確定測量の費用の相場はいくら?必要性から負担の軽減方法まで紹介

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確定測量の費用の相場はいくら?必要性から負担の軽減方法まで紹介

確定測量とは、土地の境界を正確に確認する目的でおこなわれる測量です。主に土地や戸建てを売却するときなどにおこなわれます。馴染みのない言葉なので、費用面を不安に思う人もいるでしょう。

本記事では、確定測量にどの程度の費用が発生するのか、相場を解説します。確定測量の概要から必要性、費用の節約方法まで紹介するので、ぜひ参考にしてください。

目次

1. 【独自調査】確定測量の費用に関するアンケート

本記事では、確定測量を依頼したことがある人を対象に、確定測量にかかった費用についてアンケート調査を実施しました。

【独自調査】確定測量の費用に関するアンケート

アンケートの結果、もっとも多かったのが「3060万円」の63%、次いで「30万円未満」の25%となっており、確定測量は60万円未満で実施できるケースが多いことがわかりました。

測量する土地の面積、形状、周辺環境によっても費用は変動しますが、おおよその目安として、確定測量の費用相場について知っておいて損はないでしょう。

2. 確定測量の基礎知識

確定測量の基礎知識

はじめに、確定測量について基本的な知識を解説します。基礎から解説しますので、確定測量をはじめて依頼する人は参考にしてください。

2-1.測量の種類と特徴

そもそも測量とは、専門家が地形や地物を測って数値を求め、図を作成する作業のことです。作成した図を測量図といいます。測量は、確定測量・現況測量の2種類に分けられます。それぞれの特徴は次のとおりです。

種類

確定測量

現況測量

特徴

土地の現況を正確に把握する

土地の現況を大まかに把握する

境界の特定

特定する

特定しない

面積の算出

正確に計算

おおまかに計算

隣地・道路所有者の立ち会い

必要

不要

利用場面

土地の売却・分筆登記・地積更正登記など

新築時・相続税の算出など

現況測量では、現地の状況を調査・測量して図面にします。すでに登記所で保管されている地積測量図といった資料を参考に、土地の現況を大まかに把握する測量です。確定測量の前段階としておこなわれることが多く、仮測量とも呼ばれます。

一方確定測量は、隣接する土地と境界を明らかにし、土地の形状や面積を正確に把握する目的でおこないます。境界確定測量と記載されることも多いです。現況測量で作成した図面に基づいて、隣地の所有者や公道所有者(国・地方公共団体など)が立ち会って境界を確定させます。

※関連記事:不動産の登記簿謄本とは?取得方法や記載内容を解説!

2-2.確定測量は誰に依頼する?

確定測量を実施するなら、土地家屋調査士に依頼します。土地家屋調査士は測量の他、不動産に関する登記手続きをおこなうことができる国家資格です。土地家屋調査士事務所なら、境界を確定させるための測量や登記手続きなどをまとめて依頼できます。

また、測量士も測量をおこなう国家資格という面では同様です。しかし、測量士には登記を伴う測量を依頼することはできません。基本的に測量士は、国や自治体などの依頼を受けて公的な測量をおこないます。登記手続きには対応していないので、家の売却を考えている場合などは利用できません。

※関連記事:不動産登記とは?かかる費用や証明書の取得方法

3. 確定測量の費用の相場

確定測量の費用の相場

確定測量の費用は、官民査定を受けるかによって大きく異なります。官民査定とは、国や自治体などが所有する土地と接している場合に、所有者の代表として役人などに立ち会いを依頼することです。境界を確定したい土地が民間の土地や私道のみに囲まれている場合は官民査定を実施しないので、費用が安くなる傾向があります。詳しい相場をそれぞれの場合でみてみましょう。

3-1.官民査定を受ける場合

境界を明らかにしたい土地の隣接地が、国や都道府県・市町村などの所有である場合、役人などの立ち会いが必要です。立ち会い依頼をする関係上手続きも複雑になりやすいため、官民査定がある場合のほうが費用が高い傾向にあります。

官民査定を受ける場合の費用相場は60万〜80万円ほどです。多くの土地に接している場合や、所有者が多い場合、所有者が遠方に住んでいる場合など、手続きに手間がかかるほど費用も高くなりやすいです。

3-2.官民査定を受けない場合

一方、隣接地が民間所有のものだけだった場合の料金は、30万〜50万円程度が相場です。官民査定に対して民民査定と呼ばれます。

民民査定の場合も所有者の立ち会いは必要ですが、合意さえ得られれば手続きが円滑に進みやすいです。登記のための手続きも複雑にならないため、費用は比較的安い傾向にあります。

4. 確定測量の費用が変動する要因

確定測量の費用が変動する要因

確定測量の料金は、官民査定をするかどうか以外の要因でも変動します。境界を確定したい土地の状況や形状などによっては、費用が高くなる可能性もあるので把握しておきましょう。

4-1.隣接する土地の数の多さ

隣接する土地が多いと、立ち会いする人が増えるため費用が高くなりやすいです。境界を確定するには、原則隣接する土地の所有者全員の立ち会いが必要です。各所有者とのスケジュール調整が必要になり、その分手間がかかるため料金も高くなる傾向があります。

また、隣接する土地を複数の名義人が所有している場合も料金が上がりやすいです。原則名義人全員が立ち会う必要があり、立ち会いが難しい場合には委任状を用意する必要があります。名義人それぞれにスケジュール調整や委任状の用意を依頼するなどの業務が発生するため、土地家屋調査士の業務が増え、費用もかかりやすいです。

4-2.土地の面積・形状

土地の広さや形も測量料金に影響します。

まず、単純に面積が広い土地のほうが測量作業が多く料金が上がりやすいです。また、広い土地は隣接地が増え、立ち会い調整の手間がかかります。

ただし、土地が見通しの良い四角形の整形地の場合は料金が上がりにくいです。反対に凸凹した土地や、遮蔽物・障害物が多い土地は、測量が高難度になるため費用が上がる傾向にあります。

4-3.地域性・周辺の相場

依頼する土地のエリアによっても料金が変動することがあります。基本的に、土地の価値が高い地域のほうが料金も上がる傾向にあります。首都圏や都市部の土地の境界を確定する場合は、料金も高くなります。

なお、土地家屋調査士事務所が多い地域では、ニーズを上げるために利用しやすい料金に設定した事務所が見つかることもあります。複数の事務所がある場合は料金を比較してみるとよいでしょう。

さらに、自治体によっては測量費用を負担してもらえる地域もあります。地域によっても価格差があるので、調べてみてください。

5. 確定測量を受ける必要がある人とは

確定測量を受ける必要がある人とは

確定測量は、不動産を売却する場合に必ず受けなければならないわけではありません。この章では、確定測量を受けたほうがよいケースを3つ紹介します。

5-1.早期に不動産を売却したい人

不動産をトラブルなく円滑に早期売却したい人は、確定測量を受けたほうがよいでしょう。

境界が不明瞭な土地を売却すると、引き渡した後に隣接地の所有者とトラブルが発生する可能性があります。そのため、測量が済んでいない土地は、購入後のトラブルを懸念する人から購入を避けられるかもしれません。

測量図が存在していても、境界杭やプレートがなかったり、撤去されていたりすることもあります。多くの人に購入を検討してもらい、早期に不動産を売却したいなら、確定測量を受けるとよいでしょう。

5-2.不動産売却で損をしたくない人

境界が不明瞭な土地は、面積を正確に測ることができません。境界を定めた時期が古い場合などは、登記簿に記載された面積よりも実際の土地のほうが広いケースも多いです。少しでも広い面積で登記をして、高い価格で売りたいなら確定測量を受けるとよいでしょう。

ただし、実際の面積のほうが狭いケースや、測量に費用がかかるといったデメリットもあります。確定測量の費用分が賄えるほどの金額で売却できるかはわからないので、安易な利用は避けましょう。見積もりを依頼して検討したり、売却を依頼する不動産会社に相談したりすることをおすすめします。

5-3.過去の確定測量から年月がたっている人

過去に境界を確定してから年月がたっている人も、売却の機会に確定測量を受けましょう。

現在の測量は、技術の進歩によって精度が高くなっています。測量機器や計算機が開発・改良され、過去の測量と異なる数値が算出されることも多いです。過去に測量して登記した情報よりも、面積が広くなるケースがあるので、売却で損をしないという側面でもメリットがあります。

また、境界確定から年月がたつことで、境界杭や境界標が劣化したり紛失したりする可能性もあります。後のトラブルを避けるためにも、確定測量を受けましょう。

6. 確定測量の費用負担の軽減方法

確定測量の費用負担の軽減方法

続いて、確定測量の費用を節約する方法を解説します。測量費用が軽減できれば、売却後に手元に残るお金も多くなります。試せそうな方法があれば実践してみてください。

6-1.複数の事務所で見積もり結果を比較

土地家屋調査士への依頼費用は、事務所によって異なります。少しでも安い金額の事務所を利用するために、複数の事務所に見積もりを依頼して比較しましょう。

特に近隣に複数の事務所がある地域では、価格競争が起きて安い料金を設定している事務所が見つかる可能性が高いです。見積もりは無料で受けられるので、見積もり結果を比較して安いところを探してみましょう。

事務所によっては、オンラインで簡単に見積もりができる場合もあります。見積もりには土地面積などの入力が必要なので、売買契約書など面積がわかる書類を用意しておくと便利です。

6-2.買主に一部負担の交渉

基本的に測量費用は売主が負担することが一般的です。しかし、交渉によっては買主に一部負担を依頼することもできます。

売主側が測量を依頼し、費用を支払うケースが多いですが、売主が支払わなければならないと定められているわけではありません。確定測量をして、正しい境界や面積がわかることは、買主にとってもメリットです。購入希望者が現れた際に、他の条件と合わせて費用の一部負担を交渉してみるとよいでしょう。

特に、土地の条件などで費用が高額だった場合は、売却後の生活に影響が出る可能性もあります。不動産会社の担当者と相談しながら、必要であれば買主に交渉しましょう。

6-3.自治体独自の補助金・助成金を活用

売却したい土地を管轄する自治体によっては、測量費用に対して補助金や助成金が利用できるかもしれません。また、事業者向けに地籍整備推進調査費補助金が利用できるケースもあります。このような制度を活用すると、費用負担の軽減が可能です。

補助金や助成金については、まずは不動産会社の担当者に相談しましょう。その地域の不動産売却に実績がある不動産会社なら、補助金や助成金といった制度にも精通しています。また、自治体の公式サイトを調べたり、窓口に問い合わせたりすることもできます。

7. 確定測量を受ける際の疑問

確定測量を受ける際の疑問

記事の最後に、確定測量を受ける場合によくある疑問をまとめました。

7-1.確定測量にかかる期間は?

確定測量にかかる期間は?

確定測量は、申し込みから登記申請が完了するまで3ヵ月程度かかることが多いです。測量や測量図の作成だけなら、1ヵ月ほどで完了する場合もあります。

一般的な確定測量の流れと、それぞれにかかる期間は次のとおりです。

  • 土地家屋調査士に依頼する:12日程度
  • 資料・必要書類を提出:1週間程度
  • 土地の事前調査:12週間程度
  • 現況測量:12週間程度
  • 境界立ち会いと境界標設置:1ヵ月程度
  • 測量図・書類作成:1ヵ月程度
  • 登記申請:2週間~1ヵ月程度

官民査定をおこなう場合や、立ち会いのスケジュール調整が難航した場合など、状況によっては3ヵ月以上かかることも珍しくありません。余裕を持って早めに相談することをおすすめします。

7-2.境界のトラブルはどこに相談する?

もし、境界の確定や測量に関してトラブルが発生したら、まずは売却を依頼している不動産会社に相談しましょう。こうしたトラブルに備えて、信頼できる不動産会社を選ぶことも必要です。

また、土地家屋調査士の事務所や法務局、自治体役所などに相談することもできます。

境界のトラブルというと例えば、隣地の所有者と境界線の認識が異なる・隣地から所有物が土地に侵入する越境問題などが挙げられます。特に越境問題は、民法上の問題に発展することも多いです。自身で解決しようとせず、不動産会社など相談できる機関を頼って解決を図りましょう。

7-3.確定測量の費用はいつ支払う?

基本的に確定測量は売却前に済ませておくので、支払いも売却前におこなうことが多いです。その場合、売却で得た収入を支払いに充てられないため、自己資金から支払う必要があります。買主に一部負担を求める場合でも、まずは立て替えが必要です。

ただし、不動産会社によっては土地家屋調査士事務所と提携していることもあります。提携した事務所の場合、費用の支払いを引き渡し時に合わせてもらえることも多いです。費用面で不安がある場合は、不動産会社に相談しておくとよいでしょう。

※関連記事:不動産売却に必要な費用とは?仲介手数料などの計算方法などを解説

8. まとめ

まとめ

確定測量は、土地の境界を定めて、土地の形や面積を正確に記録する目的でおこないます。費用

や手間が発生しますが、不動産を売る人にもメリットがあります。不動産売却をトラブルなく進めるためには、確定測量を実施したほうがよいでしょう。また、正確な面積を調べることで、登記簿よりも実際の面積のほうが広いことがわかり、売却金額が高くなるケースもあります。

費用相場は、30万~80万円程度です。ただし、自治体や国が保有する土地と接している場合や、土地の形状や状況によって、費用が上がることもあります。

なお、確定測量は土地家屋調査士に依頼しましょう。不動産会社によっては、提携する土地家屋調査士事務所があることも多いので、測量の必要性も含めて相談すると安心です。

※本記事は2024512日時点の情報をもとに記載しています。法令等の改正により記載内容について変更となる場合がございますので予めご了承ください。

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