不動産売却で仲介依頼をする不動産会社はどこがいいのか、悩む人は多いでしょう。
不動産会社には大手、地元密着企業の2タイプがあり、さらにそのなかでもそれぞれに独自の強み・弱みを持つ会社が多数あります。
本記事では、どのような視点で不動産会社を選んだらよいか、また不動産会社の傾向について解説します。大手、地元の不動産会社がどのような人に適しているのかや、よくあるFAQなども紹介するので、これから売却を検討する人はぜひ参考にしてください。
1. 【アンケート調査】不動産会社選びで後悔した人の割合は?
本記事では、不動産会社選びで後悔した人がどれだけいるのか調べるために、不動産売却を経験した人にアンケート調査を実施しました。
アンケート結果によると、過半数の57%が不動産会社選びで後悔していることが分かりました。
後悔した理由としては、「売却までに時間がかかった」「売却までのスケジュールに余裕がなかった」という声が多く、売却までの期間が想定と異なったという声が多いことがわかります。
また、「担当者の対応が不十分だった」「他社の方が高く売却できた」という声も目立ちました。
アンケートの結果から、不動産会社に相談する際には、売却までのスケジュール感について、入念に確認することが重要であるとわかります。担当者と話してみて、説明が不足していないか、レスポンスが早いかどうかも確認して、信頼できると思える会社を選びましょう。
2. 不動産売却を依頼する会社がどこがいいか検討すべき理由
一概に不動産会社といっても、国内には多様な会社があります。それぞれに強み・弱みがあるため、依頼先によっては不満が残る結果になる可能性も否めません。そのため、売却を依頼する不動産会社はしっかりと比較吟味する必要があります。
ここからは、不動産会社を比較すべき理由をもう少し具体的に見てみましょう。
2-1.売却価格に差が出るから
まず、不動産の価格には定価の概念がありません。そのため、売出金額は売主が自由に決めることができます。しかし、その金額の根拠や不動産の価値を買主にアピールするのは不動産会社の仕事です。担当者の営業力や交渉術によって、満足のいく価格で売却できるかに大きな差が生まれます。
実績が多く、ノウハウや知見の豊富な不動産会社(担当者)に依頼することで、より希望に近い価格で取引できる可能性が高まるでしょう。
また、不動産の査定方法も各社それぞれの算出基準があるため、同じ家を査定したとしても査定額は一律ではありません。高すぎず安すぎず、相場に近く売れやすい査定額を提示してくれるような、不動産の市場をよく把握している不動産会社を選ぶことが重要です。
2-2.売却スピードに差が出るから
不動産会社によって保有している顧客数やネットワークが異なります。全国展開しているような規模の大きな会社であればそれだけ顧客も多く、よりスムーズに買主とのマッチングが期待できるでしょう。
ただし、顧客が多ければ良いというわけではありません。希望のエリアや物件の種類によっては、その地域に特化したネットワークを持っている地元の不動産会社のほうが早く買主を見つけられる可能性もあります。
あくまでも「売りたい物件を求めている購入希望者がいるのか」を重視して不動産会社を検討することがポイントです。不動産会社の顧客傾向は、売りたい不動産に近い特徴を持つ不動産の取引実績が豊富かどうかでも判断することができます。
2-3.買主とのトラブルのリスクが下がるから
建物の経年劣化が酷い、漏水や設備故障がある、事故物件であるなど、売りたい不動産にマイナスポイントがある場合、売主は買主へすべて告知する義務があります。
しっかりと説明しないまま契約に至ってしまった場合、あとあと重大なトラブルに発展しかねません。
この際、事前に買主に対して適切に説明してくれるような不動産会社へ仲介を依頼すれば、安心して取引に進むことができます。
不動産にマイナスポイントがある場合は、査定時に隠さず申し出て、不動産会社が親身に対策を検討してくれるかチェックしましょう。
3. 不動産会社の選び方
売却に最適な不動産会社を見つけるには、不動産会社を選ぶ基準を知っておくとスムーズです。
不動産会社を検討する際にはさまざまな比較材料がありますが、そのなかでも特に覚えておきたい選び方のポイントを5つ紹介します。
3-1.実績が豊富
不動産会社は大きく分けて、賃貸仲介が得意な会社と売買仲介が得意な会社の2タイプに分かれます。また、売買仲介が得意な会社は、さらにマンションが得意な会社と戸建てが得意な会社に分かれています。
通常、不動産会社というと賃貸仲介もしくはマンションなどの管理業を主におこなっている会社が多いですが、そのような会社では売買の実績が少なく、スムーズな売却は期待できない可能性があります。
売買仲介が得意な不動産会社は、ホームページや広告などで売買実績を大々的に謳っているケースが多いです。事前に公式ホームページなどで取扱い事例を見て、どちらをメイン事業としているか、マンションと戸建てどちらの取引実績が豊富かを確認するとよいでしょう。
3-2.担当者が信頼できる
不動産会社の名前よりも重視したいのが、営業してくれる担当者の質です。不動産仲介では、売主と買主の仲立ちをする営業担当者個人の能力が、売却の結果を大きく左右するといっても過言ではありません。
売主側は、売買に関して素人目線であるからこそ遠慮なく契約前の査定時などに色々な質問や相談をして、担当者の人柄や力量を確認しましょう。
例えば、以下のようなポイントを満たしている担当者であれば、信頼できる人間性だと考えられます。
- 専門性を感じられる
- レスポンスが早い
- 周辺環境や相場に精通している
- 不明点をしっかり調べてから回答してくれる
- メリットだけでなくデメリットやリスクについても説明してくれる
契約数かせぎを目的とした営業スタイルの担当者ならば、売主の利益面ばかりを強調するでしょう。しかし、不動産売却では損益となるケースや売却にかかるコスト、売れない場合の値引きリスクなどさまざまなデメリットが生じる可能性があります。
売主の立場になって誠実な対応や説明をしてくれる担当者かどうか、しっかりと見極めることが重要です。
3-3.エリアの特徴に詳しい
売りたい不動産があるエリアの情報に精通しているかどうかも、不動産会社を比較するうえで重要なポイントです。
近くに店舗がなくても取扱いは可能な場合もありますが、担当者にとって遠方の不動産を扱う場合、手が回らず後手に回ってしまうこともあり、スピード感を要する売買取引の場面で不利になる可能性もあります。
また何か問題があった際など、すぐに相談したい場合には通える範囲に店舗があったほうが安心感も得られます。
希望エリアに実店舗を設けている不動産会社ならば、その地域に詳しい担当者が在籍している可能性もあり、より有益なアドバイスももらえるでしょう。なるべく売りたい不動産の近くに店舗がある不動産会社からピックアップしていくのがおすすめです。
3-4.査定額に根拠がある
不動産には定価がないため、不動産会社によって査定額はまちまちです。そんななか、より高い査定額を提示してきた不動産会社に決めたくなるのは当然の流れでしょう。
しかし、極端に高額な査定額には注意が必要です。契約を取るためのおとり査定として高額な査定結果を提示する悪質な会社も存在するからです。
査定結果について明確な根拠があるかどうか説明を求め、その説明に納得できるかどうか、金額だけにこだわらず冷静に判断する必要があります。
例えば「立地や面積、築年数などの条件が類似した物件の事例に基づいた査定で、似たような額で売却できる可能性が高い」など、周辺の取引事例を交えた説明があれば信憑性は高いでしょう。
3-5.売りたい不動産のジャンルの実績が豊富
一般的な不動産会社は、マンションか戸建ての取引どちらかを強みとしていることが多いです。
また、なかには両方の物件を得意としていたり、事業用物件の売買に特化していたりする会社もあります。会社によって得意分野は異なるので、売りたい不動産のジャンルの取引を得意とする不動産会社に依頼したほうが、ノウハウが豊富で、満足のいく売却につながる可能性が高まります。
たとえば、マンションの売却では、共有部分の扱いや隣人への対応も適切におこなう必要があるため、戸建てとはまったく異なるノウハウが必要になります。そのため、マンションを売りたい場合はマンションの扱いを得意としている会社に任せるのがポイントです。
不動産会社の公式ホームページなどで売却実績をチェックし、見極めのヒントにするとよいでしょう。
4. 大手不動産会社と地元の不動産会社の違い
一般的な不動産会社は、全国に広く展開している大手企業と、特定の地域になじみの深い地元の不動産会社のどちらかに分かれます。
大手と地元、どちらにもメリット・デメリットがあるため、一概にどちらが良いとはいえないものです。それぞれの特徴を理解し、最適な不動産会社を選択しましょう。
4-1.大手不動産会社のメリット・デメリット
大手不動産会社のメリットとしては、次のことが挙げられます。
- 多くの人が関わり実績を積み重ねているためノウハウが豊富
- ネームバリューによる信頼度が強い
- 比較的アクセスの良い場所に店舗がある
- サービスやアフターフォローが充実している
大手の不動産会社は、売買仲介だけでなく買取やリースバック、賃貸や不動産投資、法人向け事業など、多岐にわたる事業を展開しているケースが多く、さまざまな選択肢を検討できるのが強みです。
司法書士やFPと提携して気軽に専門家相談ができる仕組みを作るなど、間口が広く、多様なニーズに対応することができます。
引越しやハウスクリーニングの紹介割引などを受けられる場合もあり、売却から住み替えまで一貫して任せられる安心感があります。不動産売却が初めての人でも、あちこち自分で調べて問い合わせる手間がなく、スムーズに手続きを進められるでしょう。
またネームバリューによる信頼度から顧客も多く、買主とのスピーディなマッチングが期待できます。プロカメラマンによる写真撮影で物件の魅力を買主に効果的にアピールするなど、大手ならではの多様なプランも魅力です。
一方、デメリットとしては、マニュアルが徹底しており柔軟性に欠ける点が挙げられます。
大手の特徴として、サービスの統一性を図るためマニュアルに沿った対応が原則です。そのため相談できる時間帯や不要なサービスだけ削るなどの柔軟な対応は難しい可能性があります。
ただしこれは、逆にいえば一定以上の品質が維持されているとも考えられるので一長一短でしょう。
4-2.地元の不動産会社のメリット・デメリット
地元の不動産会社のメリットは次の通りです。
- 特定エリアの情報に精通している
- 親身な対応が期待できる
- ベテラン担当者に対応してもらえる可能性が高い
地元の不動産会社の大きなメリットは、地域事情に精通していることです。全国展開している大手は比較的利便性の良い駅近などに店舗を構えていることが多く、郊外や地方エリアのこまかい情報に疎い場合があります。
地域特有のネットワークを持ち、人気物件の傾向も把握している地元の会社ならば、より効率的に販売戦略を立てられるでしょう。見込客をすでに抱えていて、早期に売却できる可能性もあります。
また地元密着で活動しているということは、地元での評判が落ちれば命取りです。顧客満足度を重視し、売主に寄り添った親身な対応をおこなう傾向もあります。
小規模な会社では従業員が少ないため、各担当者の裁量が大きく、柔軟に対応してもらえる場面も。担当者一人がおこなう業務が多く、経験豊富でないとできない役回りです。必然的にベテランの担当者が最後まで応対してくれる可能性も高く安心感があります。
一方で、デメリットは以下の点にあります。
- 得意エリア以外からの知名度が低い
- 特殊な物件の対応に慣れていないこともある
- 悪質な業者にあたるリスクがある
大手と比べ見劣りするのはやはり知名度です。名前が通っている地元以外からはほとんど認知されていないケースが多く、得意な地域以外から買主を募るのは難しい可能性があります。
小規模運営で取引き数も限られてしまうため、大手ほどノウハウが積まれず、特殊な物件や専門知識を必要とする複雑な案件は断られてしまうケースも考えられます。特別な事情がある売却に関しては、むしろそのような取引に特化した専門業者に依頼するほうがよいでしょう。
またブランド力を気にしない業者のなかには、雑な対応をとったりトラブルに対応しようとしない悪質な業者も存在することもあります。事前に必ず取引実績や地域での評判を調べて、優良な業者かどうかを見極めることが大切です。
5. 大手の不動産会社が向いている人
ここからは、大手不動産会社がどのような人に向いているか紹介します。ブランド力や資金力があり、サービスの間口が広い大手は次のような人におすすめです。
- 新興住宅地の不動産売却を検討している
- 需要が高い不動産を売却したい
- 早急に売却したい(買取も検討)
- 売却以外の方法についても相談したい
- 住み替えまでサポートしてほしい
- 税金や手続きなど専門家に相談しながら確実に進めたい
開発されたばかりの土地は地元の特性に左右されにくいため、幅広いエリアから買主を募ることもできます。立地が良い、デザイナー物件、設備のグレードが高いなど、需要が見込める不動産を売りたいなら、各支店を通じて広いエリアに広告を出せる大手がおすすめです。
顧客数が多く、広告宣伝力が高い大手に依頼したほうが、スピード感のある売却を実現しやすくなるでしょう。
また不動産投資やリースバックなど、売却以外の方法を検討したい人や、売却が初めてで専門的な手続きが不安な人にとっても、多様なサービスやプラン提案ができる大手は心強く感じるでしょう。顧客の要望にあわせ、最善のプランニングができるのが大手の強みです。
6. 地元の不動産会社が向いている人
次に、地元の不動産会社が向いている人のタイプを紹介します。地域情報に詳しく柔軟な対応が期待できるので、以下の項目に当てはまる人はぜひ検討してみてください。
- 郊外や田舎の不動産を売却したい
- 築年数が経過した古い物件を売却したい
- 地域に合わせて建てられた物件に対応してもらいたい
地域特性に精通した地元の不動産会社なら、独自の人脈で買主候補を見つけられる可能性が高まります。
一般的に売却価額が低くなりがちな築年数の経過している物件や、立地条件が好ましくない不動産なら、大手よりも地元の不動産会社のほうがより満足できる結果につながるかもしれません。土地勘から物件の新たな価値を引き出し、有効的に買主にアピールしてくれるでしょう。
また、歴史あるエリアでローカルルールが多い、特殊な気候の地域に建っているなど、地域事情の影響を強く受けた物件を売りたい場合も、スムーズな売却のためのノウハウを持っていると期待できます。
7. 不動産会社の決め方に関してよくある質問
不動産会社をいよいよ決める段階で、思わぬ疑問にぶつかることもあります。ここからは、不動産会社選びでよくある質問に答えていきます。
7-1.信頼できる不動産会社の判断基準は?
不動産会社を決めるうえでもっとも注意したいのは、悪徳業者でないかを見極めることです。
悪徳業者の手口として多いのは、契約を取るために売れるはずもない高い査定額を提示する「おとり査定」。売主は高額査定に魅力を感じて契約してしまい、結果売れ残って値下げせざるを得ない状況になり、売主にとって非常に不利益な取引に終わるという結末です。
また、不動産売却の契約を急がせたり、メリットばかりに言及してデメリットを説明しなかったりする不動産会社も、売主にとって信頼できるとはいいがたいでしょう。
悪徳な不動産会社を見極めるためには、不動産会社の免許番号や行政処分情報をチェックするのがおすすめです。免許番号は国から許可を受けて営業している証であり、不動産会社の公式ホームページに掲載されています。
また、行政処分の過去があれば国土交通省の運営する「ネガティブ情報等検索サイト」を使用して検索が可能です。こういった情報もぜひ参考にして不動産会社を選んでください。
ただし、歴史が長い不動産会社だから安心というわけではありません。最終的には担当者の応対品質や会社の評判、査定額の根拠などを総合的に見て、「信頼できそう」「ここに任せたら後悔しない」と思えるかどうかで判断しましょう。
7-2.「買取」を勧められた。買取とは?
不動産買取とは、不動産会社が直接不動産を買い取ることです。不動産の条件や売却期間によっては仲介よりも買取のほうが良いと判断できるケースもあります。
仲介と買取の主な違いを表にまとめました。
比較項目 | メリット | デメリット |
---|---|---|
仲介 | • 希望価格に近い金額で売り出せる | • 買主が見つかるまで時間がかかる可能性がある • 仲介手数料がかかる |
買取 | • 最短数日で現金化できる • 仲介手数料がかからない • 買主対応が不要 |
• 売却価格が安くなりがち • 買取ができない不動産もある |
築年数が進んでいる物件を売却する場合や、事故物件などの事情があってなかなか購入希望者が現れない場合は、いつまでも待ち続けるより買取を選択するほうが、金銭的にも心理的にも負担が少なくなる可能性があります。
資金力のある大手ならば最短即日で資金化できる会社もあるので、売却を急ぐ人にも適しています。
ただし、業者は不動産を買い取ったあと、リフォームや解体をして再販するため、そのぶんのコストが差し引かれます。仲介に比べると、価格が2〜3割安くなる点には注意しましょう。
また再建築不可物件や不動産の権利状況が複雑な物件など、買取を嫌がられる場合もあります。その際は特殊物件の買取に特化した業者を探すのも一手です。
7-3.不動産売却に適している時期はある?
不動産売却に適している時期は、新生活が始まる前の2〜3月と、転勤が多くなる8~9月頃。この時期の売却を狙うのであれば、12月、7月に売り出し開始するのがおすすめです。
ただし、物件が売れやすい時期ということで同じ時期を狙って売り出す人も増えるため、競争率も高まります。無理に売れやすい時期を待つよりも、物件価値が下がらないうちに早めに売り出すことも選択肢に入れておくとよいでしょう。
8. まとめ
不動産売却において、どのような不動産会社に仲介依頼をすればよいか解説してきました。
不動産会社には主に、全国展開している大手企業と特定地域に特化して活動する地元の企業の2タイプが存在し、それぞれにメリット・デメリットがあります。
大手の安心感やサービスの充実性を求めるのか、地域のつながりや柔軟な対応を求めるのか、自分の好みだけでなく売りたい物件の条件や営業担当者の信頼度も見ながら検討することが重要です。
本記事で紹介した不動産会社の選び方や、大手・地元の不動産会社が向いている人のタイプを参考に、自分に合った不動産会社を厳選してみてください。
※本記事は2024年2月24日時点の情報をもとに記載しています。法令等の改正により記載内容について変更となる場合がございますので、予めご了承ください。
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