【不動産売却】住宅ローン返済中の家を売る方法とは?売却方法や注意点を解説!

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【不動産売却】住宅ローン返済中の家を売る方法とは?売却方法や注意点を解説!

住宅ローンを返済している最中に、自宅を売却したいと考える方は少なくありません。ただ、ローン中に家を売れるものなのか、どんな手順で始めれば良いか、わからない方も多いのではないでしょうか。そこでこの記事では、宅建士の資格をもつ筆者が、住宅ローンを返済している最中の自宅売却について、手続きの方法や注意点、売り先行・買い先行の特徴、やってはいけないことなどをまとめました。この記事を読めば、ローン中に家を売る流れが頭に入り、スムーズな売却に繋がるはずです。

目次

1. 住宅ローン中の家を売る手続き

住宅ローン返済中でも、自宅を売却できます。しかし、ローンの残債額と売却価格により、売却の手続きが変わってくることに注意が必要です。まず、以下2つを確認することが売却手続きの第一ステップとなるでしょう。

1-1. 住宅ローンの残債を確認する

住宅ローンの残債は、金融機関の専用ウェブサイトや返済明細表、年末に送られてくるローン残高確認書で確認できます。よくわからないときには、金融機関の担当者やお問い合わせ窓口に問い合わせてみましょう。

元利均等払いで住宅ローンを返済している場合、当初は金利の支払いが大きいため、元本が思ったよりも減っていないかもしれません。まずは、現時点での残債額を明確に把握してみましょう。

1-2. 売却価格の相場を確認する

次に、複数の不動産会社に売却金額の査定を依頼します。Web上に不動産情報を入力すれば、複数業者に一括して査定を依頼できるサービスもありますので、こういったものを使うのもひとつの方法です。

売却価格のおおよその目安を把握し、現在の状態がオーバーローンかアンダーローンかを確認します。オーバーローンとは、自宅の売却価額よりも住宅ローンの残債額が多い状態のこと。逆にアンダーローンは、残債額が売却額を下回っている状態を指します。

1-3. 金融機関に売却の相談をする

現状を把握したうえで、住宅ローンの取扱金融機関に売却を相談しましょう。アンダーローンの場合、売却で得た資金で住宅ローンを完済できるので、基本的には売却に応じてもらえることが多いです。

しかし、オーバーローンの場合には、金融機関とローン完済の手段について相談・交渉が必要です。一般的に、自宅を売却して買主に物件を引渡すときには、抵当権を抹消しなければなりません。

住宅ローンが売却資金によって完済されないのに金融機関が抵当権抹消に応じてしまうと、無担保のローンが残ることになります。金融機関としても、そう簡単に応じることはできないため、残ったローンをどのように返済するのか、話し合いが必要です。

1-4. 売却中・売却後の住み替え計画を立てる

売却手続き中や売却後の生活設計も大切なポイントです。住み替え後の新居について、購入するのか賃貸にするのかを念頭において、売却を進めるまえに住み替えのスケジュールや資金計画を立てておきましょう。

タイミングよく予定の新居に引越しできない場合、いったん仮住まいの住居へ引っ越すことも考えなければなりません。引越しのスケジュールや仮住まいのための資金など、綿密な計画を立てておくことが重要です。

1-5. 不動産会社に売却依頼をする

売却依頼の手続き自体は、一般の不動産売却と同様です。信頼できる不動産業者と売買の媒介契約(仲介契約)を締結して、売却活動を依頼します。

買い手がすぐに見つかる場合もありますが、ローンの残債額との兼ね合いで売却希望額が相場よりも高くなっている場合には、売却まで時間がかかるかもしれません。一般的には、売り出しから代金決済・引渡しまで4~6カ月ほどの期間をみておいたほうが良いでしょう。

売却活動中、自宅に住み続ける場合には、内覧時の印象アップに努めてください。不要物の処分・撤去や必要な修繕・設備更新は早めに対処しておくことをおすすめします。

2. 住宅ローン中の家を売りたいときに、やってはいけないこと

住宅ローン返済中の自宅の売却は、思った以上に面倒なものです。手元資金が十分にあれば問題は少ないですが、特にアンダーローンの場合、計画的に売却を進めていかないと取り返しのつかない事態になりかねません。以下の3点については特に注意して売却計画を立てましょう。

2-1. 金融機関に相談せずに売却をすすめる

売買契約書には、引渡し時までに抵当権など、すべての法的な負担を除去されなければならない旨の条項が盛り込まれています。住宅ローンを組んでいる場合には抵当権の抹消が必要ですが、この場合の抵当権者は金融機関です。そのため、売却には金融機関の承諾が絶対条件となります。

返済資金のめどがついていない場合はもちろん、アンダーローンの場合や返済資金のめどがついている場合であっても、金融機関に事前に説明したうえで売却活動を始めることが、その後の手続きをスムーズに進めるポイントになるでしょう。

2-2. 売却後の生活や資金計画を考えずに売却する

売却のタイミングによって資金計画は大きく変わってきます。スケジュールに余裕があり、売却・引越しの時期をずらすなどの対応が柔軟にできる状況であれば良いのですが、転勤や離婚などの突発的なイベントが関係してくる場合には、いつどのような出費がかかるのかについて、綿密に計画を立てておく必要があるでしょう。

売却スケジュールに余裕はあるのか、売却が長引いた場合はどうするのか、住宅ローンと新しい住まいのための出費が二重になったらどうするのか、など事前に検討しておかなければならないことは山積みです。

2-3. 支払いが苦しくなって初めて売却を考える

住宅ローンの支払いが滞ると、金融機関から競売の手続きにかけられ、強制的に自宅を明け渡さねばなりません。住宅ローンが返済できなくなってから競売手続きの開始までは、6~8カ月です。

いったん競売の手続きが開始されてしまうと、債務者側(住宅の所有者)でできることはほとんどありません。選択肢がどんどん狭まっていくため、時間のあるうちに金融機関や弁護士などの専門家に相談するなどの先手を打つ必要があります。

3. 売却額がローン残高を上回る場合の対策

ローン残高が売却価格を上回る場合には、売却後にローンを完済していく方法を考えなければなりません。自己資金から返済資金を捻出したり、新しいローンに借り換えたりすることが考えられますが、金融機関が任意売却に応じてくれる場合には、売却後に分割してローンの残債を支払っていくことになります。

3-1. 自己資金を調達する

自己資金が十分にあるか、もしくは親・親戚などから完済資金を提供してもらえるのであれば、アンダーローンでも自宅の売却に支障はありませんし、金融機関からも問題なく売却の承諾を取り付けることができるでしょう。

この場合は、自宅の決済・引渡し時に振込まれた資金と自己資金を合わせて住宅ローンを完済し、同日に抵当権抹消登記を行います。

3-2. 住み替えローンを活用する

新しい自宅を購入して住み替える場合には、新居の購入資金と残債を合わせたローンを組むことができる、「住み替えローン」という商品があります。アンダーローンの場合には、一度住み替えローンの相談をしてみるのも良いでしょう。

もっとも、一般的な住宅ローンのように優遇された金利ではないために、住み替えローンの金利は少々高めです。また、借入時の審査についても、厳しくなるでしょう。買い替えた住宅の担保評価や自己資金の捻出方法、返済計画と返済年数、年収や勤務先の状況などについて、掘り下げて審査が行われます。

3-3. 任意売却後に計画的に完済する

任意売却とは競売による強制売却に対する用語で、住宅ローンを滞納している状態で、売却資金でもローンが完済できないときに、残債についてどうするのかを金融機関と協議しながら売却手続きを進めることをいいます。

アンダーローンの状態でも、住宅ローンの返済が滞りなく行われている場合には、金融機関はなかなか任意売却に応じてくれません。任意売却の手続きを実際に考えるときには、弁護士などの専門家に相談したほうが良いでしょう。

任意売却の交渉時には、ほかの不動産があるならばそれを担保に新たなローンを組んだり、新たな連帯保証人を提供したりして、信用を補強しつつ、売却後の返済計画を金融機関に説明して金融機関にローンの支払いは問題ないことを納得させる必要があります。

4. 売り先行・買い先行のメリット・デメリット

自宅を売却して新居を購入して住み替える場合には、自宅に住みながら売却活動を行う「売り先行」と新居の購入を先に行う「買い先行」があります。どちらが良いのかについては、自身の経済状況や住み替えのスケジュールの柔軟性で変わってきます。

4-1. 売り先行のメリット・デメリット

売り先行の場合には、売却資金が先に入ってくるため資金計画に余裕ができます。また住み替えを中止するときや、住み替え先を賃貸にするときなども柔軟な対応が可能です。

もっとも、売却後には仮住まいの期間が生じるため、購入した新居への移転と合わせて2回引越しをしなければなりません。今住んでいる自宅からこれから購入する自宅にスムーズに引越しができればベストですが、ある程度「買い」を先行して行わないと、このようなスムーズな引越しが難しくなってしまいます。

また、売り先行の場合には買主の内覧時にはまだ売主が住んでいる状態のために、買主の入居後のイメージが湧きにくいというデメリットもあります。

4-2. 買い先行のメリット・デメリット

買い先行の場合には、売却手続きがスムーズです。売り出し時には売主の転居のスケジュールがきまっている、もしくは転居済みであるために、買い手は引渡しスケジュールについて安心して取引をすることができます。

もっとも、買い先行は資金に余裕がなければ難しいといえます。新居の購入にかかる費用や引越し費用が、売却資金が入ってくるよりも先に用意する必要がありますし、新居の購入・引越しを早いタイミングで行うと、二重ローンになってしまう可能性もあります。

4-3. オーバーローンの場合には売り先行がおすすめ

どちらの手続きを選ぶかは悩みどころですが、資金に余裕がなく、かつオーバーローンの場合には売り先行がおすすめです。オーバーローンの場合には、金融機関が承諾しなければ売却できませんし、売買契約書も金融機関の承諾を条件とする停止条件付売買契約となります。

また売却の協議が不調に終わる可能性があることを考えると、住み続けることも念頭においた「売り先行」の手続きが無難です。
一方、資金に余裕があるのであれば、買い先行で考えつつ、売り・買いの売買のタイミングを、できるだけ近くすることがポイントとなってくるでしょう。

5. ケース別・ローン中の自宅売却の注意点

自宅売却には、転勤や離婚などの理由で、やむを得ず住宅ローンが残っている状態で自宅を売らざるを得ないケースもあります。自宅売却の理由によっては、住宅ローンの完済方法のほかにもさまざまな検討事項がありますので、ケース別にみていきましょう。

5-1. 転勤・海外赴任の場合

転勤・海外赴任の場合には、特にスケジュールに気を配る必要があります。新居について会社が用意してくれるかによっても売却方法や資金計画は変わってくるために、転勤・赴任がきまったらできるだけ早く売却方法の検討に入りましょう。

自宅から引越しして離れてしまうと、その後に何度も自宅を往復することが難しくなります。転居後に残置物の撤去や住宅のクリーニングなどについて責任をもって対応してくれる地元の不動産業者に売却を依頼すると良いでしょう。

場合によっては、自宅を売却せずに賃貸して活用する「リロケーション」が有効であることもありますので、リロケーションを取り扱っている不動産業者に相談するのもひとつの手です。

5-2. 離婚の場合

離婚して財産分与を考えなければならない場合には、自宅も財産分与の対象になるためかなり複雑な問題がからんできます。オーバーローンの場合には自宅の財産評価自体がマイナスになるため、財産分与の対象から外せばそれほど問題になりません。しかし、アンダーローンの場合には売却後の資金の財産分与まで考慮に入れる必要があります。

また、配偶者が連帯保証人になっている場合には、任意売却しても基本的には連帯保証を外してもらえません。どうしても連帯保証を外してほしいのであれば、ほかの連帯保証人や担保の提供が必要になってくるでしょう。いずれにしても、弁護士等の専門家と相談しつつ売却を進めることになります。

5-3. 支払いが滞ってしまった場合

失業、事故や病気などによる長期の離職等によって、住宅ローンを支払えなくなってしまった場合には、残念ながら自宅を売却することになります。アンダーローンの場合には、すぐにでも金融機関に売却の相談をすることが可能です。

もっとも、オーバーローンの場合にはそう簡単にはいきません。実際に住宅ローンを滞納すると、まずは金融機関から督促状が送られてきます。それでも滞納のままだと、債務者は分割してローンを支払う権利(期限の利益)を失い、保証会社が代わりに住宅ローンを一括で返済してしまいます。

オーバーローンの場合、実際に任意売却を相談する先は、この保証会社になります。競売にかけるよりは、任意売却に応じたほうが売却額は高くなるために、保証会社から任意売却のお尋ねがあるのが通常です。この場合も弁護士等の専門家に相談しつつ売却の交渉をしたほうが良いでしょう。

6. 住宅ローン中の家を売る際の税制優遇

最近は不動産市況が良いこともあり、自宅売却によって利益がでる場合があります。売却によって得た利益は不動産所得として申告納税する必要がありますが、自宅売却の優遇税制は見逃せません。しっかりと確認しておきましょう。

6-1. 居住用財産売却時の3,000万円所得控除

自宅を売却したときには、所定の要件を充たせば、3,000万円の特別控除を受けられます。つまり、自宅売却によって利益がでた場合でも、3,000万円までは譲渡所得税が課税されません。もっとも、ほかの買い替え特例や譲渡損失の損益通算との併用はできないため、どの優遇税制を活用するのが得かについては事前に検討しておく必要があるでしょう。

6-2. マイホームの買い替え特例

新居に買い替えるときに旧宅の売却について譲渡損失が発生した場合には、所定の要件を充たすことで損失についてほかの所得と損益通算が可能です。また、この譲渡損失は翌年以降3年間の繰り延べが可能です。

これらの税制優遇を活用するときに注意が必要なのは、これらの税制が自動的に適用されるわけではなく確定申告をして必要書類を提出する必要があることです。確定申告は自宅売却の翌年の3月中旬が期限となりますので、忘れずに行いましょう。

7. まとめ

住宅ローン返済中の自宅も売却できますが、自身の引越しを伴うため、一般的な不動産の売却よりも手続きは煩雑です。オーバーローンかアンダーローンか、自宅売却の理由がどのようなものかによって、検討事項が変わってくるでしょう。売却がきまったら、資金計画やスケジューリングを早めに不動産の専門家に相談することをおすすめします。

徳田 倫朗

徳田 倫朗

宅地建物取引士
株式会社イーアライアンス代表取締役社長。中央大学法学部を卒業後、戸建・アパート・マンション・投資用不動産の売買や、不動産ファンドの販売・運用を手掛ける。アメリカやフランスの海外不動産についても販売仲介業務の経験をもち、現在は投資ファンドのマネジメントなども行っている。

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