土地売却の流れ|手続きを円滑に進める注意点や高く売るコツも解説

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売却を予定しているのが土地なのか、戸建てなのか、マンションなのかで売却の流れや高く売るコツは多少異なります。

土地に関する売却の流れや売却のコツを知らないまま、取りあえず売却をスタートした場合、相場よりも低く売却して損をしてしまう、買主がなかなか見つからず時間だけが過ぎてしまう可能性もあるので、納得のいく取引をするためにも売却の流れやコツを押さえた上で売却に臨むことが重要です。

この記事では、土地売却に必要な手続きを円滑に進める注意点や高く売るコツについて解説します。

目次

1. 土地売却の流れ

土地売却の流れは、戸建てやマンションの売却の流れと同じと考えている方も多いのではないでしょうか?

しかし、売却不動産の種別が異なると売却の流れも多少異なるため、円滑に売却を進めるためにも正しい土地売却の流れを事前に把握した上で売却に臨むことが大切です。

土地売却の流れは以下の通りです。

1. 土地の相場を調べる
2. 査定の際にあったら便利な書類を用意する
3. 不動産会社と媒介契約を結ぶ
4. 売却活動を行う
5. 買主と売買契約を結ぶ
6. 確定申告をして納税する

それぞれの土地売却の流れを詳しく見ていきましょう。

1-1. 土地の相場を調べる

まずは土地の相場を調べます。

その理由は、土地の相場が分からなければ、この次のステップで不動産会社から提示された査定結果や売り出し価格を決める際の妥当性を判断できないためです。

土地の相場を調べる方法として、以下の4つが挙げられます。

  • 固定資産税評価額で推測する
  • 相続税路線価で推測する
  • 公示地価・地価調査で推測する
  • 取引事例を調べる

市区町村から送付される固定資産税納税通知書に貼付されている固定資産税評価額を確認することで、おおよその相場を把握できます。固定資産税評価額を0.7で割って算出した金額がおおよその相場です。

相続税路線価は国税庁のWEBページで確認できます。路線価に記載されている1m2あたりの金額を0.8で割って面積をかけることで、おおよその相場を知ることが可能です。

公示地価・地価調査は国土交通省のWEBページで確認できます。近隣の公示地価・都道府県地価調査に記載されている1m2あたりの金額に面積をかけて算出されたのがおおよその相場です。

取引事例は公示地価・地価調査と同様、国土交通省のWEBページで確認できます。不動産取引価格情報検索に記載されている過去2年分の土地の取引価格からおおよその相場を知ることが可能です。

1つの方法だけでは不十分なので、いくつか組み合わせることをおすすめします。

1-2. 査定の際にあったら便利な書類を用意する

おおよその相場を把握した後は、不動産会社に査定を依頼する際にあったら便利な書類を用意します。

査定の際にあったら便利な書類として、以下の4つが挙げられます。

  • 登記簿謄本
  • 公図
  • 土地の測量図
  • 登記権利証または登記識別情報

登記簿謄本とは、登記事項証明書のことで、地番や地目、地積などの情報が記載されている書類のことです。公図は、土地の形状が分かる書類です。登記簿謄本や公図は法務局で取得できます。

土地の測量図は、土地の形状や実測面積が分かります。測量図には、実測図や現況測量図、確定測量図といった名称の図面がありますが、できれば確定測量図を用意しておくことが望ましいです。
確定測量図とは全ての境界が確定しているときに発行される実測図になります。

登記権利証または登記識別情報とは、登記をした時に受け取る書類です。査定の際には、上記3つの書類があれば問題ありませんが、所有者であることを証明する、所有権を移転する際に必要となる重要なものです。

紛失した場合には再発行できず、別の手続きが必要になるため、売却前に有無を確認しておきましょう。

1-3. 不動産会社に土地の売却査定を依頼する

おおよその相場を把握した後は、不動産会社に査定を依頼する際にあったら便利な書類を用意します。

査定の際にあったら便利な書類として、以下の4つが挙げられます。

  • 机上査定
  • 訪問査定

机上査定とは、条件の似た類似物件の過去の取引相場や公示地価などの公的価格に基づいて行う査定です。現地確認を行わないため、早ければその日のうちに結果が分かるものの、査定の精度は訪問査定よりも劣ります。

訪問査定とは、机上査定と実際に現地に足を運んで得られた情報を精査しながら行う査定です。現地調査を行うので結果が出るまでに1週間程度を要しますが、精度の高い査定結果が期待できます。

不動産会社によって販売力に違いがあり価格に対する判断が異なるため、査定結果にも差が生じます。そのため、複数の不動産会社に査定を依頼するのが一般的です。

しかし、複数の不動産会社に査定を依頼するのは手間がかかります。そこで登場するのが一括査定サービスです。一括査定サービスとは、一度不動産情報を登録するだけで複数の不動産会社に査定を依頼できるサービスのことです。

査定結果の良かった不動産会社に仲介を依頼すれば高値での売却が期待できますが、査定結果をわざと高く提示する悪質な不動産会社も。

悪質な不動産会社に騙されないためにも、仲介実績や担当者との相性などを総合的に判断しながら選びましょう。

1-4. 不動産会社と媒介契約を結ぶ

査定を依頼した後は、査定結果や実績などを踏まえながら不動産会社と媒介契約を締結します。

媒介契約とは、不動産会社に依頼する仲介の契約のことです。

媒介契約は一般媒介契約、専任媒介契約、専属専任媒介契約の3種類あります。3つの違いは以下の通りです。

契約数自己発見取引指定流通期間への登録義務売主への報告義務契約有効
期間
一般媒介契約 契約数複数可能 自己発見取引 指定流通期間への登録義務任意 売主への報告義務任意 契約有効期間制限なし
専任媒介契約 契約数1社のみ 自己発見取引 指定流通期間への登録義務7営業日以内 売主への報告義務2週間に1回 契約有効期間3ヶ月以内
専属専任媒介契約 契約数1社のみ 自己発見取引× 指定流通期間への登録義務5営業日以内 売主への報告義務1週間に1回 契約有効期間3ヶ月以内

一般媒介契約は複数の不動産会社との契約、自分で発見した買主との直接契約が可能な自由度の高い契約です。不動産会社同士が報酬を得るために競い合うことによって買主が見つかる機会が高まる一方、複数社から内覧希望がくるため、他の会社と内覧が重ならないよう自分で内覧スケジュールの調整・管理をしなければならない点がデメリットです。

専任媒介契約と専属専任媒介契約は1社のみの契約、不動産会社に課されている義務が多いため、全力で買主を探してもらいやすいと言えます。しかし、専任専属媒介契約は自分で購入希望者を見つけたとしても、不動産会社を介さずに売却することが出来ない点がデメリットです。

信頼できる不動産会社が見つかった場合は専任媒介契約または専属専任媒介契約、決めきれない場合は一般媒介契約といったように、状況に応じた契約形態を選択しましょう。

1-5. 売却活動を行う

媒介契約を不動産会社と締結した後は、媒介契約の内容に基づいて売却活動を行います。

不動産会社は抱えている顧客に提案する、SUUMOやHOME'Sなどの不動産ポータルサイト、チラシ広告などの広告掲載を通して購入希望者を募ります。

購入希望者が現れた後は内覧です。内覧とは、購入希望者が行う現地確認です。

希望価格や売却スケジュールなどを営業担当とよく相談し、条件に合った価格設定と価格改定のスケジュールを事前に決めておくことが大切です。

1-6. 買主と売買契約を結び、土地を引き渡す

売却活動を通して購入希望者が見つかった後は、売買契約の締結に移行します。

購入が決まってもすぐに売買契約の締結に移行するわけではありません。まずは不動産会社を経由して購入申込書を受け取ります。

購入申込書には以下のような項目が記載されています。

  • 購入希望価格
  • 購入希望者の融資利用の有無
  • 各種金員の支払い条件(手付金・内金・残代金など)
  • 引き渡しまでのスケジュール

購入申込書の内容に売主と買主の双方が合意した場合に売買契約の締結に移行します。

売買契約前に、不動産会社は買主に対して重要事項の説明を行います。

売買契約では、3者間(売主・不動産会社・買主)で以下のような手続きを行います。

  • 契約書の交付と説明、記名・押印
  • 手付金の授受

売買契約の締結後は、売買契約書に記載されている引き渡し日に土地を引き渡せば取引が完了します。

1-7. 確定申告をして納税する

土地を引き渡す際に残代金の決済が行われますが、売却結果によっては確定申告が必要になります。

確定申告が必要になるのは、売却価格から取得費や諸経費を指し引いてもプラスになった場合です。つまり、売却益が生じていれば確定申告が必須ですが、売却益が生じていなければ確定申告を行わなくても問題ありません。

確定申告は土地を譲渡した年の翌年2月16日~3月15日までに行います。確定申告の手順は以下の通りです。

1. 確定申告に必要な書類を用意する
2. 譲渡所得を算出する
3. 確定申告書を作成する
4. 所轄の税務署で確定申告を行う

書類の用意や手続きに手間と時間がかかるため、税理士に依頼するという選択肢も。ただし、税理士に依頼する際は、報酬を支払わなくてはならないという点に注意が必要です。

→税金記事へのへのリンクhttps://www.nomu.com/seller/column/20201216.html

2. 土地売却に必要な費用と税金

土地の売却代金は自由に使えると思っている方も多いかもしれませんが、全てを自由に使えるわけではありません。

以下の費用や税金がかかるため、それらを踏まえた上で手元に残るのがどのくらいなのかを把握しておくことが重要です。

  • 仲介手数料
  • 印紙税
  • 登記費用
  • 譲渡所得に生じる税金(所得税・住民税・復興特別所得税)

仲介手数料とは、媒介契約を締結した不動産会社が売買契約を成立させた場合に支払う報酬です。仲介手数料の上限は宅地建物取引業法(国土交通省の告示)に定められており、取引額が400万円超の場合、「(売買価格×3%+6万円)+消費税」という速算式で算出できます。

印紙税とは、売買契約書を交わす際に課される税金です。売買価格がいくらなのかで大きく異なりますが、1,000円~6万円程度を想定しておくと良いでしょう。

登記費用とは、抵当権抹消の登記を行う際にかかる費用です。抵当権抹消の登録免許税は不動産1個につき1,000円です。司法書士手数料は1万円から2万円程度となります。

譲渡所得に生じる税金(所得税・住民税・復興特別所得税)とは、土地の売却で売却益が生じた場合に納める税金です。譲渡所得に対する税率は、土地を売却した年の1月1日時点で所有期間が5年以下で39.63%、5年超で20.315%となります。

何かと多くの費用や税金がかかるので、土地売却に必要な費用と税金は必ず理解しておきましょう。

3. 土地売却時の注意点

土地を売却する際は、トラブルを避けるためにも、以下の3つの注意点を押さえながら売却に臨むことをおすすめします。

  • 境界確定と測量が必要な場合がある
  • 相続した土地の場合、名義は売主に変更しておく
  • 共有名義の土地の場合は全員の同意が必要

それぞれの注意点を詳しく見ていきましょう。

3-1. 境界確定と測量が必要な場合がある

1つ目は境界確定と測量が必要な場合があるという点です。

所有している土地が隣家や隣接地との境界があいまいということも珍しくありません。そのような場合、売却後にトラブルに発展する可能性があるため、土地家屋調査士に依頼して境界標を設置します。

境界標を設置することによって境界確定図を取得できるため、売却後のトラブルを未然に防ぎながら土地の売却活動を進めることができます。

3-2. 相続した土地の場合、名義は売主に変更しておく

2つ目は相続した土地の場合、名義を売主に変更しておくという点です。

土地を相続した場合、土地の名義が被相続人(亡くなった人)のままになっているということも珍しくありません。土地を売却できるのは不動産登記簿(登記事項証明書)に記載されている名義人だけなので、変更していなければ土地を速やかに売却できないので注意が必要です。

そのため、被相続人から土地を相続した場合は、売却を速やかに行うためにも名義を必ず変更しておきましょう。

3-3. 共有名義の土地の場合は全員の同意が必要

3つ目は共有名義の土地の場合は全員の同意が必要であるという点です。

共有名義とは、1つの土地に対し複数の所有者がいる状態です。共有名義の場合でも、土地の使用は単独で自由に行えますが、他人に貸す(使用行為)は過半数の同意、全体の売却(処分行為)は全員の同意を得なくてはなりません。

全員の同意を得ずに勝手に土地を売却することはできないため、売却にあたっては共有者全員の同意を得ることを忘れないようにしましょう。

4. 土地をできるだけ高く売却するコツ

土地を売却する際は、少しでも高く売却したいと考えている方が多いと思います。

少しでも高く売却するには、土地をできるだけ高く売却する以下2つのコツを押さえた上で売却に臨むことが大切です。

  • 土地売却の実績が豊富な不動産会社に依頼する
  • 土地の見栄えを整える

それぞれのコツについて詳しく見ていきましょう。

4-1. 土地売却の実績が豊富な不動産会社に依頼する

1つ目のコツは土地売却の実績が豊富な不動産会社に依頼することです。

全ての不動産会社が土地売却を得意としているわけではありません。単に賃貸業だけを行っている不動産会社や、賃貸物件の管理業を得意としている不動産会社に土地売却を依頼しても、高く売れる可能性は低いと言えます。

また、仲介業を得意としている場合でも得意分野が売却か賃借なのか、売却でも土地か住宅なのかによっても大きく異なります。

そのため、少しでも高く売却したい場合は土地売却を得意としており、仲介実績が豊富な不動産会社に依頼することが重要と言えるでしょう。

4-2. 土地の見栄えを整える

2つ目のコツは土地の見栄えを整えることです。

雑草が生い茂っている土地、粗大ゴミが投棄されている土地の場合、購入希望者は土地を購入してもすぐには使用できません。しかし、雑草の除去や残置物の撤去をしておけば、すぐ使用できるだけでなく無駄な支出を抑えられます。

そのため、土地も見栄えを整えた方が売却に有利と言えます。土地の写真を撮影する際や内覧時に少しでも良い印象を与えられるように、土地の見栄えを整えておきましょう。

→土地ステージングへのリンク https://www.nomu.com/plus/tochi_staging/

5. 古家付きの土地は更地にした方がいい?

土地の売却を検討している方の中には、更地ではなく古家が残っているという方もいると思います。

「解体した方が売却に有利に働きそう」と思った方も多いと思いますが、一概にどちらが良いとは言い切れません。

最適な決断を下すには、古家付きで売る場合と更地で売る場合のメリット・デメリットをよく理解してから売却に臨むことが重要です。

古家付きで売る場合と更地で売る場合のメリット・デメリットについて詳しく見ていきましょう。

それぞれのコツについて詳しく見ていきましょう。

5-1. 古家付きで売るメリット・デメリット

古家付きで売るメリットとデメリットは以下の通りです。

【メリット】

  • 解体費用が生じない
  • 固定資産税が安い
  • 買主が住宅ローンを活用できる

【デメリット】

  • 契約不適合責任のリスクが高まる
  • 購入希望者が限られる

更地にする場合は解体費用がかかりますが、古家付きのままの場合は解体費用が生じません。古家(住宅)があることによって、住宅用地の軽減措置特例が適用されるため、売れるまでの固定資産税を軽減することも可能です。また、古家に住む予定の人であれば、買主が住宅ローンを活用できるので自己資金の少ない購入希望者でも購入しやすいというメリットがあります。

一方、売却した古家に何らかのトラブルがあった場合、契約不適合責任を問われる可能性も。また、古家の築年数が経過しすぎている場合、印象が悪くなりなかなか購入希望者が現れない可能性もあるので注意が必要です。

5-2. 更地で売るメリット・デメリット

更地で売るメリットとデメリットは以下の通りです。

【メリット】

  • 需要が増える
  • 売却後のトラブルが軽減する

【デメリット】

  • 解体費用がかかる
  • 固定資産税が高くなる

古家を売主負担で解体して更地にした場合、買主の費用負担が軽減したり、用途が広がったりするため、古家付きの場合よりも需要が期待できます。また、解体することによって建物に潜む瑕疵を取り除けるため、売却後のトラブルを未然に防ぐことが可能です。

一方、解体費用が売主負担となるため、売却価格が下がったのと同じ状況になってしまいます。また、更地の場合には住宅用地の軽減措置特例が適用されないため、売れるまでの固定資産税の負担が大きくなる点に注意が必要です。

6. まとめ

土地を少しでも有利な条件で売却するためには、事前に土地売却の流れを把握しておくだけでなく、コツを押さえながら売却に臨むことが重要です。

また、土地には住宅とは異なる点もいくつかあるため、注意点をしっかり把握しておくことも、トラブルを未然に防ぐためにも必要不可欠です。

この記事には土地売却の流れや高く売るためのコツ、注意点などをまとめています。土地を売却する際は記事の内容を確認してから売却に臨めば、売却を有利に進められるでしょう。

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竹内英二

竹内英二

不動産鑑定事務所および宅地建物取引業者の代表取締役。
不動産鑑定士、宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、公認不動産コンサルティングマスター(相続対策専門士)、中小企業診断士の資格を保有。
大阪大学出身。

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