土地査定は、土地の価値を知るだけでなく、相場を理解して売却で損をしないためにも役立ちます。本記事では、土地査定について基礎から詳しく解説します。査定の評価ポイントや3つの査定方法、土地価格を自分で調べる方法まで、情報を幅広くまとめました。
1. 土地査定で知っておきたい基礎知識!自身で調べる方法まで紹介
本記事では、土地を売るときにやっておいて良かったことを調べるために、土地売却をしたことがある人を対象にアンケート調査を実施しました。
アンケート結果によると、やっておいてよかったこととして「税金や土地売却に関する知識の勉強」が51%ともっとも高い結果となりました。事前に知識を身につけることは、やっておいて良かったと感じる人が多いようです。
次いで、「複数の不動産会社に査定依頼」が20%、「不動産会社との関係構築」が16%と続くことから、良い不動産担当者に出会うために行動することも、土地売却を成功させる上で重要であると推察されます。
2. 土地査定は売却で損をしないために行う
土地査定とは、土地の価値を公正に評価することです。主に土地を売却する際に、売り出し価格を決める目的や、売却を依頼する不動産会社を選ぶ基準とする目的で活用されます。
精度の高い査定を受けずに売り出し価格を決めてしまうと、相場よりも安く設定して損をしてしまう可能性があります。また、相場を理解せずに高額な価格で売り出しても、買い手が現れずに維持費がかかり続けるというリスクもあるでしょう。
土地売却を成功させるには、相場や売り出す不動産の条件に合った金額で売り出すことが大切です。土地の売買は高額な取引になるため、適正な価格設定でないと損失が大きくなる可能性もあります。土地売却で損をしないために、査定を受けて相場を知ることが必要です。
3. 土地査定における価値の評価ポイント
土地の査定では、主に用途地域・土地の条件・道路状況・周辺環境・ニーズの5つが評価されます。それぞれの評価基準について詳しくみてみましょう。
3-1. 用途地域の種類
土地は用途地域と呼ばれる制限によって分類されています。用途地域の種類によっても査定額は異なるので、売りたい土地がどの種類に当てはまるのか把握しておきましょう。
用途地域は、都市計画法によって定められる13種類の土地の分類です。住宅が立ち並ぶ閑静な地域に騒音や臭いの発生リスクがある工場などが建てられないというように、地域によって土地の用途を制限し、それぞれが住み良い環境を実現しています。
用途地域によっては、住宅が建てられない土地もあります。一方、住宅の他にも店舗やホテルなど幅広い目的で使用できる土地もあります。一般的に住居専用地域に分類される土地のほうが、工業系用途地域に比べて査定額が高くなりやすい傾向があります。
売りたい土地の用途地域は、自治体のホームページなどで確認できます。
3-2. 土地の面積・形
土地の面積や形も、査定額を左右するポイントです。基本的には、面積が広い整形地は評価が高くなります。
まず面積は、広ければ広いほど価格が高くなることが一般的です。ただし、広すぎてもニーズが限られることから、思うような評価を受けられない可能性もあります。例えば、60坪を超える土地は、広すぎて需要が限られるため価格が上がりにくいです。また、固定資産税が安くなる「小規模宅地等の特例」の対象外となるため、ランニングコストまで考えると敬遠される可能性もあります。
ただし、広い土地の場合でも、分筆(土地の区間分け)できる広さがあれば高額売却の可能性も高いです。
また、形は正方形や長方形などの間口が広い整形地と呼ばれる形が重宝されます。整形地であれば、さまざまな用途に使用できるためです。一方、間口が狭い旗竿地やうなぎの寝床と呼ばれるような土地は、面積が広くても価格は上がりにくくなります。こうした土地は、住宅を建てる場合にも設計の自由度が下がるため、相場よりも安くなる可能性もあるでしょう。
※関連記事:旗竿地とは?メリット/デメリットなど後悔しない買い方を徹底解説
3-3. 接している道路の状況
土地の価値は、土地に接している道路によっても増減します。特に土地が接する前面道路の幅は、建てられる建物の大きさに影響するため、査定でも重視されるポイントです。道路幅が狭いと容積率が下がるため、広い家が建てづらくなります。
また、道路は接し方も重要です。2つの道路に囲まれた角地や、2つの道路に挟まれた二方路地は高い評価を受けやすい傾向があります。複数の道路に接しているほうが、日当たりや風通しがよく、需要が高いためです。
さらに、道路と土地の高低差も評価に影響します。特に、道路に対して低く位置する土地は価格が低くなりやすいです。道路よりも高い場合は価格にさほど影響しませんが、階段を設置する必要があるほど高低差がある場合は価格が安くなる可能性もあります。
また、アスファルトやコンクリートで完全舗装されている、歩道があるといった条件の道路に接する場合、価値が高くなりやすいです。接する道路にも注目してみましょう。
3-4. 周辺の施設・環境
土地を取り巻く環境も重要なポイントのひとつです。周辺環境によって、土地の利便性や住み心地が大きく変化します。接する道路の状況によって日当たりや風通しが異なることも査定の際に確認されます。
例えば住宅地の場合、スーパー、病院、役所が近いなど、生活に便利な施設が多い土地は価値が高い傾向があります。駅やバス停などの交通機関までの距離も重視されます。駅までの距離が近いほど評価が高くなる傾向です。
反対に、近くに墓地や下水処理場・産業廃棄物処理場などの嫌悪施設がある場合は土地の価値は下がりやすくなります。ただし、施設の規模や距離などによっては価格に影響しない場合もあります。
3-5. 土地のニーズ
土地の条件がよくても、需要が低ければ査定額は上がりにくいです。土地のニーズは、地域や住んでいる人の層などによって異なります。また、売り出しの時期によって需要がない場合もあるので、売却まで時間がかかる可能性があることも念頭に置いておきましょう。
土地の形や周辺環境など、ここまで紹介してきたポイントでの評価が高いほどニーズも高まることが一般的です。しかし、需要は地域によって異なります。例えば都市部では旗竿地などの間口の狭い土地でも十分需要が見込まれる一方で、面積が過度に広く分筆しづらい土地は買い手が現れにくくニーズがないこともあります。
ニーズがない土地は、売却価格が安くなったり、買い手が現れずなかなか売れなかったりする恐れがあります。逆に、他に売り出されている競合物件がない時期など、ニーズが高い場合は相場以上の価格で売れることもあるでしょう。
4. 土地査定を受けるなら不動産会社がおすすめ
土地の査定は不動産会社に依頼しましょう。売却を目的とした査定なら、不動産会社による無料の査定がおすすめです。この章では、混同しやすい不動産鑑定士による土地鑑定との違いや、不動産会社による3つの査定方法について詳しく解説します。
4-1. 不動産会社の土地査定は無料
土地査定は、不動産会社に依頼すると無料です。不動産会社による査定では、売却できると想定される価格が算出されます。
不動産会社の査定は、営業活動の一環としておこなわれています。そのため、査定だけを受けて契約しなかった場合や、売却活動したものの買い手が見つからなかった場合でも、費用が発生することはありません。不動産会社に対しては、売却が成立した際に仲介手数料を報酬として支払います。
不動産会社の査定と混同されやすいのが、不動産鑑定士がおこなう土地鑑定です。結論から言うと、売却目的の場合は土地鑑定を受ける必要はありません。不動産鑑定士の評価は法的な効力があるので、主に相続や財産分与といった協議を控えている場合に利用します。鑑定は有料なので、特別な事情がなければ不動産会社に査定を依頼しましょう。
4-2. 土地査定の方法は3パターン
不動産会社に依頼できる土地査定は、大きく分けて机上査定・訪問査定・AI査定の3種類です。どの査定方法も、不動産会社の公式サイトから簡単に申し込みできます。それぞれの査定方法の特徴を詳しく解説します。
4-2-1. 机上査定(簡易査定)
まず、机上査定はデータを見て査定する簡易的な査定方法です。より精度の高い訪問査定に対して、簡易査定と呼ばれることもあります。
机上査定は、依頼者が入力した土地の情報と、過去の成約実績といったデータに基づいて査定します。必要な土地の情報は、土地の広さ・立地(所在地)などです。情報をもとに、過去の成約実績から似た条件の土地を探し、売り出し価格・成約価格・市場動向などをみて査定額を算出します。
机上査定は現地での確認を行わないため、実際の価格と査定額に差が生じる点がデメリットです。しかし、訪問が必要ないため即日〜数日で査定結果が得られるメリットがあります。概算的な金額なので、不動産会社を選ぶ判断基準として役立つでしょう。
※関連記事:不動産査定とは?方法や種類、注意点などをご紹介|不動産サイトnomu.com
4-2-2. 訪問査定
続いて訪問査定は、上記の机上査定で用いたデータに加え、土地の現状や周辺環境を反映したより精度の高い査定方法です。不動産会社の担当者が実際に土地を訪れ、土地の現状を目視で確認します。
訪問査定では、接道条件や隣接地の条件・土地の状態・周辺環境・建物がある場合は建物の状況など、現地を訪問してわかる詳しい情報に基づいて査定額を算出します。最新の相場価格により近い金額が算出されるため、売り出し価格の設定などにも活用が可能です。
デメリットとしては、申し込みから査定額がわかるまで数日〜1週間程度の時間がかかる点が挙げられます。
※関連記事:不動産査定とは?方法や種類、注意点などをご紹介|不動産サイトnomu.com
>訪問査定の方法、査定にかかる期間
4-2-3. AI査定
AI査定は、データに基づく机上査定をAIがおこなう簡易査定のひとつです。膨大なデータを参照して査定ができるので、査定結果がすぐにわかる点が大きな魅力です。
AI査定をおこなう不動産会社では、公式サイトから簡単に査定ができます。24時間いつでも利用できるので、売却するか判断したいときなどの利用がおすすめです。
ただし、AI査定では都市部のマンションに対応している一方、戸建て物件や土地、地方の不動産には対応しきれていない場合もあります。そうした不動産を査定したい場合は、机上査定や訪問査定を利用したほうがよいでしょう。
また、データのみで査定額を出すので、実際の価格とは離れた金額が算出されることもあるため、あくまで目安としての活用がおすすめです。
4-3. 相場を知るため複数社へ査定依頼
不動産会社の土地査定を利用するなら、ぜひ複数社に査定を依頼しましょう。査定額は不動産会社によって異なるためです。
査定額は、その不動産会社を介して売却できると考えられる価格です。不動産会社によって取り扱いを得意とする不動産の種類や地域は異なるため、扱いが不得意な不動産の場合、価格が低くなる可能性もあります。
1社だけに査定を依頼しても、その価格が妥当か判断することは難しいです。複数社に査定を依頼して、評価が正しいか判断しましょう。また、複数の査定結果を比較すると、相場を知ることもできます。
複数社に査定を依頼するなら、一度の入力で複数社に査定依頼ができる一括査定サイトの利用も便利です。ただし、多くの不動産会社と一度にやり取りをする必要があり、負担を感じる場合もあります。
5. 土地の価値を自身で調べる方法
不動産会社に査定を依頼する前に、自分で土地の価値を調べることもできます。現在の不動産市況や需要を判断できないため、調べられるのはあくまで概算的な金額です。しかし、不動産会社の査定額が妥当かの基準や、売却するかどうかの判断基準としては十分役立ちます。今回は、土地の価値を自分で調べる方法を4つ解説します。
※関連記事:土地価格の調べ方|公的価格や実勢価格の最新情報はココで調べる
5-1. 土地売買の成約実績から推測
まず、過去の売買実績から価格を推測する方法があります。同じような条件の土地がどのくらいの価格で成約されたか調べることで、自分の土地がいくらで売却できるか予想ができます。過去の成約実績は、国土交通省が運営する不動産情報ライブラリの「不動産価格(取引価格・成約価格)情報の検索・ダウンロード」で閲覧しましょう。
不動産情報ライブラリでは、不動産の成約価格や地価公示などの価格情報が閲覧できます。トップページから「データの検索・ダウンロード」に進むと、地域や不動産の種類、取引時期など条件を詳しく設定して情報の検索が可能です。
過去の成約実績を調べる際は、できるだけ近くのエリアで、似た条件の取引を探しましょう。また、できるだけ新しいデータを参考にすることをおすすめします。ただし、過去にその価格で成約されていたからといって、同じ金額で売却できるとは限りません。「だいたい○○万~○○万円」と、幅を持って捉えましょう。
5-2. 地価公示から計算
次に、地価公示からも土地の価格を推測することができます。地価公示とは、国土交通省が公表する土地価格の指標となる地価です。地価公示は、土地の取引が健全におこなわれることを目的として、毎年更新されます。土地の売買の基準としても活用される価格なので、査定額の推測にも役立つでしょう。
地価公示も、国土交通省の不動産情報ライブラリで閲覧できます。トップページの「地価の情報をご覧になりたい方へ」から、データを検索しましょう。
ただし、表示される金額は1平米あたりの価格です。土地の価格を調べる場合は、所有する土地の面積をかけて計算します。地価公示の金額は実際の成約価格に比べると低いため、算出した金額に1.1をかけると実際の金額により近づきます。
5-3. 基準地価から計算
基準地価でも同じように土地価格が計算できます。基準地価は、各都道府県が土地価格の基準として公表します。地価公示は都市部を中心に調査されるのに対して、基準地価はより細部の地域でも調査がおこなわれる点が大きな違いです。
基準地価も、地価公示と同じように国土交通省の不動産情報ライブラリ「国土交通省地価公示・都道府県地価調査の検索」で閲覧できます。1平米あたりの金額が表示されるので、面積でかけ、1.1倍にするとおおよその土地の価値が計算できます。
また、地価公示は3月下旬、基準地価は9月下旬に公表されるため、どちらかより新しく発表された価格を参考にするのもよいでしょう。
5-4. 路線価から計算
最後に、路線価から土地の価格を計算する方法を紹介します。路線価とは、道路に面した土地の1平米あたりの価格です。国税庁が発表し、相続税の計算などに用いられます。
路線価は、国税庁「財産評価基準書 路線価図・評価倍率表」で確認しましょう。路線価が設定されていない道路に面している場合は、評価倍率と固定資産税評価額を利用して計算します。
ただし、路線価から土地の価格を算出する際、場合によっては借地権の割合などを含めたやや複雑な計算が必要です。また、接道状況によっても計算方法は異なるので、わかりにくいと感じる場合もあります。過去の成約実績や地価公示・基準地価などから価格を求めたほうが計算は簡単でしょう。
※関連記事:相続税路線価とは?計算方法は?分かりやすく解説
6. 土地査定を受ける際の疑問
記事の終わりに、土地査定を受ける際によくある疑問に答えました。
6-1. 匿名で土地査定を受けられる?
不動産会社の土地査定を受けるには、基本的に個人情報の入力が必要です。しかし、一部のサービスでは匿名で査定を利用できます。
匿名査定では、物件情報を入力するだけで査定が受けられます。査定結果を受け取るメールアドレスのみ入力するケースや、サービスに会員登録をすると、サービスを介して結果を受け取ることができるようなケースが一般的です。
先に解説したAI査定も匿名で利用できる査定のひとつです。ただし、匿名査定は訪問査定のように精度の高い調査はできないので、相場を調べたい場合など目安として活用しましょう。
6-2. 土地の査定額を上げる方法はある?
土地の評価は、建物のように状況によって大きく変動しません。面積や形状、立地といった変えられない評価基準が多いので、査定額を上げるというよりは、下げないためにできることを紹介します。
土地の価値を下げないための工夫は次のとおりです。
- 境界をあらかじめ確定させる
- 埋没物を撤去しておく
- 土壌汚染の有無を調べる
- 広すぎる場合は建売業者などへの売却を視野に入れる
まず、境界が確定していない場合はあらかじめ確定測量を受けておくと安心です。また、埋没物や土壌汚染など、土地に懸念点がないか確認することもおすすめします。
広い土地の売却を検討する場合、分筆を前提として売却したほうが高く売れる可能性があります。個人への売却ではなく、建売業者などの不動産会社に売却したほうが、分筆の費用や手間がかからないのでおすすめです。
7. まとめ
土地の売却を検討しているなら、不動産会社による査定を受けることをおすすめします。査定を受けると、土地の価値がわかるだけでなく、最新の相場や適正な売り出し価格が理解できたり、売りたい土地の扱いに長けた不動産会社を選ぶことができたりするメリットがあります。
土地査定の評価基準はさまざまです。用途地域や面積・形状、接道状況といった土地自体の条件以外にも、周辺環境やニーズといった条件もあります。情勢や周辺環境の変化による価値の増減もあるので、不動産会社による最新情報を踏まえた査定がおすすめです。
査定結果の妥当性を判断するには、複数の不動産会社に査定を依頼するとよいでしょう。また、過去の成約実績などを用いて自分で相場を調べておくこともおすすめです。
※本記事は2024年4月9日時点の情報をもとに記載しています。法令等の改正により記載内容について変更となる場合がございますので予めご了承ください。
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