マンションの「顔」とも言えるエントランス。最近ではマンションの建築技術が進歩し、それに合わせて豪華で充実した機能をもつエントランスも増えています。外観や雰囲気だけでなく、エントランスが担う役割や機能を把握することで物件を選ぶときに適切にチェックできるようになります。共用設備の種類などを含めて解説します。
1. マンションのエントランスとは?
マンションのエントランスとは、正面玄関のことを指します。例えば分譲マンションでは、敷地に入ってから建物に近づくと最初の扉があり、そこを入るともう1枚扉がある二重扉のスタイルが多くみられます。最初の扉は自動ドアであったり手動式であったりさまざまですが、2つ目は最近のマンションではオートロックであることがほとんどです。2つ目の扉を入るとようやくエレベーターのあるロビーまたはホールと呼ばれるスペースに行きつきます。明確な決まりはないようですが、1つ目と2つ目の扉の間のスペースをエントランスと呼ぶこともあれば、エレベーターのあるスペースまで含めてエントランス、またはエントランスロビー(ホール)と呼ぶ場合もあります。
マンションのエントランスの機能
マンションのエントランスは、単に出入口というだけでなく、住人の安全な暮らしを守るという大事な機能を持っています。住人の利便性を向上してくれる機能にはどのようなものがあるか、見ていきましょう。
防犯カメラ
マンションのエントランスは住人以外にもさまざまな人が出入りします。宅配業者や引越し業者、または住人への来客もあるでしょうが、すべての入館者を把握することは困難です。そこでセキュリティのために欠かせない設備として防犯カメラがあります。入館者を記録することはもちろん、防犯カメラが設置されていること自体が、犯罪やトラブルの抑止力になります。
オートロック
分譲マンションではオートロックは標準装備となりつつあります。オートロックがあることで、住人や住人が許可した来客や業者など関係者以外の侵入を防ぐ効果が高まります。マンションのセキュリティの高さを示す機能のひとつでしょう。特に賃貸マンションの場合は、住人の入れ替わりによって見ず知らずの人が出入りすることも多くなりがちです。女性の一人暮らしや子供のいる家庭などには特に必要な機能でしょう。
宅配ボックス
日中不在にする人、または子育てや介護などで手が離せない人にとって便利なのが24時間対応の宅配ボックスです。再配達の手配が不要になり、配達員と直接接触する必要もありません。忙しい人にとっては、すきま時間にネットショッピングしたものが帰宅すれば受け取れる、というのは非常に便利ですね。最近では大きめのダンボールでも入る大型のものや、出前容器の返却用の専用ボックスがあるものなどさまざまなものが登場しています。どんな機能があるかチェックしておきましょう。
2. マンションのエントランスの役割・使い方
それではマンションのエントランスの役割・使い方について具体的に見てみましょう。
防犯・風除機能
最近の分譲マンションのエントランスは、多くが二重扉になっています。先述したように最初の扉は誰でも出入り可能、次の扉はオートロックなどで鍵や暗証番号がないと開かない扉です。この二枚の扉の間の空間を風除室(ふうじょしつ)と言います。風除室は外気との気温差を調節したり、衣服等に付着したホコリや花粉、ウイルスを払って建物内への侵入を防いだり、強い風の流れを緩和するなどしてエントランス内を快適な空間に保つ役割があります。またこの風除室にオートロックや防犯カメラ、マンションによっては管理員室が設置されているため、防犯面でも重要な役割を果たしています。
外部の人と面会できる
広々とした空間に観葉植物が配置され、マンションのイメージに合わせた家具や調度品が置かれた雰囲気の良いエントランスが増えています。ソファやテーブルは住人が自由に使えるのはもちろん、友人や家族が遊びに来たときや急な来客との面会場所としても使えて非常に便利です。部屋の中に招くほどでもない業者などの来客時や、リモートワークや子供の勉強、地域コミュニティによるワークショップなどにも使用でき、生活スタイルによっては非常に重宝する設備となっています。広さや設備、用途など実際に生活したときにどのように利用できるかイメージしながら確認すると良いでしょう。(※マンションの共用部分使用細則、ルールによっては禁止されている場合もあります。ご自分のマンションルールに従ってください)
3. マンションエントランスのデザインで気にするべき点
マンションエントランスのデザイン面で確認するべきポイントを紹介します。
・ロビー(ホール)
御影石や大理石のような石材が壁や床に使われていると、それだけで高級かつ重厚な雰囲気になります。ただしどんなデザインでも清潔さが維持されているかがとても重要です。床にゴミやホコリが放置されていないか、観葉植物の植栽の手入れなど、清掃・メンテナンスが行き届いているかを確認しましょう。
・照明器具
照明ひとつでもイメージはがらりと変わります。間接照明などによる壁から天井、または足元の演出はイメージアップになります。また特に夜間の照明は、エントランスに十分な明るさを確保することで防犯面でも有効です。昼間だけでなく夜間にも訪れて確認すると良いでしょう。
・天井の高さ
エントランスの天井が高いと解放感があり、特に来客で利用するときなど人が大勢いても音がこもらず快適に過ごせます。その反面、空調設備が十分でないと夏や冬は敬遠したくなる空間になります。シーリングファンや冷暖房設備などが適所に設置されているかも確認しましょう。
・バリアフリー設計
素材や色あいだけでなく、バリアフリーであるかも重要なポイントです。日々の生活をイメージしてみましょう。具体的には、子供が小さいときのベビーカー移動や、オートロック・宅配ボックスの配置の高さ、高齢者や障がい者のための車いす利用にも十分な配慮がされているかを確認しましょう。
4. マンションエントランスのインターホンの種類・仕組み
最近のインターホン機器の特徴としては、液晶モニターの大型化、タッチパネル、録画機能、ズーム機能など利便性と防犯性が向上しています。インターホンには「集合玄関型」と「住戸単独型」の2種類あり、オートロックを採用しているマンションの場合、その両方が採用されているケースがほとんどです。
・集合玄関型インターホン
エントランスに集合玄関機が設置され、各部屋の親機から遠隔操作でオートロックを開錠できるタイプです。各住戸、エントランス、管理員室などマンション全体がネットワークで繋がっています。
・住戸単独型インターホン
各住戸の前に設置された玄関子機と住戸内の居室親機で構成されるタイプです。主にオートロック機能がないマンションに設置されており、住戸単位で設置します。自動火災報知設備と連動する機能があるものもあります。
5. マンションエントランスの鍵(オートロック)の種類・仕組み
マンションエントランスの鍵(オートロック)は、建物そのものの防犯性を考えるうえで重要なポイントです。暗証番号を入力したりカードを通して開錠したりするものから、顔認証で通過できるものなどさまざまなタイプがあります。
暗証番号式
鍵ではなく暗証番号によってオートロックを開錠するのが暗証番号式です。オートロックの扉の前にテンキーが設置され、住戸ごとに予め設定した暗証番号を入力することでドアが開きます。鍵を使う必要がないので持ち歩く必要がないというメリットがある一方、暗証番号をのぞき見されるリスクがあります。また暗証番号を忘れたり、間違えたりすると中に入れないので注意が必要です。
カードキー・非接触式
カードキーや非接触型の鍵、またはスマートフォンをかざすだけで開錠されドアが開くのが非接触式の特徴です。バッグやポケットに入れたままかざすこともできます。また差し込み型の鍵と異なり、複製がしにくいというメリットもあります。ただし組み込まれている磁気やICチップの破損、またはカードや鍵そのものの紛失リスクがあります。
生体認証(指紋認証・顔認証式)
最先端の設備として導入が進んでいるのが生体認証式のオートロックです。予め登録した指紋や顔をセンサーにかざすことで認証、開錠します。顔認証であれば手がふさがっていても開錠でき、紛失や破損のリスクもありません。家族全員の指紋や顔を登録しておけばいいので、小さなお子さんがいる家庭でも安心の設備と言えます。
集合キー式
オートロックのインターホン部分に設置された鍵穴に、自分の住戸の玄関と同じ鍵を差し込んで開錠するのが集合キー式です。合鍵などで家族全員が所持でき利便性が高いため、最も普及しているタイプです。しかし簡単に複製できることはリスクでもあり、すべての住戸の鍵に対応しているため作りは甘く、セキュリティレベルは高くありません。
6. マンションエントランスの鍵(ロック)をなくしたら?
マンションの鍵を紛失したことに気づいたら慌てて行動せず、落ち着いて立ち寄った場所や利用した乗り物をリストアップしましょう。問合せが可能な場所にはすぐに連絡を入れ、乗り物であれば鉄道会社やタクシー会社への連絡もしてください。すぐに手掛かりが見つからない場合は、最寄りの警察に「遺失届」を出しましょう。特に集合キー式の場合、紛失した鍵によってマンション内に侵入することができてしまうため、紛失したことに気づいたらすぐに管理会社に連絡しましょう。マンションで加入している保険や入居時に個人で加入した火災保険に、鍵開け・鍵交換などの特約が付帯されていれば対応可能な場合もありますので、不安な場合は確認しても良いでしょう。
7. マンションのエントランスにこだわろう
エントランスが担う役割と機能、そしてチェックポイントについて解説してきました。マンションで快適に暮らすための重要な要素として、日常的に使用するエントランスを確認しましょう。デザイン性だけでなく、利便性と安全性という観点からも重要なスペースです。またどんなに美しいインテリアや機能的な設備も、管理が行き届いていなければ利用頻度が下がりただのコストとなります。さまざまなマンションを比較しながら、自分に合った住まいを見つけることが大切です。
番外編:見落としがち?マンションの1階平面図で読み取れるエントランス等の情報とは
マンションのエントランスは平面図では「アプローチ」と記載されていることがあります。先述したように明確な定義はなく、新築マンション分譲会社(売主)によってロビーやホールと一緒にしたり切り分けたりとマンションごとに表記が違います。普段見慣れない用語がありますので解説しておきましょう。
・風除室(ふうじょしつ)
エントランスの二重扉のうち誰でも出入り可能な最初の扉と、オートロックなどでセキュリティがかかっている二枚目の扉の間の空間を風除室(ふうじょしつ)と言います。
・植栽(しょくさい)
敷地内の庭や木、植え込みのことを植栽と言います。植栽を美しく安全に保つには、剪定・草刈・薬剤散布などの植栽管理が欠かせません。
・道路境界線(どうろきょうかいせん)
文字通りマンションの敷地と道路の境界線です。マンションの規模や道路の幅によって、出入口の間口の広さや道路と接する最低限の長さが決められています。
宅地建物取引士
中学高校の数学教師を経てファイナンシャルプランナーの道に進む。年間100世帯以上の個別相談に対応しながら、確定拠出年金や住宅ローン、ねんきん定期便の見かた等各種セミナー講師も担当。住宅ローンアドバイザー、CFP資格も保有。
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