。計算式は次の通りです。

登録免許税:課税標準額×税率

なお、税率は、不動産の取得の仕方によって変わります。

【参考】No.7191?登録免許税の税額表(国税庁)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/inshi/7191.htm

4-5. 相続税

固定資産税評価額は、相続税の計算でも必要です。直接税率を乗じるのではなく、計算の基礎となる財産評価で用います。対象となる財産と評価の計算式は、次の通りです。

  • 建物…固定資産税評価額×1.0
  • 土地(倍率方式)…固定資産税評価額×一定倍率

倍率方式で評価する土地は、路線価が付されていない地域に所在します。なお、この倍率は、国税庁の「財産評価基準書 路線価図・評価倍率表」で確認できます。

【参考】財産評価基準書 路線価図・評価倍率表(国税庁)
https://www.rosenka.nta.go.jp/

5. 家の購入のときはプロに相談すると安心

固定資産税評価額は把握しておくにこしたことはありません。将来、家を持ち続けて土地活用するかもしれませんし、売却するかもしれません。相続の場面でも必要となります。

固定資産税評価額は、家の購入前だと自分で調べることになります。ただし、時間と手間がかかるため、かなり大変です。できれば、不動産のプロに相談し、おおよその金額を聞いたほうが安心でしょう。

鈴木まゆ子

鈴木まゆ子

税理士・税務ライター
2000年中央大学法学部法律学科卒業。㈱ドン.キホーテ、会計事務所勤務を経て、2012年税理士登録。WEBを中心に記事執筆・税務監修が多数。分かりやすい解説に定評がある。共著「海外資産の税金のキホン」(税務経理協会、信成国際税理士法人・著)。

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