『権利書』を紛失したときの対処法を解説!知っておきたい「登記申請」の方法とは

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『権利書』を紛失したときの対処法を解説!知っておきたい「登記申請」の方法とは

家や土地の権利書を紛失した場合、再発行することができません。とはいえ、書類がなくなったからといって、土地や家などの権利がなくなるわけではなく、別の対処をとることができます。そこでこの記事では、宅建士の資格を持つ筆者が、権利書の役割や必要になるシーンなどを紹介したうえで、権利書をなくしたときの対処法として、登記申請の方法などを解説しています。相続では不要になるケースも多いため、権利書が見当たらなくて困っている方は、ぜひ読み進めてみてください。

目次

1. 権利証とは

「権利証」とは、不動産の所有者であることを証明するための書類です。所有者本人であるということの本人確認書類として、所有権移転登記や抵当権設定登記を行う際に利用されます。一般的に権利証と呼ばれるものには、登記済証と登記識別情報があり、2023年現在では登記済証が発行されることはなく、登記識別情報を発行することになっています。

1-1. 登記済証

2005年の不動産登記法改正以前、不動産登記がオンライン化される前は、所有者が所有権移転登記を申請したときに登記申請書に法務局の受付印を押したものが返却されていました。これを登記済証と言い、一般的に権利証(権利書)と言われています。登記申請書の写し、売買契約書、売渡証書などがファイル等に一緒に保管されています。

1-2. 登記識別情報

不動産登記のオンライン化後、登記済証は発行されていません。代わりに12桁のパスワード(英数字の文字列)が記載された登記識別情報通知が発行されるようになりました。以前はパスワード部分についてシールが貼られていましたが、現在は袋とじのような形状になっています。

2. 相続では不要なケースも!権利証が必要な場面

権利証が必要になる典型的な場面は不動産にかかわる、権利の変更を伴う登記を行う場合です。一方、相続による所有権移転登記の場合や、登記事項の中でも単なる住所変更や氏名の変更登記を行う場合、権利書は不要です。

2-1. 相続による所有権移転の場合は必要なし

相続など、当事者の意思に基づかない所有権移転では、権利書は原則として必要ありません。ただし、住民票等が発行されないために被相続人と登記上の所有者の同一性が確認できない場合には、権利書が必要になることがあります。

2-2. 売買・贈与による所有権移転

売買・贈与・交換等による所有権移転登記(名義変更)は、権利証が必要になる典型例です。登記の際には、司法書士に登記申請書とともに権利証、売買契約書、委任状、本人確認書類などの添付書類を提出して、登記申請を依頼します。

2-3. 抵当権の設定

不動産を担保に金融機関から借入を行う際には、所有不動産に抵当権を設定します。この抵当権設定登記申請の際にも権利書が必要です。不動産取得時の担保設定のときはもちろんのこと、不動産担保ローンの利用や借り換えのときにも権利証が必要になります。

3. 権利証を紛失したときの対処法・3つ

権利書を紛失したときには警察署に紛失届を提出するのはもちろんですが、そのほか、不正に権利移転の登記が行われていないかについても確認しなければなりません。紛失がわかったときには、すぐに以下を確認・実行しましょう。

3-1. 実印と印鑑登録証を確認する

まずは、所有者の実印と印鑑登録証が手元にあるか確認します。新たな登記するためには権利証のみでは不十分で、所有者の実印と印鑑証明書が必要となります。まずは、所有者の実印と印鑑登録証の実物があるかどうか確認しましょう。

3-2. 登記簿謄本を取得する

実印と印鑑登録証がない場合はもちろん、あったとしても念のため実際に登記簿謄本を法務局で取得し、不正登記が行われていないか確認します。登記申請があった場合には、登記完了までは登記簿を取得することができません。登記申請の形跡がある場合には、速やかに法務局や司法書士に相談して対処しましょう。

3-3. 不正登記を防止する手だてをとる

最後に、不正登記防止の申し出と登記識別情報の失効手続きを行います。不正登記防止の申し出とは、申し出から3カ月以内に疑わしい登記申請があった場合に、本人は通知を受け取ることができる制度です。これらの手続きは、原則として所有者本人が登記所(法務局)に出向いていかなければなりません。

4. 権利書を紛失したときの登記申請方法

万が一、権利証を紛失してしまった場合でも、所有権移転登記や抵当権設定登記は可能です。権利証は所有権者としての本人確認書類の一種ですので、専門家に代替書類を作成依頼することで対応します。もっとも、特殊な手続きとなりますので、不動産業者や司法書士と相談しながら最適な方法を選択しましょう。

4-1. 司法書士に本人確認情報を作成してもらう

司法書士に権利書の代わりとなる本人確認情報(本人確認をしたことを証する書類)を作成してもらい、登記申請書に添付する方法です。登記手続きを司法書士に依頼するのであれば、この方法がとられることが多いかもしれません。

4-2. 公証人役場で本人確認手続きを行う

公証人立ち合いの下で登記申請書等に記名押印し、本人確認の認証を付与してもらう手段もあります。登記申請を自分で行う場合には公証人にサポートを依頼することも可能です。もっとも、手続きは厳格ですので、事前に公証人役場に出向いて手続きを確認したほうが良いかもしれません。

4-3. 事前通知制度を活用する

登記所(法務局)からの本人限定受取郵便による確認通知に実印を押印して、2週間以内に法務局に返送もしくは持参する方法によって本人確認手続きを行います。

5. まとめ

権利証は現在、登記識別情報通知に変わっていますので、今後は黒紐やファイルに閉じられた権利証一式を見かけることは少なくなるかもしれません。どちらの形式のものであっても不動産取引における重要な書類ですので、金庫等に厳重に保管しておくべきです。権利証を紛失してしまっても登記は可能ですが、まずは不正登記を防止するための手続きをとることが必要です。落ち着いて対処し、トラブルを未然に防止していきましょう。

徳田 倫朗

徳田 倫朗

宅地建物取引士
株式会社イーアライアンス代表取締役社長。中央大学法学部を卒業後、戸建・アパート・マンション・投資用不動産の売買や、不動産ファンドの販売・運用を手掛ける。アメリカやフランスの海外不動産についても販売仲介業務の経験をもち、現在は投資ファンドのマネジメントなども行っている。

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