不動産は一生に一度の買い物と言われるため、その売買には時間がかかります。
転勤や転校などにより、すぐに不動産を売却して引っ越そうと思っても、なかなか自分の思い通りにことが運ばないことが多いので、今回の記事をご参考にして頂き、ご自身のライフプランの参考にして頂ければと思います。
1. 不動売却の平均期間・目安は?
不動産売却にかかる時間はどのくらいなのでしょうか?
それに対する調査として、「LIFULL HOME'S 不動産査定」というサイトでは、 「不動産売却にかかる平均期間とは?3,000人の声をもとに早く売る方法を解説」という調査を公表しています。
それによると、不動産会社に最初に連絡をしてから買主との売買契約が完了するまでにかかった期間は、「6ヶ月以上~9ヶ月未満」が19.7%と最も多い結果となっていますが、「3ヶ月以上~6ヶ月未満」も18.5%と、同等の割合でした。
また、「3ヶ月未満」でスピード売却できた人は16.7%いましたが、逆に「1年以上~2年未満」と売却が長期化してしまった人も16.4%と少なくないようです。
以上から「3カ月未満なら早い方で、一般的には3カ月から9か月ぐらいかかり、場合によっては1年以上かかっても珍しくない」といえると思います。
また3カ月という期間は専任媒介契約の1タームの期間であります。基本的には3ヶ月程度で売り切れる価格設定をする必要があります。
2. 不動産売却時の査定期間は?
不動産を売却するあたり、その金額を決めるうえでの大切な不動産仲介会社の価格査定にはどのくらいの時間がかかるのでしょうか?まず机上査定といって、電話やインターネットで査定依頼を行い、住所や立地、家の大きさ、マンションの場合は階数や方位などを目安に現地に行かずに査定価格を算出する方法があります。
この場合は、早いものでは数分、かかっても1日〜3日で回答が得られるものが多いと思います。
また、訪問査定と言って、机上査定で行った書類上の査定に加え、実際に現地に足を運び、建物や設備の劣化度合いや日当たり、眺望、立地条件、最寄駅から建物までの利便性や周辺のインフラ状況などを細かく確認し、詳細に調査した上で査定価格を行う方法もあります。
この方法だと、不動産仲介会社が現在の居住者とアポを取って現地に行かなくては出来ないため、期間は1週間程度を最低でもみる必要はあります。
机上査定でも大まかな価格は出ますが、より実態を反映した価格を把握したい場合には、訪問査定が欠かせないと思います。
そう考えると、不動産はその売り値を決める段階でも最低1週間はかかることから、いかに取引に時間がかかるかご理解頂けると思います。
3. 不動産売却のスケジュール
不動産を売却するにあたっての手順やスケジュールについて次に解説していきます。
3-1. 不動産売却の査定
前述の通り、不動産の売却には業者による査定が欠かせません。
それなしにご自身で売却価格を決めてもいいですが、相場よりかなり安く売って損をしてしまうか、相場よりかなり高い価格にしてしまい、全然売れずに困ってしまう可能性が高いです。
その地域に精通し、売主の意向をよく理解できる業者を探し出して、希望金額と売出価格をすり合わせて決定することが大切です。
3-2. 不動産仲介会社との媒介契約
不動産会社に仲介を依頼し契約することを「媒介契約」といいます。
それにはいくつかのパターンがあり、複数の不動産会社と契約する「一般媒介契約」、1社とだけ契約する「専任媒介契約」、1社だけと契約し、かつ自分でも売主を探すことができない、完全お任せ版の「専属専任媒介契約」などがあります。
不動産仲介会社目線ですが、複数の会社と一般媒介契約より、1社だけと契約する「専任媒介契約」や「専属専任媒介契約」のほうが、仲介手数料をいただける目測がたつため、広告などの告知活動にコストを投下しやすく、結果売りやすいということもありまえます。
しかし、物件の特性や設定する売り出し価格にも大きく影響されるので、諸事情を考慮して適切な媒介契約を選びたいものです。
3-3. 不動産売却開始から買い手がつくまで
媒介契約が済むと不動産仲介会社は売却活動を行います。
まずは購入希望者に検討に必要な情報を提供するため、登記簿や公図などと現状との相違や、都市計画法や建築基準法上の規制などを調べて、間取り図なども含めた情報をまとめた、販売図面といわれる資料にまとめます。
この現状が公的資料と相違ない場合には、その資料作りもスムーズに終わりますが、なかには現状がまったく違っているとか、建築時とは大きく法律上の規制が変わっていることもあり、この資料作りそのものに時間がかかる場合もあります。
それらがきちんとできて、情報が公開されてからも、買い手がつくまでには3〜6ヶ月程度はかかるのが通常です。
また、情報の透明性はもちろんのこと、内覧の手続きや購入希望の問い合わせに対してスムーズな回答を行わないと、購入希望者は不安を覚えてやめてしまうことも多いです。
従って、売却開始後は、なるべくご自身のより購入者希望者のスケジュールに合わせるようにしてください。
3-4. 売買契約・引き渡し
内覧などを経て、様々の条件に合意ができれば契約が締結されます。
売買契約の締結時には宅地建物取引士から買主に対して重要事項の説明がなされます。
特に中古不動産の取引にあたっては、隠れた欠陥である瑕疵があると売買が成立したあとにトラブルになる可能性もあります。
この瑕疵には物理的なものや心理的なものがあり、例え売主が気にしなくても買主が「知っていたら買わなかった」と思えば、それが隠れた瑕疵となることもあるので注意が必要です。なお、民法の改正により瑕疵担保責任は、契約不適合責任へと変わり、売主の責任範囲も変わっているのであらかじめ確認しましょう。
4. 不動産(土地・建物)が売れてお金が入るまで
不動産はお金のやり取りに関して、契約時に「手付金」を、引渡時に「残代金」を受領することが一般的です。
手付金は売買代金の新築だと10%、中古だと5%が目安であり、この手付金は解約手付、すなわち1割のお金を払えば契約のキャンセルできるお金として考えられているのが一般的です。
従って、手付金が頂けても、契約に至らないこともあることに注意が必要です。
また、売買にあたり、手付金を除く残代金は現金でやりとりをされることもありますが、多くがローンを組んで、自己資金に加え、足りない分を銀行などからお金を借りて支払うという形で取引されます。
その場合、不動産売買契約書にはローンが下りない場合には買主から契約を解除できるローン条項が付いているのが一般的です。
以上のように、手付を支払い、またローンなどの手続きをする関係から、契約をしてお金が支払われるまでは早くて1カ月程度、場合によっては3ヶ月ぐらいかかることに注意しましょう。
5. 不動産売却スケジュールが長引く理由とは?
不動産にもすぐ売れる物件もあれば、なかなか売れなくていつまでの市場に滞留してしまう物件があります。
その違いはどこから生じ、どのような場合に売却期間が長引くのかを以下に説明します。
5-1. 売却不動産が土地だった場合の売れにくい条件
まずは、土地そのものが大きすぎるとか、小さすぎるとか、形が悪いため建物が建てにくいなどの物理的に悪いことが考えられます。
それに加え、不動産は立地が大切なので、「田舎・地方にあり、需要がない」なら売りにくいのは当然ですが、「隣接する土地の所有者とトラブルになっている」とか「周辺に反社会勢力の事務所やゴミ処理場(嫌悪施設)がある」など、形も立地も問題ないですがその他の事情があって売りにくいということも考えられます。
5-2. 売り出す時期
不動産の需要が高まるのは、転勤、結婚、進学など様々な理由ですが、共通しているのは人の動きが活発な時期であると言えます。特に4月からの新年度に向けて2月〜3月は賃貸の需要が高まりますが、同様に売買も盛んになります。
加えて、その半年後にあたる8月〜9月に関しても、春ほどではないですが、秋の人事異動などで人の動きが活発となり不動産需要が高まります。
逆を言えば、真夏や真冬などは、人の動きが少ない時期なので、不動産を売り出す時期としては適切とはいえません。
この時期に売り出してしまうと思いもよらず売却期間が長引いてしまうこともあります。
5-3. 競合相手が強い
物件は良好で売却のタイミングも申し分ない場合でも、不運にも強力なライバルが現れて、自分の物件が売れないこともあります。そのライバル物件は、同じような土地や建物の面積で、極めて代替性が高いのに、「相続で急に現金化が必要になった」とか「離婚などにより早く処分したい」などの個別事情から、価格が割安になっていることがあります。
これらの事情は事前に予期することができず、売主がどんな努力をしても防ぎようがないので、素直にあきらめるか、価格を含めた自分の売却条件を見直すようにしましょう。
6. 不動産売却の平均期間・スケジュールを押さえましょう
不動産の売却には売却条件に価格以外の特段の事情がない場合は、1~3カ月程度かかります。
その他売主の都合や、不動産マーケット等さまざまな事情によって1年かかることもあります。
そして、契約成立までにも様々なハードルがあり、売主は買主がそれを乗り越えやすいように、互いに歩み寄りが必要な場面も出てきます。そのように考えると売主と買主は立場が違っても、契約成立というゴールを目指す、いわばパートナーと言えるかもしれません。
ご自身の利益を守るのも大事ですが、スムーズかつトラブルなく売却を終えるためには、買主にとって必要な物件情報の提供は欠かせないでしょう。円滑な売買には優れた仲介業者のサポートが必要不可欠なので、信頼できるサイトから選びましょう。
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