古家付き土地の購入はアリ?メリット・デメリット解説

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古家付き土地を購入するか否か、お悩みの方もいるのではないでしょうか?購入すべきか否かは、どのように判断すればよいのか?購入する際にはどのようなポイントに注意すべきなのか?建物の確認方法や、リフォームする際の心得、古家付きの土地購入を成功させる方法なども含め解説します。

目次

1. 古家付きの土地購入はアリか?

中古戸建のホームインスペクション(住宅診断)の依頼者A氏から「土地として売りに出されている古家が手を入れて住むことができるかどうか調べてほしい。」というオーダーがありました。早速、現地に赴くと、かなり状態の良い建物だったので目を見張りました。この事例のように、築年数だけで価値が無いと判断するには惜しい古家は数多くあります。購入時の注意点さえ押さえれば、「古家付き土地の購入」はアリと言ってよいでしょう。

1-1. 古家付きの土地の特徴

そもそも「古家付き土地」とは「土地」として売り出している物件のことです。チラシに「土地※古家付き」とある場合は築40年以上の建物で、中古戸建としては売りにくいものであると考えて間違いありません。
ではなぜ売主は更地にして土地として売らないかというと、以下のメリットがあるからです。

  • 古い家をリノベーションして活用するトレンドがある
  • 解体費用+固定資産税を節約できる
  • 暮らしながら売ることができる・・・など

「トレンド」は時代の変化とともに変わっていくものです。だから必ずしもメリットになるとは思えないかもしれません。しかし、昨今の空き家問題、SDGs、温暖化防止というよく聞くキーワードからも想像できるように、今ある資源を活用するリフォーム、リノベーショントレンドは今後さらにニーズが高まると思われます。

1-2. 土地としての価値

物件検索サイトで家探しをするとき、エリアを条件の一つとするケースは多いのではないでしょうか。 例えば公園や生活関連施設が充実しているところ、通勤に便利など。しかし、人気エリアの物件は出にくく、出てもすぐに売れてしまうので理想どおりの物件を手に入れるのは狭き門です。その狭き門を広げる手段として「古家付き土地」を選択肢に入れてみてはどうでしょうか。希望するエリアで古家付きの土地を見つけたら、まず「土地」自体の価値の確認をしてください。

  • 境界の確認~境界鋲があるか。測量図、登記事項などを確認
  • 道路の確認~道路幅、セットバックの要否、道路の種類(私道の有無)、再建築不可かなど
  • 用途地域等の確認~建蔽率、容積率、防火地域、斜線制限など

古家の活用をあきらめて、いざ建て替えようとした際、もし土地の境界が違っていたり、大幅なセットバック(道路後退)が必要だったりすると、お買い得だと思った物件は一気に残念な買い物に変わりかねません。実際、セットバックや、越境が原因で土地が数坪小さくなるという話はよくあます。さらに再建築不可の場合は、古家をリフォーム活用するしかなく、次に売れる可能性は限りなくゼロに近いことを覚悟しなくてはいけません。一見、立地条件は良いのに値段が手ごろ、割安だと思える土地にはこうした理由を内包している可能性があることを覚えておきましょう。
これらの項目は契約前の重要事項説明でわかることですが、契約直前まで待たずに仲介業者に尋ねることをおすすめします。

2. 建物の確認方法

建物の確認方法について「データ編」「現地編」に分けて解説します。

2-1. データ編

土地としても遜色なく利用できそうだとわかったら、次に建物のチェックをしてください。

  • 構造、建築年~1981(昭和56)年以降か
  • 図面、検査済証の有無~耐震診断やリフォームの際に必要。融資に必要なことも
  • 傾き、シロアリ、雨漏り~リフォーム費用に影響する事象の確認

「旧耐震」「新耐震」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?これは建築基準法改正の前か後かで区別されています。旧耐震物件は安全性が担保できないという意味と、銀行の融資や税の控除の対象外となり得るという意味で敬遠されがちですので必ず確認する項目です。
低金利で住宅ローンが利用しやすい現在、住宅ローン控除を受けることができれば、よりお財布に優しく自宅を手に入れることができます。ただし、このローン控除を利用するには、木造の場合は築20年を超えると新耐震基準に適合している証明が必要となります。「古家」が旧耐震の場合は、新耐震の基準にするために耐震改修工事が必要になり、リフォーム費用が100万円~程度増えますので、覚悟が必要です。
その耐震改修工事は図面がある方がスムーズに行えます。耐震改修工事を伴わないリフォームだとしても、図面や資料は多いほど良いです。
検査済証は確認申請の設計図通りに建築されている保証のようなものですので、銀行の融資の際も含めてあるに越したことはないでしょう。
これらに関してもほとんどが重要事項説明の内容になっていますので、仲介業者にお尋ねしてください。

2-2. 現地編

現地で確認したいことは、主要な構造部分である柱、梁、壁、床、屋根などに加え、基礎部分の大きな損傷の有無です。場合によっては、古家を活用できない可能性もあります。確認にはホームインスペクションを利用し、専門家に見てもらうのが安心です。ホームインスペクションの利用をしない場合は、じっくりと観察してみてください。床下と屋根裏に点検口があれば、できるだけ中を確認しましょう。点検口をあけると床下がカビだらけだったり、水浸しだったりするケースもあります。においや湿気、床鳴りや建具の動作不良など、あなたが違和感をもったなら、専門家に詳細な調査を依頼するようにしてください。 なお、建物の現地確認をする際には所有者の承諾が必要です。現地に訪れる前に、必ず確認するようにしましょう。

3. 古家をリフォームするときに覚えておきたい3つの心得

価値がないと判断された古家をリフォームする際には「融資」「契約」「リフォーム」の3点で注意したいポイントがあります。それぞれについてご紹介します。

3-1. 融資の心得

さて、価値がないと判断された古家をリフォームする際、重要なことは金融機関が建物を担保としてどれくらい見てくれるかです。担保の程度によって借り入れられる金額と返済期間が制限されることは容易に想像できると思います。どのようなリフォームをするのか、耐震性も含めて金融機関はシビアに判断するでしょう。 そして本来土地として売りに出していましたので、建物は基本的には瑕疵担保の対象外となります。リフォームが始まって思わぬ不具合が見つかり、想定外の費用が発生することも考えられます。リフォーム前後の火災保険費用も含め、通常の中古戸建の売買以上に金融機関も慎重になるはずです。だからこそ、あなた自身も慎重に資金計画を立てる必要があります。

3-2. 契約の心得

重要事項説明を受けた後、いよいよ契約です。建物を利用する場合は、土地だけでなく、「土地・建物」の売買であることを書面で確認し、移転登記をします。前述したように、建物の契約不適合責任は契約書の特約で免責となる記載があれば、基本的には問うことはできません。契約書別紙の物件状況等報告書に記載されている土地と建物についての瑕疵はもちろん、事故や事件など心理的な瑕疵についても確認し、引き渡し後の万が一に備えましょう。
建物を解体する場合は解体のタイミングと費用について、売主と認識の齟齬がないか確認しましょう。「古家付き」として売っているということは、解体作業は買主負担ですよという意味です。買ってすぐに解体する場合でも、建物を別の人に移転登記されるリスクをなくすために所有権移転登記をするか、移転登記をしない場合は最低でも売渡証明に土地と建物の記載をしてもらい、滅失登記書類を準備してもらいましょう。決済までに移転登記や滅失登記の話がない場合は、どうなっているのかを必ず売主に確認してください。
また、建物を利用する場合も解体する場合も、建物内外の残置物は引き渡し時のトラブルの元ですので、忘れず確認してください。

3-3. リフォームの心得

ホームインスペクション

ホームインスペクションは非破壊調査ですが、2時間~3時間程度かけて細かくチェックしていきます。点検口があれば床下や屋根裏も確認できます。劣化状況だけではなく、配管からの水漏れ、シロアリや雨漏りの可能性についてもチェックできるでしょう。特に建築士免許を持っている経験豊富な専門家であれば、いろいろと質問や相談をすることで補修の方法や大まかな費用はもちろん、リフォームについて思いもよらないアイデアをもらえる可能性も期待できます。

リフォーム業者の選定

リフォーム業者は、会社の大小で選ぶのは避けましょう。業者選びの最低条件はリフォーム前後の図面を提示しながら、出してきた提案について根拠を示して丁寧に説明をしてくれること。説明の際にあいまいな回答であった場合は、注意したほうが良いでしょう。
また、意匠設計だけでなく、構造や断熱にも詳しい建築士が在籍していると非常に心強いです。

耐震改修に詳しい建築士

耐震改修を伴うリフォームをする場合には、経験や知識のある建築士に依頼するべきです。デザインも大切ですが、何よりも安心と安全があってこそです。各行政の建築相談窓口や無料建築相談会、あるいは、建築士の関係団体などへ「耐震改修に詳しい建築士さんを紹介してほしい」など相談してみるとよいでしょう。

4. 古家付き土地購入を成功させるポイントは?

古家付き土地を購入する際に必ず覚えておいてほしいポイントを解説します。

4-1. 仲介業者に遠慮しないこと

文章中で「仲介業者にお尋ねしてください」という言葉を使いました。不動産の売買のプロは何といっても仲介業者です。買主の求める物件を探して持ってくるのが仕事です。買主が何を求めているのかを丁寧にヒアリングして読み取ってくれる担当者と出会えれば快適に売買を進めることができるでしょう。重要事項説明書の内容のうち、当該物件で特に注意すべき項目をピックアップして説明してくれ、リスクについて聞かなくても事前に話をしてくれるのがプロフェッショナルです。

4-2. 専門家をうまく利用する

人生に一度あるかないかの不動産売買を失敗しないためにしっかり勉強する時間と労力を考えると、専門家をうまく利用しなさいと一言お伝えしたいのが正直なところです。一人で売買に立ち向かうための知識を得るには限度があります。それならば、信頼できる専門家を見分けて任せる方が効率的です。文章の後半がそのメッセージであり、一番重要なのは仲介業者です。あなたの希望をしっかりと受け止めてくれて、そのために必要な確認事項をわかりやすく、根拠を示して説明してくれる担当者を探すことが鍵になります。

5. まとめ

冒頭にお話をしたA氏は、結局古家を解体して新築しました。ご自分が家を買う理由、理想の条件、妥協ライン、予算などをとても具体的に考え、優先順位をつけて最終的にはご自分のライフスタイルと終活のイメージまでして結論を出されました。
古家付きの土地はお買い得なことが多い反面、リスクも高く、リスクに直面した時にどうするかという出口戦略がないまま購入をすると、やけどを負いかねません。いろいろな情報を手に入れて知識を付けると同時に、あなたが家を買うことについて具体的な話ができることが、リスクなく物件を手に入れる絶対条件なのです。

大森敞彦

大森敞彦

さくら事務所ホームインスペクション関西 代表
業界NO.1(50,000件以上)の実績を誇るインスペクション事務所、さくら事務所ホームインスペクション、関西の代表。建築や不動産に関わる中で「不動産トラブルをひとつでも減らしたい」という思いからホームインスペクターに。2012年10月に関西支部の開業以来、500件超の調査実績を誇る。専門家ながら、わかりやすく親しみやすい調査・報告に定評がある。ホームインスペクションのリーディングカンパニーとして果たす役割の大きさを実感し、日々依頼者の相談に耳を傾け、アドバイスを行っている。

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