家の解体費用がどの程度かかるのかわからず、不安に思ってはいないでしょうか。解体工事にはある程度の相場が存在しますが、家の構造や広さ、立地など、さまざまな要素で費用が決まるため、見積もり内容を確認して見直すことで費用を抑えられる可能性があります。
本記事では、家の解体に関するアンケートからわかった費用相場のほか、解体を決める要素について解説します。使える補助金やローンも紹介するので、家の解体費用がいくらになりそうか計算して、費用を抑えたい方は参考にしてください。
1. 【独自調査】家の解体に関するアンケート
本記事では、所有している家や相続する予定の家を解体する予定のある人を対象に、解体にかかる費用についてどの程度想定しているかをアンケート調査しました。
最も多かった回答は「100万円200万円未満」で32%を占めました。次いで「200万円300万円未満」が24%、「300万円500万円未満」が20%と続きました。
住宅の解体費用は、立地条件や構造、解体方法などによって大きく変動します。
とくに、自身が住んでいない家を相続する場合、解体費用について事前に知っておかなければ、想定外の出費が発生してしまう可能性があります。本記事の内容を参考に、ざっくりでよいので費用を試算しておくとよいでしょう。
2. 家の解体費用の相場
家の解体費用相場は、坪単価×家の面積(坪数)で求められます。一軒家を解体すると仮定した場合の解体費用を、構造別に坪単価で見ていきましょう。
- 木造:4~5万円/坪
- 軽量鉄骨造:6~6.5万円/坪
- 重量鉄骨造:6.5~7万円/坪
- RC(鉄筋コンクリート)造:7~8万円/坪
木造など取り壊しやすい家屋は価格が抑えやすく、運搬にも解体にも手間のかかる構造ほど高くなります。また、同じ鉄骨造の建物であっても、重量鉄骨造は鉄骨に厚みがあるぶん軽量鉄骨造より価格が高くなる傾向があります。
解体費用の内訳は建物取り壊しや廃棄物処理にかかる費用が8割を占めており、残り2割が重機の搬入や土地の整備などにかかる費用です。
廃棄物の処理費のみだと、1〜4万円前後が相場となります。ただし坪数ではなく、1立方メートルあたりの価格です。さらにアスベスト含有の建材や外構、浄化槽など付帯設備を解体する際は、追加費用がかかります。
しかし、実際はさまざまな要素で費用が変わるため一概に相場どおりとはいきません。たとえば地域的に道路が広く業者が出入りしやすければ、同じ広さの物件でも他の地域より工事費が抑えられ、総費用が少なく済む可能性があります。
続いて、坪数および構造別に計算した費用相場を紹介します。解体を予定する家の広さや構造から該当するものをチェックして参考にしてください。
2-1.20坪
20坪の住宅を取り壊すと仮定した場合、構造別の解体費用相場を見ていきましょう。
構造 | 解体費用相場 |
---|---|
木造 | 80万円〜100万円 |
軽量鉄骨造 | 120万円~130万円 |
重量鉄骨造 | 130万円~140万円 |
RC造(鉄筋コンクリート) | 140万円~160万円 |
なお、同じ20坪でも平屋と2階建て、地域など、さまざまな要因で相場が変わります。
2-2.30坪
30坪の一軒家を解体すると仮定した場合、構造別の解体費用相場を表で見ていきましょう。
構造 | 解体費用相場 |
---|---|
木造 | 120万円~150万円 |
軽量鉄骨造 | 180万円~195万円 |
重量鉄骨造 | 195万円~210万円 |
RC造(鉄筋コンクリート) | 210万円~240万円 |
20坪の場合に比べると、費用は高くなりがちです。理由として、廃棄物の量が多くなることが挙げられます。しかし庭の広さがあるなど、大きな重機が入れる立地であれば費用を抑えられる可能性があります。
2-3.40坪
40坪の一軒家を解体する場合の費用相場をみていきましょう。
構造 | 解体費用相場 |
---|---|
木造 | 160万円~200万円 |
軽量鉄骨造 | 240万円~260万円 |
重量鉄骨造 | 260万円~280万円 |
RC造(鉄筋コンクリート) | 280万円~320万円 |
坪数が増え、建物に使われる建材も多くなるため、20坪や30坪の住宅に比べて費用が高くなりがちです。解体後に売却を検討しており、整地をおこなう際には別途費用が発生します。土地の坪数が多ければ整地費用も高くなるため、解体費用も含めて売却にかかる費用の全体を把握しつつ、依頼先などを決定していきましょう。
3. 解体費用を決める要素
解体費用は家によって変わり、なかでも構造・立地・付随する工事の有無・時期・住宅の状態という5つの要素で左右されます。ここではそれぞれの要素について詳しく解説します。
3-1.構造
住宅の構造が頑丈なほど解体に手間も時間もかかるため、基本的には木造よりも鉄骨造のような頑丈な構造ほど費用が高くなります。
また、解体工事は屋根や基礎の部分の解体に費用がかかるため、同じ延べ床面積であれば平屋より2階建てのほうが費用を抑えやすいです。たとえば延べ床面積が30坪の2階建てなら屋根や基礎の面積は15坪ですが、平屋の場合は30坪分の解体が必要となるため費用がかかります。
しかし、木造2階建てだからといって必ずしも費用が安くなるわけではありません。家につながる道が狭く重機が入れないなど、人の手で解体作業や運搬をおこなう場合は人件費などが高くなってしまうからです。
3-2.立地
次のような条件に当てはまる立地は、解体費用が高くなりやすいとされます。
- 家が隣家と隣り合っている
- 家までの道のりが重機が入れないほど狭い
- 交通の多い場所に家がある
- 庭などに重機やトラックが入れない
- 作業員が現地に向かうまでの移動に時間・交通費がかかる
家を解体する際には、作業担当者が重機などを現地まで運び、解体したうえで廃棄物を指定された通りに処分します。しかし上記にあてはまるような立地では、手作業が増え、交通の便も悪いため、作業に時間がかかることが多いです。
また、都市部においては、通常の作業員に加えて交通整理の人員が必要となるケースがあります。結果として交通費や駐車場代、人件費が多くかかり、相場より高くなってしまうので注意が必要です。
3-3.付随する工事の有無
解体工事は付随する工事が多くなるほど、費用が高くなります。付随する工事とは、次のような内容です。
- アスベストに対する処理
- 庭の樹木の撤去
- 玄関周りの外構撤去
- 浄化槽の撤去
- 井戸や池の埋め戻し
- 駐車場の解体
- 太陽光発電システムの撤去や移動
例にあげたような工事は、解体対象の家そのもの以外の物品を片付けてもらう際に発生します。自分の手で片付けられる場所もあるかもしれません。しかし、専門的な知識を要する工事も多いため、業者への依頼が一般的です。
アスベストに対する処理については、本記事でも詳しく紹介するので参考にしてください。
3-4.時期
解体工事をおこなう時期も、費用を決める要素です。業者にとって閑散期となる4〜10月頃に依頼を検討することで費用が抑えられる可能性があります。
反対に費用が高くなる可能性がある時期は、2〜3月です。解体業者は公共工事も請け負っている場合が多く、この時期は決算月が集中することから工事の数も増え、人員確保のため費用が割り増しになるケースがあります。
3-5.住宅の状態
解体費用は家の状態によっても変わります。高くなりやすい状態として挙げられるのが、家自体の築年数が経過していて倒壊の恐れなどがある状態や、家屋に家具など残留物が多い状態です。
築30年以上など古い家は、解体中に予期せぬ倒壊や粉塵が大量に発生するトラブルに見舞われることがあります。そのため工事業者は注意して工事を進めねばならず、事前に対策も必要です。その結果、費用が多くかかってしまうこともあります。
また、解体費用の相場を紹介しましたが、あくまで家具がない状態での相場です。家屋内に家具など残留物が多いと、追加で家具の運搬・処分費用がかかってしまいます。 業者によっては処分を引き受けてくれる場合もあるため、相談してみましょう。
4. 解体以外にかかる費用
解体工事以外にも、アスベスト調査や書類の作成費などの費用が発生します。代表的な解体以外の工事費用についても見ておきましょう。
4-1.アスベスト調査
アスベスト調査とは、建物にアスベストが使用されていないか調べる調査のことです。
2022年4月以降は大気汚染防止法改正案により、解体現場の大小に関わらずアスベスト含有の有無の事前調査をおこない、調査結果を都道府県などに報告しなければなりません。労働基準監督署への報告も必要です。
調査は書面と現地調査の2通りがあります。書面調査の場合、費用は一軒あたり2~3万円ほどです。家に関する詳しい書類がない場合や、現地で確認が必要な場合は、調査員が現地で目視で確認する現地調査がおこなわれ、2~5万円ほどかかります。
調査結果によっては、アスベストが含まれると懸念される部分の採取や調査、調査書の報告などで追加料金が発生します。
また、アスベストが含まれていると確認された場合は、国土交通省が定めた、危険性に応じた作業レベルにあわせた飛散防止対策や除去工事が必要です。これらは追加工事となるため、全体で見ると解体費用が高額になるかもしれません。
アスベストに対しこれほど調査が厳重におこなわれているのは、人体への健康被害が懸念されているからです。アスベストは石綿(いしわた)とも呼ばれ、かつては優れた建材として利用されました。しかし、長期間にわたって吸い込むと肺がんなど病気の原因となることが明らかになり、現在は多くの国で使用が禁止されています。
2012年以降はアスベストが含まれる製品の全面禁止がおこなわれているものの、図面調査や築年数だけで判断してしまうのは非常に危険です。十分な知識を持つ専門業者により、しっかりとアスベスト調査をおこなってもらう必要があります。
4-2.諸費用
諸費用とは、解体工事や整地費用、廃棄物処分費用などの解体にかかわる工事以外に発生する費用全般です。次のような内容が含まれます。
- 現場管理費
- 工事中の車両駐車場費用
- 申請手続き費用
- 重機回送費用
- 損害保険の費用
これらの諸費用は解体する家の大きさや道への入りにくさ、アスベスト調査後の手続きなど、さまざまな内容で変わります。全体の5~10%が目安ですが、依頼する解体業者や解体する環境によっても変動するでしょう
5. 解体で使えるローン
解体工事では、次のローンを使える可能性があります。
- フリーローン
- プロパーローン
- 空き家解体ローン
- 住宅ローン
金融機関によって名称は異なりますが、フリーローンとは利用目的が定められていないローンのことです。借入可能額が大手銀行でも300万円ほどと、あまり高くはありません。反面、担保や保証人も不要で借りやすいローンです。
金融機関が独自に融資するプロパーローンも、フリーローンと同じように利用目的が定められていません。保証会社や保証人なしでも申し込むことができ、少額の借り入れが可能です。しかし金融機関側のリスクが高いことから審査が非常に厳しく、長期間かかるため、利用を検討する際は借り入れまでの時間も考慮しましょう。
空き家解体ローンは、空き家の解体を目的とした借入に適したローンです。担保や保証人は不要で、低金利の商品が地方銀行を中心に数多く扱われています。ただし銀行によって空き家の定義が異なる点には注意が必要です。
また、住宅ローンは家の建て替えにともなう解体工事であれば利用できます。解体工事のみの利用はできない点や、住宅ローンの支払いが家の完成後となるため支払い時期を解体業者と相談する必要がある点には注意しましょう。
このように、解体工事にはさまざまなローンの選択肢があります。あるいは、次に紹介する補助金や助成金制度の活用も有効な手段です。
6. 老朽危険家屋解体撤去補助金制度とは
多くの自治体で、古い家の解体は助成制度の対象となります。名称が地域によって異なる場合もありますが、ここでは老朽危険家屋解体撤去補助金制度と呼ばれる制度について紹介します。
6-1.概要
対象となる空き家の解体費用に対し、費用の5分の1から2分の1など決められた範囲で補助金を受け取れる制度です。各自治体が国と協力して取り組んでいる制度であり、老朽化してしまった空き家を減らして倒壊などのリスクを減らすことを目的としています。
空き家の解体費用は、内部の状態やアスベスト含有などにもよりますが100~200万円ほどに収まることが多いです。自治体によっては150万円ほど支援してもらえるケースもあり、補助金を活用して解体を進めたのちに土地の売却をおこなえば、解体費用がほとんどかからなくなることも珍しくありません。
ただし、多くの制度では事前申請が必要で、その手続きも自治体によって異なります。予算枠がいっぱいになれば年度途中でも新規の受付がなされないケースもあるため、早めに情報を集めて申請を進めましょう。
6-2.支給条件
各自治体で補助金が支給される条件は異なります。よく指定される条件は、次のような内容です。
- 個人が所有する空き家であること
- 1981年以前に建てられた空き家であること
- 倒壊や悪影響を及ぼす危険性があること
- 所有者に税金の滞納がないこと
- 収入金額が制限以下であること
相続した空き家を解体したい、といった場合には当てはまるケースも多いでしょう。ただし税金の滞納や収入金額が制限以下であるといった条件を満たさない場合は、支給されない可能性もあります。
各自治体の窓口に相談したうえで、上手に活用しましょう。
7. 老朽危険家屋解体撤去補助金制度以外の補助金
解体だけでなく、木造解体工事補助金や建て替え費補助金、アスベスト除去に関する補助金、ブロック塀等撤去費補助金を実施している自治体もあります。それぞれの制度の概要を解説するので、当てはまるものがあれば積極的に活用していきましょう。
7-1.木造解体工事補助金
現行の耐震基準を満たさない倒壊する危険のある木造住宅を解体する際に、上限額に応じた補助金が支給される制度です。
空き家の危険性を確認するために、耐震診断などのチェックを実施します。そのうえで支給金が決定されるケースが多いです。たとえば愛知県大府市が令和5年度分として実施した内容では、補助対象工事に対する2分の1の額または20万円(市内の業者であれば30万円)のいずれか少ない額としています。
耐震診断の有無や対象となる住宅は各自治体によって異なるため、補助を受けたい場合は早めに相談をおこないましょう。
7-2.アスベスト除去に関する補助金
国が創設した補助金制度に基づき、補助金を支給している自治体であれば、アスベスト除去に関する調査や工事への補助金を受け取れます。
補助金の対象 | アスベスト調査 | アスベスト除去工事 |
---|---|---|
対象建築物 | 吹付けアスベスト等が施工されているおそれのある住宅・建築物 | 吹付けアスベスト等が施工されている住宅・建築物 |
補助内容 | 吹付け建材中のアスベストの有無を調べるための調査に要する費用 | ・対象建築物の所有者等が行う吹付けアスベスト等の除去、封じ込めまたは囲い込みに要する費用 ・建築物の解体・除去を行う場合にあってはアスベスト除去に要する費用相当分 |
国の補助額 | 限度額は原則として25万円/棟(民間事業者等が実施する場合は地方公共団体を経由) | 地方公共団体の補助額の1/2以内(かつ全体の1/3以内) |
解体工事前のアスベスト調査は法律で義務付けられており、解体工事の依頼者が調査費用や除去費用を負担しなくてはなりません。手続きや補助金の有無は各自治体によって異なるため、早めに制度の有無を確認して、なるべく負担を減らしていきましょう。
7-3.ブロック塀等撤去費補助金
大地震が起きた際など、古いブロック塀が倒壊して被害を及ぼすリスクを減らすために設けられた補助金制度です。
条件は各自治体によって異なりますが、道路などに接していること、高さが1メートル以上あること、築30年以上経過して倒壊のリスクがあることなどが条件となります。補助金も自治体によってさまざまで、たとえば横浜市の令和5年度申請分の要項では補助対象となる工事費の9/10または長さ(m)×13,000円のいずれか低い額としています。
ブロック撤去後に新たなフェンスを設置する際、フェンス設置費用も補助対象とする自治体もあるため、工事前に確認しておきましょう。
8. 解体費用を抑える方法
補助金などを活用しても、家の状況によっては解体費用が高くなるケースがあります。解体費用を抑える方法は次の2つです。
8-1. 自分でできることは自分で対応
可能な限り、家具や庭木の撤去を進めておくと費用を抑えやすくなります。家具や庭木の処分は解体費用に含まれず、別途費用となるケースも多いからです。
また、解体工事の完了後におこなう建物滅失登記の手続きを自身でおこなうのも有効です。司法書士などに依頼した場合は手数料がおよそ5万円かかりますが、自分で手続きをおこなうと1,000円程度の費用で完了します。
なかには「自分で解体工事をすることは可能なのか?」と気になる方もいるかもしれません。実際、事業としておこなわないのであれば解体工事に許可は必要ないため、自分で解体すること自体は法律上でも可能です。
しかしアスベスト調査のように、専門的な知識が求められる面もあります。さまざまな手続きを自分で実施する必要があるため、現実的な対応とはいえません。家具の撤去など、解体費用以外を増やさない工夫を優先しましょう。
8-2.工事時期をずらす
見積もり時に業者へ相談して、閑散期に工事時期をずらすことで費用を抑えられる可能性があります。閑散期であれば業者も人手が確保しやすく、人件費や重機のリース費用を抑えやすいからです。
避けたい時期として、年末や年度末が挙げられます。公共工事や企業の決算期が重なり、工事の発注が集中するためです。
目安としては、4~10月が閑散期となります。ただし6~9月は台風など天候の影響を受けるリスクもあるため、見積もり時に業者へ相談して地域ごとの閑散期を知っておくとスケジュールが立てやすいです。
9. 家の解体時に注意すること
ここまで解体時の費用について、抑え方や決まる要素、補助金を紹介してきました。しかし費用以外にも気をつけておきたいポイントがあります。家の解体時に注意すべきことを理解しておくと、予想外の出費を避けやすくなるため、ぜひ参考にしてください。
9-1. 建物滅失登記を忘れない
建物滅失登記を忘れてしまうと、申請義務を怠ったとして10万円以下の過料が科せられるケースがあります。
建物滅失登記とは、建物の全部を解体したときなど、その状態を登記簿に反映させるための申請です。不動産登記法第57条により、解体した日から1ヵ月以内に建物滅失登記をおこなわなくてはならないと定められています。
自動的に登記手続きがおこなわれるわけではないため、法務局への申請が必要です。申請を怠ってしまうと、過料が科せられるだけでなく、登記上建物があることになるため家を建てたり、売買したりすることができません。
自分でも手続きを進められますが、時間の確保が難しい場合は土地家屋調査士など専門家へ依頼して確実に登記をおこないましょう。
9-2. 解体後、固定資産税が上がることも
空き家を解体したのちに、土地の固定資産税が最大6倍になる可能性があります。土地の上に居住用の建物が建っている間適用される「固定資産税等の住宅用地特例」が適用されなくなり、軽減措置が受けられなくなってしまうからです。
解体後に固定資産税がいくらになるのかは土地によって変わりますが、所有し続けることで高くなった固定資産税を長期間支払う可能性があります。解体後の土地を売却する、土地として貸し出すなど、利用目的を決めたうえで解体を進めましょう。
9-3.解体後、建物が建てられなくなることも
解体してしまったがために、建物が建てられなくなるケースがあります。現在施行されている建築基準法の前に建てられた住宅の場合、当時は問題がない建物であっても、現行の法律に照らし合わせると建物を建てられない土地になっている可能性があるからです。
家を建てるときの決まりである建築基準法を満たせない土地になってしまうと、売却は難しいと言わざるをえません。古い家であっても建物を残したまま売りに出した方がよかったり、家を建てられる土地にしてから売却したり、さまざまな対処が必要となります。
解体ではなく売却でも構わなければ、不動産会社から査定を受けて売却を目指すのもひとつの方法です。
10. 相続後、家を解体する際の注意点
相続によって実家を譲り受けたあと、解体を検討する方も少なくありません。しかし急いで解体を進めてしまうと、思わぬ損をする可能性もあります。注意しておきたいお金の問題を3つ紹介します。
10-1. 解体費用は相続人が支払う
解体費用を支払うのは、相続人です。ここでいう相続人とは、被相続人(実家であれば親)が遺した財産を受け取る人のことで、民法により相続人の範囲が決められています。遺言がない場合は、配偶者および子や孫など直系卑属、両親や祖父母など直系尊属、兄弟姉妹の順で血族が相続人となります。
たとえば兄弟3人で実家を相続した、など複数の相続人がいる場合は、所有権の割合で支払い負担額が決まるのが一般的です。相続しないと決めた場合は、ほかの相続人が解体費用を負担します。
複数の相続人がいる場合は、解体費用を先に調べたうえで解体費用の負担について話し合いをしましょう。実家によく来ていた人もいれば、実家に特に興味がないという人もいるため、費用がわかったうえで話し合いを進めればお互いに納得のうえで負担額を決められます。
10-2. 相続人不在時は「相続財産管理人」が支払う
相続人全員が実家の相続を放棄したなど、相続人がいない場合は「相続財産管理人(相続財産清算人)」を専任し、国に返還する手続きを進めます。
相続財産管理人(相続財産清算人)とは、相続人がいない相続財産を最終的に国へ返還する手続きをする人のことです。被相続人の最終居住地の家庭裁判所に申請した後、専任された相続財産管理人に実家の清算を進めてもらい、あれば債権者などへの支払いもおこなってもらいます。
ただし家庭裁判所へ申し立てをおこなわなくてはならないほか、専任された相続財産管理人への経費や報酬にあてる予納金が必要です。事案によって異なりますが、20~100万円ほどかかるケースもあるため、事前に準備しておきましょう。
10-3. 相続人どうしでのトラブル回避法
複数の相続人がいると、実家の解体でトラブルが起きる可能性があります。相続が決まった時点や相続が予想された時点で、解体や売却をしてもよいか、相続人全体で意見を統一させておくとトラブルを回避しやすくなります。
解体や売却以外にも、次のような内容を決めておくと安心です。
- 費用が発生した場合は誰が負担するのか
- 何割程度であれば費用が負担できるのか
- 誰が土地や実家を所有するのか
- 土地活用を目指す場合は誰が相続するのか
反対にやってはいけないことは、手入れをせずに実家を放置することです。処分方法が決まらないまま時間が経つと、迷惑空き家になってしまう可能性があります。近年建てられた住宅は気密性や断熱性が高い反面、人が不在の期間が長くなると室内にカビが生え、売却が難しいほど劣化してしまうことも少なくありません。
最悪の場合は、行政代執行で空き家となった実家が壊された後、代執行費用を請求される恐れもあります。親が存命のうちに方針を話し合い、実家の解体について方針を決めておきましょう。
11. まとめ
解体工事にかかる費用は、構造や立地、付随する工事、時期、住宅の状態という5つの要素で変わります。アスベスト調査や諸費用も発生するため、業者から見積もりをもらうのが正確です。自分でできることは自分でおこなう、工期をずらすといった方法で費用を抑えられる可能性もあります。
解体時には補助金やローンが活用できるケースもあるため、状況に合わせて利用し、負担を少しでも軽くしていくことが大切です。
また、費用だけでなく、解体後の建物滅失登記や税金、相続人同士の話し合いなど、注意しておきたいポイントが複数あります。不動産会社にも相談しつつ、売却と解体双方を視野にいれながら、よりよい選択を目指しましょう。
※本記事は2024年3月12日時点の情報をもとに記載しています。法令等の改正により記載内容について変更となる場合がございますので、予めご了承ください。
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