相続税路線価とは?計算方法は?分かりやすく解説

  • facebookでシェア
  • twitterでシェア

不動産の評価などに使われる相続税路線価とはどんなときに使用し、どうすれば計算できるのでしょうか。また、それをどうやって調べればいいかご存知ですか?このような相続税路線価にまつわる疑問を分かりすく解説します。ぜひ最後までご覧ください。

目次

1. そもそも相続税路線価とは?

路線価とは、相続を受けた土地や贈与を受けた土地の資産価値を算定するために、国税庁が発表している土地の価格です。ただし、土地の価格と言っても、一つ一つの画地の評価額を発表していたら膨大な数になってしまうので、土地の前面道路の価格を定め、その道路に面する土地の評価は一律とみなす「路線価評価方式」を採用しています。その略称がいわゆる「路線価」と言われているものです。

その路線価は毎年1月1日を評価時点としますが、その内容が発表されるのは毎年7月ごろとなっています。そして毎年ニュースでは銀座の「鳩居堂」前から、「今年の路線価が発表されました」というニュースが流れます。ちなみに2022年は前年比▲1.1%の、4,224万円/㎡(1億3,964万円/坪)でした。
(参照:令和4年分?東京国税局各税務署管内における最高路線価 https://www.nta.go.jp/about/organization/tokyo/release/r04/rosenka/index.htm

もちろん、このような東京の商業地だけでなく、全国の各県の市街地を形成している地域であれば、路線価は定められています。そしてその情報は、国税庁が管理する専用のホームページ(財産評価基準書路線価図・評価倍率表 https://www.rosenka.nta.go.jp/)から調べることができます。

2. 土地の評価方法には4種類ある

公共から発表される土地価格には実は上記の路線価以外にもあり、よく日本の土地価格は「一物四価」などと言われます。それぞれの違いについて以下で詳しくご説明します。

相続税路線価
相続税評価の代表的である路線価は「国税庁」が「相続税や贈与税の計算するため」に定められたものです。またその価格の基準は毎年1月1日です。ちなみに、この路線価による評価方法は市街地における宅地の評価方法であります。したがって、市街地でないようなところ、具体的には都市計画法上で「市街化調整区域」の場合には、この路線価を定めることはなく、固定資産税の評価額の倍数でその評価額を定める「倍率方式」を採用しています。また、路線価の金額は、1年間の地価変動などを考慮し、地価公示価格等を基にした価格の80%程度を目途に定められています。

公示価格
公示価格も、毎年1月1日を基準とした土地の価格でありますが、それは「国土交通省」が「土地の取引価格の指標とするために」発表するものです。相続税路線価はその道に付けた価格の発表ですが、地価公示は具体的なポイントのそのもの価格であります。したがって、規模が大きいとか、角地である場合、そして北側道路に面する土地と南側道路に面する土地などのそれぞれの土地の個性が反映されているため、すぐ近くの土地であっても価格が大きく違うことがあるのが路線価との大きな違いです。また、相続税路線価にはない、市街化調整区域や山林であっても、評価する地点が定められています。この地価公示は相続税路線価や固定資産税路線価の基準となる大事な価格であり、2名の不動産鑑定士によって評価が行われ、その結果が毎年3月下旬に発表されます。

基準地価格
基準地価格は、国ではなく、「各都道府県」が主体となって、公示価格と同様に「土地の取引価格の指標となるために」発表するものです。その目的は公示価格とほぼ同じですが、根拠法が国土利用計画法であることから、「土地取引の審査基準」としての機能も持っています。また、具体的なポイントそのものの価格である点や、市街化調整区域などにもある点についても公示価格と同じです。ただし公示価格との最大の違いは、毎年7月1日時点の価格を調査するので、その結果は9月の下旬に発表されます。なお、調査する地点は公示価格の地点と重なっているものもあれば、基準地独自のものもあります。

固定資産税評価額
固定資産税評価額は、「各市区町村」が主体となって、地方税法に基づき個人や法人が保有する資産に対する税金を定める場合に指標となる価格です。固定資産であれば「土地」「建物=家屋」「償却資産」に分かれますが、土地の評価方法については、相続税と同様に路線価方式を採用しており、実は固定資産税にも路線価があります。そしてそれは閲覧することも可能です。一般に路線価というと=相続税路線価と考えがちですが、固定資産税の路線価もあることに注意しましょう。
また固定資産税路線価は、所有している限り毎年かかる税金なので、相続税路線価よりやや低く、地価公示価格等を基にした価格の70%程度を目途に定められています。

3. 相続税路線価の計算方法

相続税路線価は以下のような手順で計算できます。

①まずは調べたい土地の場所を確定し、その土地の路線価図を調べる。
②路線価図は1㎡当たりの価額が千円単位で表示されているので、接面する道路の金額を調べます。
(下記の相模原市緑区の土地の場合、120Dの表記なら、1㎡当たりの単価は120,000円/㎡となります。坪当たりの単価でないことにご注意ください。単価の後に記載されているアルファベットは借地権割合を意味し、Dなら(60%)という意味です。その土地の借地権価格を求めるときにだけ活用します)

(出典:https://www.rosenka.nta.go.jp/main_r04/tokyo/kanagawa/prices/html/78057f.htm

③上記で求めた単価に面積をかけて総額の土地価格を求める。
(例えば200㎡なら、120,000円/㎡×200㎡=24,000,000円となります。)
土地が角地である場合や奥行きが長いなどの個性が強い土地の場合には、上記で求めた価格に補正が必要となります。したがって、あくまでも概算として捉えると良いでしょう。

4. 相続税路線価がない場合の計算方法

相続税路線価は基本的に市街地で採用されている方法なので、市街化調整区域などの郊外では路線価がない場合も多いです。そのような場合には、それぞれの県ごとに定められている「評価倍率表」から「一般の土地等用」を選び、調べたい住所の倍率を確認し、固定資産税評価額に倍率をかけて計算します。
例えば下記のように相模原市中央区青葉3丁目に所在する土地は市街化調整区域であるため、路線価方式でなく、倍率方式でその率は1.0となっています。
したがって、固定資産税の評価額が総額で10,000,000円の場合、相続税の評価額は10,000,000円×1.0=10,000,000円と、ここでは同額になっています。

(出典:https://www.rosenka.nta.go.jp/main_r04/tokyo/kanagawa/ratios/html/d39401rf.htm

5. 相続税路線価はいつの年度のものを使う?

相続税路線価は毎年調査され、その結果は7月ごろに発表されます。すべてではないですが、大半の路線価は1年間の地価変動を反映して価格が高くなることもあれば、安くなることもあり、変化しています。
このような変化があるため、相続税の評価は、相続が発生した年の路線価を使って計算しなければなりません。
極端な例ですが、相続発生が12月31日と1月1日では、土地の評価額が変わるので、支払うべき相続税の金額が変わることもあり得るのです。

6. 相続税路線価の調べ方を分かりやすく解説

かつては相続税路線価を調べるのも一苦労でしたが、現在は以下の方法で簡単に調べることができます。次に相続税路線価の調べ方を分かりやすく解説します。

全国地価マップで調べる

一般財団法人 資産評価システム研究センターが「全国地価マップ(https://www.chikamap.jp/chikamap/Portal?mid=216)」をリリースしており、これによって住所や地図から簡単に相続税路線価を調べることができます。さらにこの全国地価マップは、先ほど説明した公示価格、基準地価格、固定資産税路線価も同じ地図上でタブを切り替えてみることができます。非常に便利なツールなので是非活用されることをおすすめします。ただ注意点として、あくまでも国でなく一般社団法人が行っているので、データーの更新時期、つまり新しい路線価が発表されてもこのサイトに反映されるには時間がかかります。またデーターの正確性も自らが再チェックする必要がある点に注意しなければなりません。

国税庁のホームページで調べる
相続税路線価は専用のホームページ(https://www.rosenka.nta.go.jp/)から調べることができます。
市町村の索引図から場所を特定する方法もありますが、事前に「字」までの住所を調べていないとなかなか特定し難いのが難点であり、またそれが分かっていても、大きな公園とか広い道路などから辿って場所を特定するしか方法がありません。かつては冊子で公表されていたものが、WEB化したのは良いですが、単にPDFが見られるだけで見にくさは未だに改善されていません。地図も北で固定されたままであり、かなり慣れた人向けという感じです。

税務署で調べる
オンラインが使えない人や、紙の方が見慣れている人は税務署でも見ることができます。ただし、その所轄の税務署で担当する地区のみであり、全国を見られるわけでないので注意してください。なお、公立図書館にも備えてあることが多いです。

7. 相続税路線価の計算・調べ方を理解しよう

相続税路線価は、相続の評価では欠かせないものであると同時に、土地価格の指標としても広く知られているものであります。実勢価格の80%で定めてあることから、一般の取引でも80%で割り戻した金額で売買価格の指標としたりします。少々調べるのに手間がかかり、活用するのはコツがいりますが、相続税だけでなく、一般の土地売買でも参考となるものであるので十分に活用できるように本記事でご理解頂ければと思います。

田井 能久

田井 能久

不動産コンサルタント
不動産鑑定士として25年のキャリアを持つ。訴訟や調停、並びに相続等の税務申告のための鑑定評価書の作成が得意。 最近はマレーシアを中心としたビザの取得と海外移住のサポートを通して、トータルな資産コンサルティングも展開している。

あわせて読みたいコラム5選

不動産売却・住みかえをお考えなら、無料査定で価格をチェック!

カンタン入力!60査定したい不動産の所在地を選択してください

都道府県は?

ノムコムが選ばれる3つのポイント ノムコムが選ばれる3つのポイント

新着記事

もっと見る閉じる

人気記事ベスト5

カンタン
60
入力!

売却をお考えなら、
まずは無料査定から

都道府県は?

あの人に、頼んでよかった。野村の仲介PLUS
多くのお客様からご評価をいただきました

60
カンタン入力!
売却・住みかえの第一歩は、
まず価格を把握することから!

査定したい不動産の所在地を選択してください

都道府県は?

査定したい不動産の
郵便番号を入力してください
カンタン入力!60査定したい不動産の所在地を選択してください

都道府県は?

無料査定スタート