不動産の登記簿謄本とは?取得方法や記載内容を解説!

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不動産の登記簿謄本とは?取得方法や記載内容を解説!

登記簿謄本という名前は耳にしたことはあるものの、どうやって手に入れるのか、どんなことが書いてあるのか、わからないという方も多いでしょう。そこでこの記事では、登記簿謄本について知りたい方に向けて、不動産のプロと呼ばれる資格宅建士をもつ筆者が、登記簿謄本をわかりやすく解説しました。

この記事を読めば、登記簿謄本について、網羅的に知ることができ、取得方法や使い方などがわかるようになります。登記簿謄本について知りたい方は、ぜひご一読ください。

目次

1. 登記簿謄本とは

登記簿謄本とは、不動産の所在や広さなどの基本的な情報や、所有者、担保権や利用権などの権利の内容について、法務局の登記官が登記簿(現在はオンライン化されている)に記録した情報を複写したものを言います。読み方は「とうきぼとうほん」です。登記簿謄本を取得したいときは、法務局に出向いて手続きするか郵送申請することにより取得できます。市役所などの公的機関に行けばどこでも取得できるわけではありません。

また、現在では登記情報のオンライン化により、不動産所在の地域を管轄する法務局でなくても登記簿謄本を取得することができるようになりましたが、一部オンライン化されていない地域の謄本については、管轄の法務局で手続きする必要があります。

1-1. 登記簿謄本と登記事項証明書の違い

登記簿謄本のことを登記事項証明書ということがありますが、呼び方の違いでいずれも同じものを指しています。厳密には、オンライン化される前の登記簿を法務局で複写したものを登記簿謄本と言い、オンライン化された情報を公的な証明として印刷した書類を登記事項証明書と言います。もっとも、登記簿謄本という従来からの言い方がそのまま現在も残っており、登記事項証明書のことを指して「登記簿謄本」と呼ぶことが多くなっています。

1-2. さまざまな登記事項証明書

登記事項証明書には、不動産登記のほかに、法人登記、動産・債権譲渡登記があります。公的に公開する必要がある重要な情報については、登記情報に記録して、誰でも閲覧および証明書の取得ができるようにすることで取引の安全を図っているのです。不動産登記、法人登記の登記簿謄本は基本的にはどこの法務局でも取得可能ですが、動産・債権譲渡登記は特殊な登記ですので、取得できる法務局が決まっています。

こちらの記事も併せてご参照ください。
不動産登記とは?かかる費用や証明書の取得方法

2. 登記簿謄本が必要な場面

不動産登記簿謄本は、不動産取引や相続の際に、不動産に関する基本的な情報や権利関係について知りたいときに取得します。このほか、自宅をローンで購入した後に、住宅ローン控除を申請するときにも添付資料として必要です。

2-1. 不動産取引のとき

不動産売買を行うときには、対象となる不動産の情報を収集するために必ず登記簿謄本を取得します。土地の所在地や面積(地積)、用途、建物の種類や規模・延床面積、所有権者など基本的な情報を確認することはもちろん、対象不動産に担保権や利用権(地上権・賃借権・地役権など)など購入後に利用を妨げる権利が付いていないかについても確認します。

2-2. 不動産を相続したとき

不動産を相続したときには相続登記をする必要があります。その準備として、まずは相続した不動産が本当に被相続人の所有なのか、ほかの親族との共有ではないか、借入金などの担保になっていないかなどについて確認します。

対象不動産が担保に入っている場合には、ほかの所有不動産も共同担保(共担)に入っている可能性があります。共同担保目録を合わせて取得することで、共担に入っている不動産の一覧を確認することができます。これにより、思わぬ不動産が相続不動産に含まれていることが判明することもしばしばです。

2-3. 住宅ローン控除を申請するとき

自宅をローンで購入するときには、ぜひ住宅ローン控除を活用したいものです。住宅ローン控除を活用するためには、2年目以降は年末調整で手続き可能ですが、1年目は確定申告が必要です。その確定申告時の添付資料として購入した不動産の登記簿謄本が必要になります。

3. 登記簿謄本の記載内容

登記簿謄本のフォーマットは全国共通です。表題部・甲区・乙区に分かれており、それぞれ記載内容が異なります。乙区に記載事項がない場合には、表題部と甲区のみの記載になります。対象となる不動産が共同担保に入っている場合には、共同担保目録の記載を追加することができます。

3-1. 表題部の記載内容

表題部には、不動産の基本的な情報が記載されています。具体的には以下のような項目に分かれています。

・土地の場合:所在・地番、地目、地積、登記原因、所有者
・建物の場合:所在、家屋番号、種類、構造、床面積、登記原因、所有者、区分所有建物の場合の敷地権の表示

これらの記載事項は、土地家屋調査士がこの不動産が生じたとき(分筆・合筆・新築など)に登記申請した事項が記載され、その後変更登記がされない限りは記載事項が変わることはありません。そのため、かなり前に登記されたものである場合には、特に地目、地積については、現況と異なる場合があります。

マンションの登記に関しては、区分所有登記された建物の謄本に、「敷地権の表示」という項目が加わります。これは、マンションは住戸別に登記されるため、その住戸の専有面積に対応する土地の権利を示したものです。「1万分の○○」というかたちで、土地の権利(敷地権)が割合で表示されます。

3-2. 甲区の記載内容

甲区には、所有権に関する登記が記載されます。記載項目は、順位番号、登記の目的、受付年月日・受付番号、権利者その他の事項です。初めての所有者による登記を所有権保存登記と言い、順位番号1番に登記されます。その後、売買、相続、譲渡などがあったときにその都度所有権移転登記がなされ、保存登記に続けて登記事項が記載されます。

対象不動産が共有の場合には、共有者の情報と共有割合が表示されます。そのほか、売買の予約や停止条件付売買契約があったときなどに行われる所有権移転仮登記、またやや特殊ですが税金等の滞納や借入金返済の滞納のときの差押や仮差押、そのほか係争時の仮処分についても、甲区に記載される事項です。

3-3. 乙区の記載内容

乙区には所有権以外の権利についての事項が表示されます。抵当権や根抵当権など担保に関する登記のほか、地役権、賃借権、地上権など所有権の完全な利用を制限する権利(用益権)が付いている場合にはその権利の内容を明らかにするために乙区に記載されます。

記載項目は、順位番号、受付年月日・受付番号、登記の原因、権利者その他の事項です。登記の目的には、担保権や用益権の設定、権利内容の変更など、登記することになった理由が記載されます。

権利者その他の事項の記載内容は権利内容によって異なりますが、例えば抵当権の場合には、抵当権者、登記原因(金銭消費貸借など)、債権額、利息、共担の有無が記載されます。

3-4. 共同担保目録の記載内容

共同担保目録とは、共同担保が設定された不動産を一覧にまとめたものを言います。一つの債権について複数の不動産に担保が付されている場合には、共同担保として登記されるルールとなっているのです。共同担保目録を取得するには、登記簿謄本交付申請書の共同担保目録のところにチェックを入れ必要事項を記載します。

4. 登記簿謄本の種類

登記簿謄本の種類は全部で4種類あります。一般的には現在事項証明書で足りますが、所有権移転の履歴や、抹消された担保権の内容など知りたい場合は全部事項証明書を取得します。金融機関や公的機関に提出するときには、どの種類の登記簿謄本が求められているのかを確認しましょう。

4-1. 全部事項証明書

全部事項証明書には、登記簿に記載されている内容が、閉鎖事項を除きすべて記載されています。記載内容の中には、すでに変更されたり、抹消されたりしている事項もありますが、そのようなものには下線が引かれています。下線が引かれていないものが現在効力のある事項を表しています。

4-2. 現在事項証明書

現在事項証明書は、現在において効力がある事項のみが記載されているもののみが記載されています。全部事項証明書のうち抹消・変更されたことで下線が引かれている事項を除いたものです。見た目がすっきりしてわかりやすいので、現在の権利関係のみを知りたいのであれば、現在事項証明書を取得します。

4-3. 一部事項証明書

一部事項証明書は甲区または乙区の記載事項のうち、順位番号を指定して一部のみ記載されているものです。一部のみの記載ですのでほとんど取得する機会はありませんが、大規模マンションや多数の権利者が存在する不動産で、登記簿謄本のページ数が膨大になってしまう場合には、一部のみの権利関係を確認するために取得することがあります。

4-4. 閉鎖事項証明書

閉鎖事項証明書はすでに閉鎖された登記事項の内容を証明するものです。すでに解体撤去され滅失登記の申請がなされた建物登記や合筆された土地における合筆前の土地の登記などについては、これ以上登記内容が変更・更新されることはありません。このような登記は登記官が職権で閉鎖をします。

5. 登記簿謄本の法務局での取得手順

法務局では、全国の土地・建物の登記簿謄本を誰でも取得することができます。
法務局に出向いて申請するほか、郵送やインターネットで取得することも可能ですので、各々の取得手順をご紹介します。

5-1. 不動産の地番を確認する

まず、土地・建物の所在地番を確認します。所在地番はいわゆる住居表示(住所)とは異なりますので注意が必要です。住居表示は、建物が建ったときにその建物の所在を表すために各市町村が決定します。それに対して登記簿における所在地番は一筆の土地ごとに元々付されているものです。マンションや戸建分譲の販売時、建物が未完成の場合には広告に所在地番しか表示されていないのは、まだ住居表示が定まっていないからです。

不動産の所在地番は管轄の法務局に備え付けてあるブルーマップで確認します。ブルーマップとは、住居表示が示されている住宅地図に青色で土地地番が重ね合わせて表示されているものです。地域によってはプルーマップが発行されていないところもありますので、その場合には地番の調べ方について管轄の法務局に問い合わせてみると良いでしょう。

5-2. 交付申請書に必要事項を記入する

法務局に備え付けてある交付申請書に申請人、対象不動産の所在地番・家屋番号、所有者、共同担保目録の有無、請求する証明書の種類を記入します。印鑑は必要ありません。証明書発行請求機がある法務局では、タッチパネルで必要事項を入力することで請求が可能です。

5-3. 収入印紙を購入して申請書に貼付する

法務局内の印紙販売所で収入印紙を購入し、申請書に貼付します。法務局での申請の場合、1通につき600円分の印紙が必要です。証明書発行請求機で請求した場合には、謄本の交付を受ける際に窓口内で発行された申請書に印紙を貼付します。以前は登記印紙という特別の印紙が発行されておりましたが、現在では発行されておりません。もっとも、以前の登記印紙をもっている場合には現在でも使用することができます。

5-4. 法務局の窓口に交付申請する

法務局の所定の窓口に、印紙を貼付した交付申請書を提出します。タッチパネルで交付申請した場合には、自動的に交付申請書が窓口内で印刷されます。申請から交付までの時間は10分程度ですが、混雑していたり対象不動産の件数が多かったりする場合には時間がかかることもあります。

5-5. 郵送での交付申請

登記簿謄本の交付は郵送でも行うことが可能です。法務局のホームページから交付申請書をダウンロードして必要事項を記入し、収入印紙、返信用封筒とともに法務局に送付します。収入印紙の額は1通につき600円ですので、1筆の土地と建物の請求であれば2通で1,200円分の収入印紙が必要です。返信用封筒には切手も忘れずに貼付します。申請から謄本が届くまで1週間程度みておけば良いでしょう。

5-6. オンラインでの交付申請

法務省では、登記簿謄本の申請をオンラインで行うためのシステムを用意しています。Web ブラウザからアクセスできる「かんたん証明書請求」とアプリケーションをダウンロードする「申請用総合ソフト」がありますが、一般的にはかんたん証明書請求で事足ります。電子証明書などの複雑な手続きもなく、手数料の納付もインターネットバンキングでできますので簡単です。

申請手数料は郵送料込みで500円、窓口受け取りの場合には480円と郵送申請の場合よりもかなりお得です。

6. 登記情報提供サービスの利用方法

登記情報の閲覧のみであれば、登記情報提供サービスを利用できます。閲覧には料金がかかりますが、登記情報をPDFでダウンロードすることが可能です。金融機関等に謄本を提出する必要がなく、単に登記情報を確認したいのみであれば登記情報提供サービスを利用するのが良いでしょう。

6-1. 一時利用と個人利用・法人利用

個人利用・法人利用ともに原則として事前の申請が必要で、申請後約一週間で利用できるようになります。急ぐときには、一時利用を選択し利用者情報やクレジットカード情報を入力することで利用することもできますが、利用時に毎回同じ情報を入力しなければならないため面倒です。何度も利用する可能性がある場合には、個人利用・もしくは法人利用の申請をしたほうが良いでしょう。

6-2. 地番検索も地域によっては可能

登記情報提供サービスの中には地域によっては地番検索サービスが提供されており、大変便利です。地番検索サービスでは、画面上に表示された住宅地図に記載されている住居表示と地番から、登記情報を得たい土地建物の所在地番のあたりを付けることができます。

地番の表示がわかりにくい場合には、対象地に隣接していそうな土地の地図(公図)を取得してみると対象地の地番が判明することがあります。

6-3. 登記情報提供サービスを利用する際の注意点

登記情報提供サービスは便利なWebサービスですが、利用時間が限られているため注意が必要です。

平日は午前8時30分から午後11時まで、土日祝日は午前8時30分から午後6時までです。このほか、年末年始の休みがありますので、事前にホームページ等で確認しておきましょう。

また、登記情報はPDFでダウンロードできますが、PDFでの情報は、金融機関等の証明資料として認められないことがほとんどです。PDFでの情報に証明文言や証明印が付されていないからです。

7. まとめ

不動産登記簿謄本は、不動産の売買等の取引のほか、相続時や不動産担保ローンの手続きをするときなどさまざまな場面において必要になる書類です。記載内容は専門的なものもありますが、インターネット上の情報を参考にしながら記載内容を確認していけば、基本的な情報は一般の人でも読み解くことができます。忙しくて法務局に出向く時間がないときには、郵送やインターネットでも請求できますのでぜひ活用してみましょう。

徳田 倫朗

徳田 倫朗

宅地建物取引士
株式会社イーアライアンス代表取締役社長。中央大学法学部を卒業後、戸建・アパート・マンション・投資用不動産の売買や、不動産ファンドの販売・運用を手掛ける。アメリカやフランスの海外不動産についても販売仲介業務の経験をもち、現在は投資ファンドのマネジメントなども行っている。

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