宅建士が教える「一戸建て売却成功法」流れや費用に加え、具体策も紹介!

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宅建士が教える「一戸建て売却成功法」流れや費用に加え、具体策も紹介!

一戸建ての売却はマンションに比べて時間がかかるほか、依頼する不動産会社や担当者を間違うと、金額が安くなったり、売れ残ったりするケースも珍しくありません。そこでこの記事では、宅建士の資格を持つ筆者が、一戸建て売却の基本的な流れや必要な書類と費用について詳しく解説します。また、一戸建てが売れない理由を7つ、自分でできる改善策を5つピックアップしました。これから一戸建てを売却しようと検討中、もしくは売却中の方は、ぜひ最後まで読んでみてださい。

目次

1. 一戸建て売却期間と事前準備について

一戸建て売却期間と事前準備(諸費用、税金、必要書類など)について解説します。

売却の流れと売却にかかる期間

以下の表では、売却の流れとそれぞれの手続きにかかる期間についてまとめています。

売却手順

所要期間

手続き内容

売却相談

2時間

売却活動や手続き内容、進め方などを相談する(数社)。

売却査定

7日間

訪問査定の報告書をもとに説明を受ける(数社)。

媒介契約締結

2時間

1社もしくは複数社と媒介契約を締結して売却を依頼する。売出価格を決定して販売資料が作られる。

売却活動

・内覧

・購入申込

30〜90日間

11時間

1日間

レインズや不動産ポータルサイトへ広告を掲載する。

・購入申込が入るまで何度も内覧を行う

・条件交渉に合意すれば売買契約へと進む

売買契約締結

2時間

申込から約7日後

宅建主任士が買主へ重要事項を説明。売買契約を締結し、買主から売主へ手付金を渡す。

残金決済・引渡し

2時間

契約から約30日後

平日の銀行で残金決済を行い、売主から買主へ物件を引渡す。

登記申請

7〜10日間

決済日に司法書士が管轄の法務局へ登記を申請する。

確定申告

1時間

売却の翌年の2/163/15に、税務署へ確定申告をする。書類作成は約2日間

売却にかかる期間

相談から完了まで

60〜120日間

異動シーズンで売却のみなら短期間

異動シーズン外で買い替えをするなら長期間になりやすい

仲介手数料とそのほかの諸費用

仲介手数料とは、取引相手を見つけて売買契約を締結した成功報酬として、仲介業者へ支払う手数料のことです。売主・買主ともに仲介会社へ仲介手数料を支払うため、介在する1社の仲介会社が売主と買主の両方を見つけた場合、売主・買主の両方から仲介手数料がもらえます。

仲介手数料には法定上限金額の設定がありますが、この額を超えない範囲内で売主と買主が合意すれば、金額は自由に設定できます。仲介手数料の法定上限額は以下の通りです。

仲介手数料の法定上限額(原則)

不動産売買金額(税抜き)

仲介手数料の法定上限額(速算式)

200万円以下の場合

(売却価格 × 5%)+ 消費税10%

200万円を超え400万円以下の場合

(売却価格 × 4% + 2万円)+ 消費税10%

400万円を超える場合

(売却価格 × 3% + 6万円)+ 消費税10%

売買の場合、仲介手数料の半分を売買契約締結の日に不動産仲介会社へ支払い、残金決済・引渡しの日に残りの半分を支払うのが一般的です。

なお、低廉な空き家等(物件価格が800万円以下の宅地建物)の仲介手数料を増額することで、空き家の流通量や流動性の向上を狙ったルールが新設されています。

低廉な空き家等に限った仲介手数料の上限額

2018年改正

2024年改正

売却価格の区分

400万円以下

・状態が悪い物件

800万円以下

・状態が悪い物件

仲介手数料の上限額

18万円(税抜き)

30万円(税抜き)

適用する報酬の範囲

・売主からの手数料に限る

・売主および買主の双方

寄与する手数料額

・売主18万円

・売主30万円、買主30万円

・合計60万円

以下の関連ページでは、仲介手数料について詳しく解説しています。

関連記事【不動産売買に必要な仲介手数料とは?計算方法など解説

税金の種類と金額

戸建ての売却で納める税金には以下のものがあります。

税金の種類

納税時期

摘要

印紙税

売買契約時

売買契約金額に応じた税額の収入印紙を売買契約書に貼付

1千万円を超え5千万円以下なら1万円(時限措置)

5千万円を超え1億円以下なら3万円(時限措置)

登録免許税

登記申請時

固定資産税評価額に応じた税額の収入印紙を登記申請書に貼付

事前に金融機関で納税する場合もある
・土地は固定資産税評価額の1.52.0%(時限措置)

・建物は固定資産税評価額の0.12.0%(時限措置)

消費税

売買契約時と残金決済時

不動産会社への仲介手数料に10%の課税

業者が売主の建物にも10%の課税

譲渡所得税

売却した翌年の2/163/15、確定申告時期

不動産売却による利益に対し課税2040%を課税

・短期譲渡所得:所有期間が5年以下の税率:約40

・長期譲渡所得:所有期間が5年超えの税率:約20
ただし、多くは居住用3,000万円の特例によって非課税扱い

必要書類と準備すべき時期

売主が準備する書類は以下のようにたくさんの種類があり、揃える時期も書類ごとに異なります。

書類

入手方法

準備する時期

履歴事項証明書(登記簿謄本)

法務局で取得、有料

A)売却査定の依頼時

登記識別情報(登記済証・権利書)

購入時の資料を確認

固定資産税納税通知書

(固定資産評価証明書)

自治体から毎年送られてくる書類を探す

(市区町村役場で取得、有料)

住宅ローンの残高証明書

金融機関から毎年送られてくる書類を探す(再発行、有料)

リフォーム履歴の確認資料

実施した場合は控えを探す

本人確認書類(免許証など)

すでに持っているものを探す

購入時の物件資料

購入時の資料を確認

B)売却活動の開始時

購入時の売買契約書

購入時の資料を確認

購入時の重要事項説明書

購入時の資料を確認

売却に関する媒介契約書

不動産仲介会社が用意する

公図・地積測量図・建物図面

購入時の資料を確認

建築確認済証・検査済証

購入時の資料を確認

確定測量図・境界確認書

購入時の資料を確認

耐震診断書・性能評価書

購入時の資料を確認

設備表・物件状況報告書

用紙は不動産会社が用意、記入は売主

C)売買契約書類の作成時

印鑑証明書(発行後3か月以内)

市区町村役場で取得、有料

D)残金決裁・引渡し時

住民票(発行後3か月以内)

市区町村役場で取得、有料

銀行口座の通帳

すでに持っているものを探す

準備する時期として(A)〜(D4つに分類していますが、(B)の書類も(A)の時期に揃えておけば、募集活動や広告にも活かせます。早めに揃えておくようにしましょう。

2. 一戸建てが売れない7つの原因

一戸建てが売れない7つの原因

一戸建てが売れないおもな原因は、以下の7つです。

価格が相場よりも高い

インターネットを使えば不動産相場は簡単に見つけられるため、売出価格が相場よりも高ければ売れるスピードは遅くなり、かなり高い場合には売れ残る可能性が上がります。

以下の関連ページは、一戸建ての売却相場が調べられるページです。

こちらもあわせてご欄いただき、相場の把握や売出価格の参考にお役立てください。

関連リンク【一戸建ての売却相場

繁忙期を外れている

不動産の繁忙期(春の異動時期)を外れると絶対的な購入者数が極端に少なくなるため、反響や内覧の数が減り、買主からの大幅な値下げ交渉が入りやすくなります。

一戸建て自体の商品力が弱い

不動産の商品力は、築年数・立地・外観・設備・劣化具合・間取り・駐車場の有無や台数・土地の傾斜や高低差などで評価します。築年数が古ければ売出価格は安くなりますが、住める状態にするためのリフォーム代や維持管理費用がかかるので購入がためらわれるケースが多くあります。

住宅ローンの借入期間が短い

住宅ローンの一般的な最長借入期間は35年で、新築や築浅の戸建てならこの借入期間に該当します。しかし、築浅でない中古戸建ては法定耐用年数(木造で最長22年)の影響を受けるため、銀行が融資条件として提示する借入期間は35年よりも短くなり、15年や20年などに制限される場合もあります。

築年数が古くても新耐震基準の適合証明が得られれば、築浅戸建てと同じくらいの借入期間で借りられる場合がありますが、プラス材料がなく、単に古いだけの戸建ては買主から選ばれにくいでしょう。

内覧時の印象が悪い

内覧時の部屋の印象(明るさ・清潔感・整理整頓・清掃など)や、対応姿勢など売主の印象が悪くて早々に内覧が終わる場合があります。また、内覧する買主について回って売り込みすぎるのも嫌がられることが多いです。逆に、住んでいる者にしか分からないメリット・デメリットを伝えるといった行動は、好まれることが多いでしょう。

案内が入れづらい

売主が自己都合を優先し、土・日・祝に案内できない場合も売却しづらいです。物件の内覧は土日祝がメインになるため、案内が入れづらい物件は不動産会社が案内しなくなることも。したがって、売却期間中は自分の用事よりも案内の対応を優先するという姿勢が、早期売却には欠かせません。

不動産会社、担当者の動きが悪い

売却を任せている不動産会社の売却活動が不十分(広告量が少ない)場合や、囲い込みをして他の不動産会社の内覧を阻止している場合には、売却期間が長期化する原因になります。

3. 売れるためにできる5つの改善策

売れるためにできる5つの改善策

ここでは、売れるためにできる改善策を5つ紹介します。

売却価格を下げる

ほんの少しの値下げでは効果が薄いので、売るためには不本意でも相場並みもしくはライバル物件に勝てるくらいまで値下げする覚悟が必要です。

不動産会社(担当者)を変える

媒介契約は契約期間が残っていても相当の期間をとって双方が合意すれば、途中で変更や解除をしてもペナルティはありません。不動産会社に対して違和感や、不満を感じたら、媒介契約の変更や不動産会社の交代を検討してみてください。

売却時期を見直す

春の異動時期を逃した場合や、ライバル物件が多すぎて無意味な値下げ競争になりそうなら、いったん売り止める方法も。次の繁忙期に向け万全の準備を整え、再度挑戦するのも良いでしょう。

不動産会社に買い取ってもらう

売却を急いでいる場合や、買い取り価格に満足しているなら、不動産会社に買い取ってもらうという手も。買い取りは短期間で売却が完了するだけでなく、仲介手数料が不要、周囲に売却を知られなくて済む、残置物処分や清掃も不要の場合が多い、などのメリットがあります。

売却対象を広げる

戸建ては、自己居住用の不動産として個人へ売却するだけではありません。小規模事務所、民泊、戸建て投資家、社員寮、近くへ親を呼び寄せるなど、自己居住でない需要に合致する可能性も考慮した売却活動を行いましょう。

4. まとめ

不動産の売却には時間がかかり、そのうちに家の劣化や相場の変化が起こります。また、売買価格は相場以外にも需要と供給のバランスや競合物件の価格にも大きく影響されるため、常に中古戸建て市場の動向を気にかけて、即時に対応できるよう瞬発力を高めておきましょう。

また、戸建ての売却では、不動産会社や担当者選びがとくに重要になります。不動産会社を選ぶ際は売却査定時の対応やネットの口コミなども参考にしてみてください。

関連記事【不動産を売却する方法と流れ|家や土地を売るときに知っておくべき手続きと注意点

柴田 敏雄

柴田 敏雄

宅地建物取引主任士、管理業務主任者
司法書士事務所に2年、大手不動産管理会社に5年、個人顧客を中心に不動産賃貸・売買の仲介営業会社に7年間従事。また、外資系金融機関にも2年間従事し個人顧客へ金融資産形成や相続税の節税アドバイスなどを担当。現在は不動産/金融業界での経験を活かし、記事を執筆にもあたっている。

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