マンションの修繕積立金の相場は?値上がりする理由についても解説

  • facebookでシェア
  • twitterでシェア

分譲マンションを購入するとき、物件や立地の良し悪しや、買うならどの部屋にするかなどを検討していると思います。
それらに加えて、購入時にチェックすべきこととして、「マンションの修繕積立金」があります。
特に最近は、新築の価格高騰も相まって、内装を自由にリノベーションションして自分らしい住まいを手に入れるために、中古マンションの需要がより一層高まっています。
築年数が経過している中古マンションでは、修繕積立金が新築よりも高くなっていますが建物の安全性や美観の維持、ひいてはマンションの資産価値を維持する上で大切なことです。
そこで今回は、修繕積立金について具体的な内容と、その相場、上昇する原因などを分かりやすく解説したいと思います。

目次

1. マンションの修繕積立金とは?

修繕積立金とは、長期修繕計画に基づきマンションの管理組合が、組合員であるマンションの所有者から徴収し、マンションの安全性維持や老朽化、劣化していく設備などを修繕するための費用として積み立てているお金をいいます。
多くのマンションでは、おおよそ築後10~15年周期で、日常的な修繕では収まらない、外壁やエレベーター、給排水施設、駐車場施設などを修繕します。これがいわゆる大規模修繕です。
具体的には「外壁や配管の補修作業」「屋上の防水作業」「エレベーターの部品交換および全面改修」「排水管清掃」「機械式駐車場をはじめとした設備の防サビ・塗装補修、部品交換」「駐車場の増設などの大規模補修」などの費用として使われます。大規模修繕では一度に多額の費用がかかるため、所有者の負担軽減を目的に修繕積立金として管理組合が少しずつ積み立てていく方針をとっているマンションが多いです。
このように、マンションの性能や見た目の美しさを維持していくうえで修繕積立金はとても大切なお金であると言えます。

2. マンションの修繕積立金の相場は?

国土交通省「平成30年度 マンション総合調査」の調査によると、月/戸当たり修繕積立金の総額の平均は 12,268 円でありました。(駐車場使用料等から修繕積立金への充当額を含む)
建物形態(建物の棟数)別では、平均は、単棟型が 11,875 円、団地型 14,094 円となっています。そしてこの調査で、平成11年度から平成25年度の変化をみると、月/戸当たりの修繕積立金の額は増加傾向となっています。
この調査に関しては、その後に継続し行われることがなくなったので、現在の正確な推移はわかりせんが、建物設備の充実さや建築物価の高騰から、修繕に必要な積立金は増加傾向にあることは間違いないでしょう。
そして、最近のタワーマンションなど、より戸数が多くなり最高階数が高い建物は、外壁修繕の難易度から、要するコストが増加傾向にあります。従って、現在なら8階建て程度の中層マンションでも11,000円~15,000円ぐらい、タワーマンションなら15,000円~25,000円ぐらいが相場と考えた方がいいでしょう。

3. 東京都など首都圏のマンションの修繕積立金相場は?

公益財団法人 東日本不動産流通機構が 2022(令和4)年5月26日に発表した、「首都圏中古マンションの管理費・修繕積立金(2021年度)」によると、2021年度に同機構を通して成約した首都圏中古マンションの修繕積立金は1m2あたり173円(1戸当たり11,164円)となっています。
この173円という単価は、首都圏平均であって、埼玉や千葉では159円である一方、東京都区部では184円、東京都では181円と地域差があるのが特徴です。
なお規模が小さい(50戸未満)のマンションでは、かかる修繕費用に対して、案分する住戸数が少ないため198円と200円弱まで上がってしまいます。
以上から、同じ立地であっても、建物の大きさで修繕費積立金も上下することが分かります。

4. マンションの修繕積立金の相場は築年数によって変わる?

修繕積立金の金額が変わる一番大きな要因は建物の築年数であるということは、何となく想像いただけるのではないでしょうか?
建物が古くなる⇒外壁やエレベーター等の設備が劣化する⇒安全に暮らすには修繕が必要⇒修繕には費用がかかる という理屈で、古くなればなるほどその費用が大きくなります。
ただ、その資金の積み立て方には、特段の決まりはありません。
一般的な積み立て方は、新築当初は修繕積立金が低く設定されていて、5年スパンくらいで段階的に上がるという方法です。

先の国交省「マンション総合調査(平成30年度版)」においても、公益財団法人 東日本不動産流通機構による、「首都圏中古マンションの管理費・修繕積立金(2021年度)においても、築年数の経過とともに修繕積立金が値上がっているとされています。
後者の調査によれば、築10年以内であれば1m2あたりの単価137円なのが、築11年~20年では187円、築21年~30年になると192円まで上昇するようです。
この変化を総額で表すと、新築で15,000円の場合の修繕積立金は、築10年を経過するころには20,000円強となり、築20年を超えると21,000円になることを意味します。

以上は段階的に修繕積立金を上げるという計画で管理されているマンションの話ですが、まれに新築当初から、大規模修繕までの年数で費用を均等に案分し積み立てるというマンションもあります。この場合、新築当初の修繕積立金負担は大きくなりますが、築年数を経過してもその金額が変わらず一定となります。
また、別のマンションでは大規模修繕時にそれぞれのオーナーから「一時負担金」を徴収するという計画で管理しているケースもあります。

このように、修繕積立金の積み立て方は様々ですが、修繕に必要とされる費用が変わるわけではありませんので、
購入時には長期修繕計画を確認しておくことと、築年数が古いほど修繕箇所が多くなるため、基本的には値上がるということを
知っておきましょう。

■補足情報
修繕積立金は長期修繕計画に基づき、5年から10年のサイクルでその見直しをしているマンションが多いことはご存じでしょうか。

  • 新築時に想定していた建物の劣化状況と、現況が異なってくるため。
  • 設備系における修繕では、原状回復(古い設備を修繕)する他、設備を更新(修繕ではなく、新しい設備を買う)という選択をした方が費用が安価になる可能性があるため。

定期的な見直しをしているかどうかは、入居してから気にしておきたいポイントです。

5. マンションの修繕積立金が値上がりする理由

マンションの立地や築年で修繕積立金が変わることを今までご説明しましたが、それら以外についても解説していきます。

5-1. 建築費相場が上昇する

マンションの建材など、修繕に必要な建築材料の相場が上昇するような場合に、大幅に値上がりする可能性があります。
2021~2022年はコロナ感染症の拡大により、中国で資材工場が操業を停止したため、建築業界は物資不足で工期遅れや延長が相次ぎ、資材の高騰に悩まされました。
今でも建築費は高いまま推移しており、多少の円安が緩和しても、人件費の高騰などから、なかなか下がる見込みはありません。
このような状況では、修繕計画を見直すと、過去の見積もりとは大きく異なり、追加で積み立てが必要になる可能性も否定できないのです。

5-2. 長期修繕計画を見直しした時、計画の修正が必要となる場合があるから

長期修繕計画は、マンション管理会社が建物完成時に策定する計画です。
従って住民が生活していき、補修繕を実施していくなかで、そのニーズの変化に対応してくことも求められます。
例えば、防犯カメラなども最初は入り口に白黒1台でよかったのが、セキュリティ対策のニーズの向上から、より解像度が高いものを、裏口や駐車場、そして駐輪場やエレベーターの内部にも必要であると考える住民が増えるかもしれません。
また、2021年に二酸化炭素を消火剤とする不活性ガス消火設備の誤作動・誤操作によるマンションの事故が相次いだことから、より安全性の高い消化設備に変えたいというニーズもあるかもしれません。
このような新しいニーズに対応するコストは、5年、10年スパンで考える長期修繕計画では対応しきれない項目であり、実施にあたっては予想以上のコスト増から、住民も総論賛成でも各論反対になってしまいがちです。
しかし、一概に値上がり=悪ではなく、あくまで安全安心な暮らしに必要な費用という点に着目する必要があります。
そのためには信用できる管理会社などの専門家を頼りながら、管理組合と協力して実施していく必要があります。
また、購入前には長期修繕計画や上がり幅についてはチェックしておきましょう。

6. マンションの修繕積立金は返金される?

マンションを新築で買った人のなかには、様々な理由により、数年で売却してしまうこともあると思います。
一般的に10年以上経過しなければ、なんらかの大規模修繕が必要になることはないので、入居してから支払ってきた修繕積立金は使われないこともあります。
この場合に、支払ったお金は返金されるのか?という疑問を持つ方もいると思いますが、残念ながらそれが返金されることはないです。
管理費と同様に、修繕積立金は入居者が必ず支払うべきであるので、それを使わないことがある場合や、余ることがあっても、管理組合のお金として保管されるのです。
逆の話をすれば、管理費と同様に、修繕積立金を支払わず滞納したまま退去はできません。
法律上売買が制限されることはないので、売り買いはできますが、買主は、たとえ滞納の事実を知らなかったとしても、その支払い義務を負担することとされています(区分所有法8条)。
このように、修繕積立金はマンション所有者にとって、切り離すことのできない重要な債務であることに留意しましょう。

7. マンションの修繕積立金の相場を把握しておきましょう

今回はマンションの修繕積立金の相場やその値上がりする理由などを解説しました。
所有者にとっては、毎月徴収されるお金であるので、安い方がいいと思いますし、相場よりも少しでも高いとその差が気になるところです。
しかし大切なのは、ご自身のマンションがどのような立地や設備などの特徴があり、それを長い間資産価値を落とさないように修繕していくためには、どのような工事が必要かという、「内容」に着目してから、金額の妥当性を検証するのがいいでしょう。
ちょうど2023年~24年度の特例措置として、令和5年度には大規模修繕を行ったマンションでは、固定資産税を最大半分にするという税制改正が実施されます。
税制支援がなされるほど、実はもはや“社会問題”として捉えられているものなので、まずはご自身のマンション修繕積立金問題に関心を持ち、その金額と内容をチェックする必要があると思います。

あわせて読みたいコラム5選

不動産売却・住みかえをお考えなら、無料査定で価格をチェック!

カンタン入力!60査定したい不動産の所在地を選択してください

都道府県は?

ノムコムが選ばれる3つのポイント ノムコムが選ばれる3つのポイント

新着記事

もっと見る閉じる

人気記事ベスト5

カンタン
60
入力!

売却をお考えなら、
まずは無料査定から

都道府県は?

あの人に、頼んでよかった。野村の仲介PLUS
多くのお客様からご評価をいただきました

60
カンタン入力!
売却・住みかえの第一歩は、
まず価格を把握することから!

査定したい不動産の所在地を選択してください

都道府県は?

査定したい不動産の
郵便番号を入力してください
カンタン入力!60査定したい不動産の所在地を選択してください

都道府県は?

無料査定スタート