マンションの減価償却を正確に計算!確定申告をするポイントまで解説

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マンションの売却益を確定申告する際に、減価償却費も忘れずに計算する必要があります。減価償却とは、不動産などの経年劣化がある資産について、劣化によって低下する価値を経費として計上できる仕組みです。

減価償却費は、正しく申告しなければ税額にも影響します。売却後の確定申告を控えているなら、詳しい仕組みや計算方法などに正しい理解が必要です。

本記事では、マンションを売却した翌年に確定申告をする人向けに、減価償却について詳しく解説します。計算方法や耐用年数の解説、ケース別の計算シミュレーションも紹介するので、計算が複雑で不安という人もぜひ参考にしてください。

目次

1. 【独自調査】マンションの減価償却に関するアンケート

本記事では不動産の確定申告をおこなったことがある人を対象に、不動産の減価償却の計算を誰がおこなったのかをアンケート調査しました。

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アンケート調査から、75%の人が不動産会社や税理士等の専門家に依頼し、25%の人が自力で計算していることがわかりました。

減価償却の計算には専門知識が必要なため、多くの人が専門家に依頼をする一方で、一定数の人は知識を身に付けて自力で計算し、コストカットを図っていることが推察されます。

2. マンションの減価償却の基本

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はじめに、減価償却について基本的な知識を解説します。

2-1.減価償却とは

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そもそも減価償却とは、経年劣化によって価値が下がる資産について、低下する価値を毎年の必要経費として処理できる仕組みのことです。経年劣化で価値が低下する資産のことを減価償却資産といい、不動産もこれに含まれます。他には、車や機械装置なども減価償却資産にあたります。

減価償却は、取得にかかった費用(取得費)を一定年数で割って算出します。一定年数とは、使用可能期間として定められた法定耐用年数のことです。法定耐用年数は資産の種類や構造、用途に応じて定められています。例えば、木造住宅は22年の法定耐用年数が定められているので、購入や新築にかかった費用を22年間分割して経費として計上することができます。

2-2.譲渡所得税の計算で減価償却を計算

マンションを売却した場合、売却で得た収入を譲渡所得として翌年の確定申告で申告する必要があります。その際、減価償却の計算も必要です。

譲渡所得とは、マンションなど不動産を売却したことにより得た所得に対して、課税対象となる所得のことです。課せられる税金を譲渡所得税といいます。

ただし、マンションの成約価格全額が譲渡所得として認められるわけではなく、成約価格からマンションの取得費と売却にかかった費用(譲渡費用)を差し引いた額で申告します。この取得費の算出には減価償却費の計算が必要です。

減価償却費が正しく計算できていないと、譲渡所得税の額にも影響が出る可能性があります。次の章で計算方法を詳しく解説します。

取得費=土地の購入代金+(建物の購入代金-減価償却費)

3. マンションの減価償却の計算方法

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では、減価償却費の計算方法を理解しましょう。減価償却費の計算は、マンションが事業用かそうでないかによって大きく異なります。この章では、非事業用(居住用や別荘など)のマンションのケースを主軸として解説します。

3-1.マンションの減価償却の計算式

建物の減価償却費は毎年計算して申告するものですが、非事業用のマンションの場合、売却する際に初めて計算することが多いでしょう。そのため、マンションを売却した際などに、取得費を計算する目的で減価償却費を求める場合は、減価償却費相当額として簡易的に計算します。計算式は次のとおりです。

減価償却費相当額=建物の購入代金×0.9×償却率×経過年数

事業に使われていないマンションの場合、減価償却費は上記の式で計算できます。

償却率は、建物の構造によって異なります。また、経過年数はマンションを取得してから売却時までの年数を表すもので、築年数とは異なるので気を付けましょう。6ヵ月以上の端数は1年、6ヵ月未満の端数は切り捨てて計算します。

3-2.マンションの償却率

前述した計算式でマンションの減価償却相当額を求める場合、構造別に次の償却率を当てはめて計算しましょう。

建物の構造 償却率
木造、合成樹脂造 0.031
木造モルタル造 0.034
鉄骨鉄筋コンクリート、鉄筋コンクリート 0.015
れんが造、石造、ブロック造 0.018
軽量鉄骨造(骨格材4mm超) 0.020
軽量鉄骨造(骨格材3mm4mm以下) 0.025
軽量鉄骨造(骨格材3mm以下) 0.036

マンションは、鉄筋コンクリート造や鉄骨鉄筋コンクリート造、軽量鉄骨造の建物が多いです。売買契約書や購入時のパンフレットなどで構造を確認しましょう。

3-3.マンションの耐用年数

マンションを含めた資産には、構造別に耐用年数が定められています。非事業用の場合、通常の耐用年数の1.5倍の年数が設定されており、より長い期間控除が可能です。

非事業用建物の構造別の耐用年数は次のとおりです。

建物の構造

耐用年数

木造、合成樹脂造

33年

木造モルタル造

30年

鉄骨鉄筋コンクリート、鉄筋コンクリート

70年

れんが造、石造、ブロック造

57年

軽量鉄骨造(骨格材4mm超)

51年

軽量鉄骨造(骨格材3mm4mm以下)

40年

軽量鉄骨造(骨格材3mm以下)

28年

耐用年数を過ぎると、減価償却を行えないため控除額が少なくなり、税額が高くなります。しかし、減価償却費として計上できるのは建物取得費の95%が上限です。耐用年数を過ぎた古いマンションでも、購入費用のうち5%は取得費として控除できます。

特に都市部では、耐用年数が過ぎたマンションが売買される事例も多いです。残りの法定耐用年数が短いからといって、売却ができないわけではありませんが、減価償却費が計上できなくなるというデメリットはあります。

4. マンションの減価償却費のシミュレーション

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続いて、解説した計算方法をもとにいくつかのケースで減価償却費の計算をシミュレーションしてみましょう。

4-1.居住用マンションの売却

まず、新築で購入した居住用のマンションのケースで考えてみましょう。条件は次のとおりです。

マンション構造:鉄筋コンクリート造
マンションの購入価格:4,500万円(建物:3,000万円、土地:1,500万円)

経過年数:32ヵ月

このマンションの場合、経過年数は32ヵ月で端数が6ヵ月に満たないため、3年として計算します。鉄筋コンクリート造のマンションの償却率は0.015なので、計算式は次のとおりです。

減価償却費=3,000万円×0.9×0.015×31215,000

4-2.購入価格の内訳がわからない居住用マンションの売却

マンションによっては、売買契約書に購入時の内訳が記載されておらず、建物のみの価格がわからないケースもあります。主に中古マンションに多いです。内訳がわからない場合は、固定資産税評価額から建物価格を求めることができます。

固定資産税評価額:3,000万円

土地評価率:60%

マンション構造:鉄筋コンクリート造

経過年数:78ヵ月

この条件の場合、固定資産税評価額からマンションの建物価格を計算すると、3,000万円×60%で1,800万円とわかります。経過年数の端数は8ヵ月なので8年として計算すると、減価償却費は以下のようになります。

減価償却費=1,800万円×0.9×0.015×8194.4万円

5. 減価償却をして確定申告するポイント

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では、マンションを売却して確定申告をする際に気を付けたいポイントを解説します。減価償却以外にも、確定申告ではさまざまな数字を扱います。間違いがないよう、正確に申告しましょう。

5-1.取得費がわかる売買契約書等の資料を探す

取得費は、正確な情報を記載しましょう。取得費によって税額も変動するので、損をしないためには正しい資料を見つける必要があります。マンションの取得費は、購入の売買契約書などの資料で確認できます。

取得費がわからない場合は、売却時の成約価格の5%を取得費として計上します。例えば、マンションを2,000万円で売却した場合の取得費相当額は100万円です。たとえ本来はマンションの取得に3,000万円ほどかけていても、取得費が明確にわかる書類がなければ100万円で計算しなければなりません。損をしないためにも、不動産の取得費は明確にして計上しましょう。

売買契約書以外には、住宅ローンの契約書や購入時のパンフレットなどの書類でも取得費を確認できる場合があります。また、取得費が成約価格5%に満たない場合は、5%相当額を取得費として計上が可能です。

5-2.漏れなく控除や特例を適用

マンションの売却益に対して課税される譲渡所得税は、確定申告をおこなうことで控除や特例が適用できる場合があります。利用条件を満たせば、譲渡所得税の支払いがなくなることもあるので、ぜひ利用したい制度です。

主な控除や特例として、居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例・マイホームを売ったときの軽減税率の特例・損益通算及び繰越控除の特例の3つを紹介します。

制度

概要

主な要件

3,000万円の特別控除の特例

譲渡所得から最高3,000万円までを控除できる

・マイホームの売却であること

・住まなくなってから3年以内に売却すること
・買い換えや交換の特例適用を受けていないこと

・売主と買主が親子や夫婦など特別な関係でないこと

軽減税率の特例

譲渡所得の税率を通常よりも低く計算できる

・マイホームの売却であること

・住まなくなってから3年以内に売却すること

・売主と買主が親子や夫婦など特別な関係でないこと

・所有期間が10年を超えていること

損益通算及び繰越控除の特例

売却で損益が発生した場合、他の所得から差し引ける
また、控除しきれなかった分は売却の翌年以降3年繰り越せる

・マイホームの売却であること

・住まなくなってから3年以内に売却すること

・売却の翌年末までに50㎡以上の家を取得する、または住宅ローン残債が残る家を売却して損益が生じた場合

これらの特例を適用させるには、確定申告が必要です。損をしないためにも正しく確定申告しましょう。

5-3.オンラインで確定申告書を作成

確定申告はオンラインがおすすめです。確定申告をオンラインでできるe-Taxなら、必要項目を入力するだけで、減価償却など必要な計算は自動で完了します。計算ミスのリスクがないので、初めての申告でも安心です。また、自宅などで申請できるので、税務署に訪れる手間や時間を短縮できます。

e-Taxでは、売却した土地や建物の所在地・成約価格・不動産種別・面積・利用状況などの入力が必要です。フォームに従って入力を続けるだけなので、売買契約書などの必要な資料を見ながら簡単に申告書が作成できます。

5-4.確定申告の間違いは早期に修正

必要な情報がわかっていれば、確定申告はさほど難しいものではありません。しかし、入力ミスや思い違いなどで間違いが発生することもあります。確定申告の間違いに気が付いたら、できるだけ早く修正しましょう。

申告ミスで、納税額が実際よりも少ない場合は、特に早めの行動をおすすめします。納税額を偽ったと判断されると、過少申告加算税や延滞税が発生する可能性があるためです。

また、納税額が実際より多い場合も、正しい金額で申告し直すと、払いすぎた分が還付されます。さかのぼって修正できるのは5年以内なので、気が付いた時点で修正申告をしましょう。

6. マンションの減価償却でよくある疑問

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最後に、マンションの減価償却についてよくある疑問に答えました。

6-1.土地は減価償却されない?

土地は、時間経過によって価値の低下が見込まれない資産として扱われます。つまり、減価償却資産として認められません。

マンションで減価償却が認められるのは、建物部分と設備部分に限られます。そのため、取得費を計算する際は、土地の購入費用は差し引かれる経費や控除がなく、そのまま反映されます。

6-2.リフォームは減価償却に反映される?

リフォーム・リノベーションなど、マンションの資産価値を向上できるような改修をした場合でも、耐用年数が増えるようなことはありません。つまり、非事業用のマンションでは、リフォーム費用は確定申告などへの影響はないと考えてよいでしょう。

ただし、事業用のマンションの場合、リフォームなどの費用は減価償却として計上することができます。このように、資産価値を向上できるような修理・改良を資本的支出といいます。向上できた分の価値を新たな資産の追加取得と捉え、かかった費用に対して減価償却として処理が可能です。

6-3.減価償却の不明点はどこに相談?

減価償却を含め、税金や確定申告に関してわからない点があった場合は、最寄りの税務署に相談することをおすすめします。確定申告期間の前に、無料で税務相談を受け付けている場合もあります。

不動産売却に際して不明点が出た場合には、売却を依頼した不動産会社に相談するのもおすすめです。売却状況などを知っているので、相談しやすいでしょう。

例えば不動産会社に仲介を依頼すると、提携する税理士による税務相談サービスを無料で受けられる場合があります。面談の他、電話・オンラインでも相談できて安心です。また、定期的に税理士による個別税務相談会や、税金について学べるセミナーを開催している場合もあります。

7. まとめ

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マンションを売却した翌年には、確定申告が必要です。所得額を正確に申告するためには、減価償却費の計算も正しくおこなう必要があります。

減価償却は、普段の生活では耳なじみのない言葉なので、初めてマンションを売却するような人にとっては難しく感じられるかもしれません。しかし、取得費などがわかる必要な書類を集めれば、専門的な知識がなくても申告できます。特にオンライン申告のe-Taxなら、ややこしい計算を自動でおこなってくれるので安心です。

本記事を参考に、マンションの取得や売却にかかった費用を正しく理解・申告して、税額で損をしないようにしましょう。

※本記事は2024513日時点の情報をもとに記載しています。法令等の改正により記載内容について変更となる場合がございますので予めご了承ください。

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