家を高く売りたい!売却の流れや基礎知識、 ポイントなどを解説

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長年住んだ家を高く売るためには、どのような手順で何をどう確認すれば良いでしょうか?また知ってきたいポイントや注意点は何でしょうか? 今回は戸建住宅のオーナーで、家を売りたいけどいろいろな心配や悩みがある人にとって、参考となる売却の流れや基礎知識、ポイントなどを解説します。

目次

1. 家を売る際の流れ

まず、家を売る際の一般的な流れをご紹介します。

1-1. 不動産仲介会社に査定を依頼する

家を売るにはまず仲介をしてくれる不動産仲介会社を探し、どのくらいの金額で売れるか査定をしてもらいましょう。現在はインターネットサイトを利用すれば複数の会社に同時に見積りを出すことも可能なのでとても便利です。
しかし、このようなサイト経由だと、情報を受け取る不動産仲介会社は、複数の会社と“相見積もり”であることを把握しているので、どの程度丁寧な情報提供をしてくれているかは分かりません。
従って、物件の土地の形に個性があるとか、建物に特別な設計や仕様や設備がある場合、また、売る時期や売買条件にこだわりがあるなら、売主の思いを十分にくみ取ってくれる会社を丁寧に選び、時間をかけて相談するのも一つの方法です。
どのような不動産仲介会社とお付き合いをするかが、まずは重要な第一歩であることを認識してください。

1-2. 不動産仲介会社と媒介契約を結ぶ

不動産の査定に関し、満足する説明をしてくれたなら、正式にお願いするためには不動産仲介会社と媒介契約を結びましょう。
この媒介契約には①一般媒介契約、②専任媒介契約、③専属専任媒介契約の3種類があります。大きな違いは①は複数の不動産仲介会社と契約を結ぶことができるのに対し、ほかの②と③は1社としかできない点です。
さらに、①と②は自ら見つけた買主とでも契約が可能ですが、③に関しては、それはできません。完全に不動産仲介会社にお任せするという契約形態になります。
個人の売主の場合、一般的に信頼できる②、③で売却活動をするケースが多いようです。また、どうしても複数社にお願いした場合は①も選べます。まずはこの3種類があることを把握しておくことが大切です。ただしそれぞれにメリット、デメリットがあり、物件の個性やその時の市場の状態でも大きく変わります。

1-3. 不動産売却活動の開始

家を売る場合、一般的には不動産仲介会社に売却を依頼するケースがほとんどです。ここでは、不動産仲介会社に売却を依頼することを前提にご説明します。
不動産売却活動においては、基本的に不動産仲介会社がお預かりした物件のチラシ、インターネット広告掲載などで購入検討者を募ります。この時売主として表立ってやることはありませんが、例えば見学時に買主から出た問い合わせに対応することはあるかもしれません。
買主側に立って考えれば、家を補修した履歴や建物の品質保証書や最近調子が悪いと感じている箇所はどこか、また隣地に関する取り決めや、固定資産税の負担額など、物件の良いことも悪いことも知ったうえで購入するかどうかを決めたいはずです。不動産仲介会社の営業担当では知りえない情報をその場で聞くことができると、購入意思表示を早めにしてもらえることもあります。
売却活動は不動産仲介会社と売主様双方の協力の上に成り立っています。

1-4. 売買契約・引渡し

無事に買主が見つかれば売買契約を行い、その後引渡しとなります。 契約書は不動産仲介会社が作成してくれるものなので、売主として分からないことは仲介会社に説明してもらい十分に理解する必要があります。
なお重要事項説明書は宅建業法35条1項によれば、不動産仲介会社が、相談者である「買主」に対し、購入しようとする宅地に関し、売買契約が成立するまでの間に宅地建物取引士が取引にあたっての重要な内容を説明するものです。従って実は「売主」がその内容を理解し、書面の交付を受けなければならない決まりはないのですが、後々のトラブルを回避するため、一緒に聞いて理解したほうが良いでしょう。
そして引渡しに関しては、「いつまで」に「どんな状態」であるべきかをしっかりと決める必要があります。
相手の引越しが決定したのに、自分が準備不足で出ていくことができないと大きなトラブルになりかねません。
また、引越しにあたり、残置物として置いていって良いものといけないものをしっかりと分ける必要があります。例えば売主がよかれと思って置いていった、おしゃれなガーデンチェアーも、買主の好みに合わなければただの粗大ごみになってしまい、迷惑をかけることになるからです。

2. 家を売る前に確認しておきたいこと

家を売るという行為を実行する前に、いくつか売主として確認しておくべきことがあります。これらについて以下でご説明します。

2-1. 家の状態を把握する

同じ家であっても「住み心地」は人によって異なります。
例えば自分が長年住んだ家なら、多少ドアが開けづらくても開閉できるコツを知っているでしょうし、床や壁の傷であれば思い出とリンクするもので愛着を持てるかもしれません。しかし、それらは他人にとってはマイナスポイントでしかありません。
思い入れは、市場価値に換算されないので、家を売ろうとしても、予想よりかなり低い金額でしか売却できないことも多いのです。
自分一人では難しいですが、客観的に家の状態を把握し、その市場価値を理解しておくことは、売却前に確認すべきだと思います。

2-2. 家の相場を調べる

不動産仲介会社にお願いすると、家の相場は調べてもらえます。
不動産仲介会社は過去に売れた金額から、売れると思われる金額を教えてくれます。そのため、ご自身が売りたい金額とは異なっている可能性もあるでしょう。
自分自身が納得するためにも、自分で考える相場観を掴んでおくのも重要です。
その場合、様々な不動産仲介会社が発表しているサイトでも良いですし、地価マップなどの公的評価がまとめて分かるものを参考にしてみてください。
(参考:全国地価マップ https://www.chikamap.jp/chikamap/Portal?mid=216)

2-3. リフォームの必要性を検討する

時代とともに暮らし方や家族構成は変わります。現代は特に世帯構成は核家族化が進み、一生「お一人様」で過ごす人も珍しくありません。そうなるといわゆる「ファミリータイプ」で、4、5人家族がそれぞれの個室を持つために小さな部屋で区切られた間取りは、時代のニーズと合わなくなる可能性が高いです。
壁が汚れているとか、床が傷んでいるという理由以外に、今の市場で人気がない間取りや設備である場合には、より早く、より高値で売るために、リフォームという選択肢を考える必要があります。
ただし、自分で良かれと思って多額の費用を投じたリフォームが、全く市場価値に反映されない場合もあります。土地のポテンシャルを活かすためには、むしろ更地にしてしまったほうが良い場合さえあります。従って、売るためのリフォームを実施するには、専門家などに聞き、慎重に判断したほうが良いと思います。

2-4. 敷地の境界線を明確にしておく

相隣関係(そうりんかんけい)と呼ばれるお隣さんとの境界のもめ事は、測量技術がどれだけ進んでも絶えることはありません。それは、お互いが思っている敷地が客観的な資料に基づくものでなく、「昔からそうだった」という、他人から見たら曖昧な根拠で成り立っているためです。よく知ったお隣同士なら、多少の違いは目をつぶるものの、それが売買によって第三者が登場することで、トラブルが起きることもあるのです。非常に気が重い作業ですが、売買の際は、敷地の境界に関する確認は怠らないようにしましょう。

2-5. 住宅ローン残高の確認

基本的には住宅ローンの残債がある場合でも売却はできます。しかし、残債が少なければ住みかえの選択の幅が広がるため、その残高を確認することは大切です。
なお、手持ち資金で返せなくても、売れた代金で現状のローンを返済する方法もあります。
しかし、その場合、売ったお金で残債はもちろん、各種手数料をカバーできるような、望ましい金額で売る必要があります。そのためにはかなり緻密に売却金額を設定し、望ましい購入者へのアプローチが必要となります。個人では対応が難しいと思いますので、この場合も不動産仲介会社を上手に活用することをおすすめします。

3. 家を売る際に抑えておきたい基礎知識

家を売るにはタイミングをとらえる判断能力も大事ですが、一定の知識も必要です。
損や失敗を防ぐためにもぜひ参考にしてください。

3-1. 家を売る方法

家を売るには大きく分けると自分で売るか、他人に売ってもらうかです。
この他人とは、場合によっては親せきや友人ということもあります。不動産市場があまりオープンではない、田舎の地域では、集落の口コミで不動産売買が成立するともあるかもしれません。
しかしそのような慣習的な取引は、細かい取り決めもなく進むことが良い反面、何かあった際には解決が難しいと思われます。
売買にあたり2022年に施行される改正民法では契約不適合責任といって、以前からあった瑕疵担保責任よりもより売主の責任が重くなっている事実も忘れてはいけません。

3-2. 家を売るまでにかかる期間

一般的に家を売るには最低でも3か月から半年程度は見ておく必要があります。
もちろん中には1か月以内で売れることもありますが、それはまれなケースで、むしろ1年たっても売れなくて値下げしなくてはならなくなるほうが多いでしょう。
もちろん設定した金額やタイミング、物件の良し悪しにもよりますが、購入者にとって大きな買い物であることは間違いないので、時間がかかって当然ととらえる必要があります。

3-3. 家を売る際に必要な書類

家を売るにあたって必要な書類は、不動産仲介会社との契約前、売買契約時、引渡し時など、売買の段階によって異なります。
まず、契約前に用意すべき書類として、自分が所有者である証としての「権利書」があります。ただし、最近は「登記識別情報」というデータのほうが重要です。それはご自身が当該物件を入手した際に通知されているため、まずはその書類を探すことが最優先となります。
身分証明として免許書やパスポートなどの顔写真入りの書類と、建物に関する設計図書や検査済書、土地の測量図なども用意しておきましょう。
売買契約時では、それ以前に請求される可能性もありますが、固資産税の評価証明書が必要になり、印鑑証明や住民票、ローンがあるならその返済契約書なども提出しなければならない可能性もあります。
引渡し時には建物に付随する給湯器やソーラーパネル、お風呂や台所の設備などの各種設備のマニュアルや保証書、鍵の引渡し書が必要です。
これ以外にも必要な書類はたくさんあるので、売買契約書などを自分で作成するのは難しいです。この点からも売買にはプロの力を頼るのが合理的と言えます。

3-4. 家を売る際にかかる税金について

家を売る際にかかる税金は①手続きをしたら必ずかかるものと、②利益が出たらかかるものがあります。
①については収入印紙税といい、不動産の売買契約書などの「課税文書」と呼ばれる文章の作成時にかかるものがあります。不動産の登記をする場合に必要な税金としては登録免許税があります。
一方、②の利益が出たらかかるものとしては譲渡所得税と復興特別所得税があります。譲渡所得税は所得税と住民税をまとめた呼び方であり、物件の譲渡収入金額―(物件の取得費+売却費用)を計算し、その金額に応じた税率によって税額が決まります。ただし、この譲渡収入は「3000万円特別控除」など、売却した不動産や売主の条件によって特例控除や軽減税率の適用を受けます。従って、利益が出たとしても、納税額としては0円かわずかであることも多いです。一方、家といっても自宅ではない投資用の家で、かつ短期で売るような場合では、まったく状況が違うことにも留意しましょう。
また、復興特別所得税は復興税とも呼ばれるもので、東日本大震災の復興のために使われる税金として徴収されます。
さらに、厳密には、不動産仲介会社に依頼した場合には、その仲介手数料に消費税もかかります。
このように家を売る場合の税金は様々で、売り方や売る物件の状況で大きく違うことに注意しましょう。

4. 家を高く売るためのポイント

家を高く売るためにはどのような点に気を付けるべきでしょうか?いくつか注意すべきポイントがあるので以下でご紹介します。

4-1. 物件のアピールポイントの検討

家を購入する際、細かいチェック項目はいくつもあります。しかし、結局「景色がいい」とか「日当たりがいい」とか「庭の雰囲気がイメージ通り」など、気に入った一つのポイントが決め手となることが多いと思います。
売主の立場としては、マイナスポイントを減らし、ご自身で住んできて気持ちよかった点や心地良かったことを正直に伝えれば良いと思います。
いくつもあり過ぎると、逆に何か欠点を隠しているのかと不審がられるので、十分に絞った内容で数点あれば十分だと思います。

4-2. 内覧の準備を怠らない

買主にとって家を内覧する際は、壁や床の状態に加え、廊下の幅やコンセントの位置が気になるものです。これらをチェックしたくても、現在の所有者の荷物が山積みでは満足できる内覧ができず、買う気持ちを失わせる可能性があります。部屋をスッキリ見せるためにも、掃除と整理整頓をおこない、内覧の準備を事前にしておきましょう。もちろんスリッパもきれいなものを用意しておくべきです。

4-3. 適切な不動産仲介会社を選択する

最近はAIなどの最新技術を活用して、よりスピーディーで正確なサービスを提供する不動産仲介会社もあります。また、家の雰囲気にあった家具を配置し、買主の購入後の生活イメージを掴みやすくすることで、より早く高値で不動産の売却を試みるサービスもあり、これを「ホームステージング」と言います。
しかしこのホームステージングをしてくれる会社は現状ではあまり多くなく、このような新しいサービスを取り入れているかは会社によって異なるので、適切な会社を選択する必要があります。

4-4. 家をメンテナンスしておく

家のリフォームに関してお金も必要としますし、リフォームのやり方次第では、せっかく費用をかけてもその投資額に見合う売却金額のアップを見込めないこともあります。
このようにリフォームすべきかどうかは慎重に検討すべきですが、メンテナンスは必ずしておいて損はありません。特に生活に直結する水回りや電気設備関係は、1日でもその機能が停止すると生活に支障がでるのでこまめにメンテナンスをしておくべきです。
リフォームに関しては個人の意向が反映されるので、購入後に行われることが多く、売る前に必ずしなければならないというものではありません。

5. 古い家も高く売ることは可能?

今は「空き家問題」といって長期間にわたり住まれずに放置されている家の増加が社会問題化しています。空き家になる前に古くなった家を処分することが大切ですが、そんな家を売ることができるのか、またどうしたら売れるのかを考えてみます。

5-1. 築年数で見る売却相場

「古い」と一口にいってもとらえ方は様々ですが、一般に「中古住宅」とは「新築」ではない建物を言います。
それでは「新築」とはどう定義されるかというと、「新たに建設された住宅で、まだ人の居住の用に供したことのないもの(建設工事の完了の日から起算して1年を経過したものを除く。)をいう。」と定められています。
従って、新築とは建物が未使用の状態で、築後1年以内のものを言います。
そうなると、1度でも誰かが住めば築半年でも「中古」であるし、いくら未使用であっても1年経てば「中古(未入居)」になってしまうのです。
このように中古物件のとらえ方は広いので築年数の差で大きな価格差が出る傾向にあります。
国土交通省がまとめた「中古住宅流通、リフォーム市場の現状」
https://www.mlit.go.jp/common/000135252.pdf )によると、「住宅の市場価値は、経年により減少。 戸建住宅の場合、築後20年で価格はほぼゼロ」と書いてあります。最近は住宅の性能もあがってきたので、20年で0は厳しすぎますが、減価償却の耐用年数が22年であることから、20年ぐらいという感覚は根強く、20年を超える物件にはあまり思うような値段が付かないと考えたほうがよさそうです。

5-2. 価値がない家を売る方法

古くて価値がない家を売るには①古家付き土地として売る場合と、②家を解体して更地として売る方法があります。売る側としてコストがかからず、すぐに売却活動ができる点では①のほうが有利です。さらにあくまでも売るのは“土地”であって、建物はその土地に付随するおまけとして売れば、建物に対する瑕疵担保責任(改正民法では契約適合責任)を負う必要がないのです。極端な例で言えば、契約した次の日に家が壊れたとしてもなんら責任を取る必要はないのです。
ただし、購入者にとっては、このような価値がない家付きの場合は有利な状態とは言えないので、敬遠されることもあります。そうなると結局、売るのに時間や手間がかかり、取り壊しに要すると考えられる費用以上の値下げを求められる可能性は否定できません。
以上から、古く価値がない家を売る方法は確かに2つありますが、建物価値がほとんど見込めない場合には、いっそのこと更地化してしまうほうが高く売れる可能性も考えられます。

5-3. 古い家を売る際の注意点

リフォームやリノベーションする価値があり、まだまだ使えるような古い家の場合には、買い手がつく可能性は高いです。現在のように新築価格が高騰している市場状態であれば、中古住宅の割安感はそれだけでも大きなセールスポイントです。逆を言えば、多くの人は新築のほうが良いが、中古が割安だから買うわけなので、設定金額を間違えてはいけません。まずは高めに設定し、売れなければ値下げするという販売戦略もあると思いますが、価格改定のデータは残ってしまうので、値下げしなければ売れない物件という印象を持たれてはむしろマイナスになることに注意しましょう。
そして、建物には「既存不適格」といって、建築当初では適法だったものが、法改正によって不適格になってしまうものの、現状の建物を利用する限りは問題ないものがあります。
それは確かに法律上では問題ないのですが、耐震性や安全性などに問題があることが多いですし、更地にしてしまうと同規模の建物が建たないまたは、再建築することができない場合が多いです。
主にそれを調査するのは買主の責任ではありますが、売主としても適切な情報提供をしたほうが無用なトラブル回避に役立ちます。

6. まとめ

「家を高く売りたい」という売主にとって、その注意点やポイントがお分かりいただけたと思います。家の売値は家の管理状況、清掃、空室か否かなどでも影響するものです。 一人の判断では難しい点があるので、信頼できるパートナー選びこそが実は一番大切であり、信頼できる不動産仲介会社のサービスを利用することが高値売却できる可能性を高めていくことにつながると思います。

田井 能久

田井 能久

不動産コンサルタント
不動産鑑定士として25年のキャリアを持つ。訴訟や調停、並びに相続等の税務申告のための鑑定評価書の作成が得意。 最近はマレーシアを中心としたビザの取得と海外移住のサポートを通して、トータルな資産コンサルティングも展開している。

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