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古い家を売る際には、そのままでは売りづらい場合があるため、解体やリフォームをするなども、家を高く売る選択肢のひとつとなります。この記事では、古い家を売りたい方に向け、古い家の定義や売却方法、売却しやすくするための工夫、売却時の税金関連について詳しくまとめました。
古い家を放置するリスクや、税制優遇措置など、古い家を所有している方が知っておくべき重要な情報も網羅しています。この記事を読めば、古い家を売る際の疑問を、すっきり解決できるでしょう。
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1. 古い家とはどんな家?
古い家と判断する理由には、実際に使用が可能かどうか、客観的な数値に当てはめる、一般的に古いと感じる感覚的なものなど、下記のようにさまざまな判断基準があります。
物理的耐用年数
物理的耐用年数とは、実際の使用に耐えうる年数のことで、建物本来の正常な使用に耐えられるかの基準です。同じ築年数の家でも、手入れや補修を施した家と維持管理をしなかった家とでは、物理的耐用年数が大きく異なります。また、築年数の浅い建物が自然災害に遭って全壊した場合、物理的耐用年数はゼロに近くなります。
経済的耐用年数
経済的耐用年数とは、その不動産に需要があり不動産市場のなかで流通するかどうかが基準です。かなり古い家でも、需要がある限りは価値があるといえます。
また、正常な建物機能を回復させるために多額の修繕費がかかる場合や、周囲の建物と比較して競争力を失った場合も、経済的耐用年数が著しく低下していると判断されます。
法定耐用年数
法定耐用年数とは、所得税や法人税の計算をする際に、不動産の減価償却費を計算するために国が定めた指数です。下記のように、建物の構造と用途によって年数が決まっており、その建物が実際に使用できる状態かどうかと、法定耐用年数に関連はありません。
建物の構造や用途 |
法定耐用年数 |
木造・合成樹脂造/店舗用・住宅用 |
22年 |
れんが造・石造・ブロック造/住宅用 |
38年 |
金属造/店舗用・住宅用 ・骨格材の肉厚が3mm以下 ・骨格材の肉厚が3mmを超え、4mm以下 ・骨格材の肉厚が4mmを超える |
19年 27年 34年 |
鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)・鉄筋コンクリート(RC造)/住宅用 |
47年 |
引用(一部抜粋):耐用年数(建物/建物附属設備)|国税庁
築年数
築年数とは新築からの経過年数ですが、こちらもその建物が実際に使用できる状態かどうかとは関連ありません。木造なら、築20年が古い建物か判断するひとつの目安でといわれていますが、築30年・築40年・築50年の建物に対して感じる「人のイメージや感覚」によって、古さの基準が異なります。
家の外観や周辺の景観
家の外観や周辺の景観は、その家や周辺の家および周辺の景観を含む「家並みや街並み」の美しさを左右します。その家の築年数が古くても周辺の景観に溶け込んで同調しているなら、景観と調和したクラシカルな雰囲気として、プラスイメージにつながります。
家の性能
家の性能とは、家の構造や強度、電気ガス水道設備、耐震や断熱の性能、間取りや内装などの仕様が、劣化しているかどうか、もしくは時代遅れかどうかを基準とします。
2. 古い家を売る方法・6つ
古い家を現状のままで売る方法のほか、リフォームしてから売る場合や、不動産仲介ではないサービスを活用して売る場合などがあります。
現状のままで売る
古い家を現状そのままの状態で、不動産仲介会社へ依頼して中古戸建てとして売却します。中古戸建ての需要は、自分で居住するためにだけではありません。例えば、購入後に古い家を解体して新築住宅の建設用地にする場合や、古家投資家が購入後にリフォームをして賃貸用物件として貸し出す場合などがあげられます。
解体して更地で売る
家の劣化がひどくて使えそうにない場合、もしくはリフォームに多額の費用がかかる場合には、古い家を解体して、更地にしたほうが売りやすいかもしれません。ただし、人口減少が著しい過疎地のようなエリアは新築住宅需要が低いため、更地にしても売れないことがよくあります。
建物の解体費用は、木造の一戸建てなら延べ床面積に対して坪単価5万円が相場で、延べ床面積が100平米(30坪)なら約150万円かかります。しかも、道が狭くて重機が入れないなど解体の難易度が高い場合はさらに高額になり、解体費用自体も年々上昇傾向にあります。
家が建っている土地よりも、更地のほうが固定資産税は高くなります。売れないリスクもあるため、安易に解体せず、まずは不動産会社へ相談してみましょう。
瑕疵担保保険を付保して売る
既存住宅売買瑕疵保険は、中古住宅の検査と保証がセットになった保険です。購入後に見つかった欠陥の補修費用は、住宅販売事業者へ保険金として支払われ、欠陥の補修に充てられます。
専門の建築士が保険加入前に検査を行うため、既存住宅(中古住宅)の購入者は、検査を経た中古戸建てを安心して購入できるメリットがあります。なお、既存住宅売買瑕疵保険の保証期間は1〜5年で、検査料と保険料など合計で6~15万円の費用がかかります。
リフォームして売る
古い家でも、リフォームによって外観や内装、間取り、住宅設備などを刷新すれば、住宅の耐久性や利便性が向上し、売りやすくなります。ただし、リフォーム費用を売買価格へ転嫁して、リフォームにかかった費用を全額回収するのは困難です。また、リフォーム内容が買主の好みと合わない場合、思うように売れなくなる可能性もあります。
リフォームをすべきかどうか、どの程度まで施工すべきかなども、不動産仲介会社へ相談してからリフォームを行うようにしましょう。
空き家の譲渡サービスで売る(200文字程度)
下記は、一般的な不動産仲介会社ではない団体や企業の空き家譲渡サービスです。
空き家バンク(自治体) |
物件所有者からの依頼で、空き家情報を利用希望者へ紹介するサービス。 |
空き家マッチングサービス |
無償譲渡(贈与契約)や有償譲渡(売買契約)のサポートをするサービス。 おもに以下の3つに分類されます。 ・業者が当事者間の譲渡取引を補助する(非仲介) ・業者が当事者間の売買取引を仲介する(売買仲介) |
空き家専門ポータルサイト |
空き家バンク情報を転載して、自治体外の広域へと情報提供するサービス。 |
いずれもWebサイトに空き家や空き地の情報を掲載して、問い合わせをしてきた取得希望者に対して詳しい情報を提供して契約をとりまとめるサービスです。
当事者が直接取引する場合は、サービス料が不要です。有償の場合、マッチングと契約締結を行う業者へコンサルティングフィーを支払う場合と、通常の売買仲介を行う業者へ仲介手数料を支払う場合があります。
買取業者へ売る
古い家を一般の方が購入するのではなく、不動産会社が買主として売主から直接購入する取引です。古い家を売る際の、仲介と買取の手順は以下のとおりです。
仲介
価格査定>媒介契約の締結>売却活動の開始>売買契約の締結>引渡(残代金受領)>確定申告
買取
価格査定>ーーーーーーー>ーーーーーーー>売買契約の締結>引渡(残代金受領)>確定申告
また、買取のメリットとデメリットは以下のとおりです。
買取のメリット
・一般に売りに出さないため短期間で売却が完了
・早ければ内覧の数日後には売買契約や決済が完了
・売却後に不具合が見つかっても売主の責任は免除
・残置物処分、清掃、リフォーム不要で現状のまま売却
・売却したことを近所に知られずに済む
買取のデメリット
・買取価格は相場価格の50〜70%ほどに安くなる
ちなみに、令和6(2024)年7月1日から、低廉な(格安の)空き家などに限り、仲介手数料の上限額が以前より引き上げられています。
3. 古い家を売らずに放置するリスク・5つ
古い家の維持管理を怠って放置していると、劣化が進み、さまざまなリスクが増えます。
環境悪化リスク |
・衛生面(カビ・木部の腐敗・シロアリや昆虫被害、小動物の糞尿)や治安の悪化(放火・不法投棄・不法侵入、犯罪の拠点)を招く ・つる草や下草、雑木が繁茂して、荒廃した外観により周囲の景観を損ねる |
維持管理リスク |
・維持管理にかかる時間・手間・費用は、古い家を所有し続ける限りずっとかかる |
家屋倒壊リスク |
・換気がされないと、湿気やカビが充満して家の腐食が進む ・雨水が浸入すると、さらに腐食が進んで屋根や壁が崩れ落ちる ・家が倒壊すれば、近隣の家や通行人へと危険が及ぶ |
税の増額リスク |
・自治体から管理不全空き家・特定空き家に認定され、改善勧告がくる |
問題先送りリスク |
・相続によって、放置空き家問題という負の遺産を次世代へ引き継ぐ ・相続によって共有者が増えれば、相続や処分の手続きが複雑になる ・売却価格は下がり、荒廃した空き家は買い手が付かず処分できなくなる |
上記のように古い家を放置することで起こるさまざまなリスクは、先送りするほど状況が悪くなる一方であり、デメリットしかありません。
4. 古い家を売りやすくするポイント・7つ
古い家には新築や築浅物件ほどの商品価値がないため、購入者の気持ちを汲みとらず無策で売却をしていては売れません。古い家を少しでも売りやすくするために、以下の7つのポイントを意識してみましょう。
家の印象を良くする
購入希望者は内覧の際、家が適切に手入れされているかどうかに目が行く方も多いです。例えば、ガラス窓の汚れ、排水口やカビやペットの臭い、家具や建具のホコリ、虫の死骸や蜘蛛の巣、伸びた草や植栽、家のなかや周囲に多くの荷物が残っているなどは注意が必要です。客観的に見て清潔さが感じ取れるレベルを維持しましょう。
安易に解体しない
老朽化した家ならないほうが良いと、自分の感覚だけで安易に解体するのはおすすめしません。解体してしまって再建築ができない、もしくは、その規模の建物が建てられない可能性もあります。
また、更地にすれば建物の固定資産税はかからなくなりますが、土地に適用されていた「小規模宅地の特例」が外れ、土地の固定資産税が約4倍に戻ります。まずは、不動産会社へ解体時期を相談しましょう。
更地の相場価格を知る
購入者が、古い家を新築用地として購入するなら、購入後に家を解体して更地にするでしょう。つまり、相場が4,000万円の土地のうえに解体費用が200万円かかる古家が建っているなら、土地を3,800万円で購入したいと考えるはずです。
このように、住宅用の更地の相場価格を調べておいて、古家付きで売る場合は相場価格から解体費用を差し引いた価格を基準にするといった、金額の調整が必要になります。
境界や各種協定を明確にする
隣地所有者との境界ポイントの認識が一致していること、越境がない、もしくは簡単に除去できない工作物の越境を双方が合意しているなど、隣地所有者との間に揉めごとがない事実は、買主の安心感につながります。
また、私道の通行権または私道の掘削同意などに関する近隣との協定書を締結しているなら、その文書と経緯の申し送りができるように準備しておきましょう。
ホームインスペクションを行う
買主は、専門家の客観的な判断が示されることによって現在の家の状況が正確に把握でき、修繕箇所の優先度が分かることで、リフォーム内容や予算が立てやすくなります。
売主は、あとから不具合について指摘を受けて対応を迫られる「契約不適合責任」のリスクが低減回避できるでしょう。一方で、費用がかかることや、不具合が見つかった場合は、値下げ交渉の理由にされやすいため注意が必要です。
自治体の補助金制度を確認する
自治体によっては、古家解体や耐震リフォームで補助金が出ることがあります。注意すべきは、解体後に申請しても許可が得られないことや、補助金額は解体費の20〜50%で上限額が80万円まで、毎月先着5名までなど、自治体ごとにルールが異なります。事前に役所の担当窓口へ相談に行って、手続きにミスがないよう注意しましょう。
5. 古い家を売る際の税金
古い家を売って利益が出た場合、その利益に対して不動産の所有期間などに応じた所定の税金がかかります。
譲渡所得税
不動産を売却した年の1月1日時点で、その不動産を所有していた期間が5年を超えるか否かによって、以下のように譲渡所得税の種類と料率が異なります。5年以上保有してから手放せば、税率が半分程度になりお得です。
種別 |
分類 |
所得税 |
住民税 |
税率計 |
長期譲渡所得 |
所有期間5年超 |
15.315% |
5% |
20.315% |
短期譲渡所得 |
所有期間5年以下 |
30.63% |
9% |
39.63% |
長期譲渡所得・短期譲渡所得の判定基準は、不動産を売却した年の1月1日時点で所有期間が5年あるかないかです。さらに、2037年までは所得税額に2.1%を乗じた「復興特別所得税」もかかります。なお、親からの相続で取得した不動産を売却した際の譲渡所得税計算に関する所有期間は、親の所有期間を引き継いで良いことになっています。
譲渡所得税の計算方法
譲渡所得税を計算する際の課税譲渡所得金額は以下の計算式で算出します。
課税譲渡所得金額 = 収入金額 - ( 取得費 + 譲渡費用) - 特別控除額
例えば、取得費3,700万円、譲渡費用50万円、売却価格1,000万円、特別控除0円とすると、課税譲渡所得金額は以下のとおりです。
課税譲渡所得金額 = 売却価格 ー(取得費 + 譲渡費用)ー 特別控除
= 1,000万円 ー(3,700万円 + 50万円)ー 0万円
= 1,000万円 ー 3,750万円
= 0円 ※課税譲渡所得金額が0円のため、譲渡所得税は0円。
6. 古い家を売る際に活かせる税制優遇措置
古い家を売却した際に、適用できる税制優遇措置があれば、ぜひ活用しましょう。
低未利用地を売る際の100万円特別控除
売却価格が500万円以下になるような古い家の売却では「低未利用土地等を譲渡した場合の長期譲渡所得の特別控除」が使えるケースがあります。
特別控除が使える要件とは、以下のとおりです。
2020(令和2)年7月1日〜2025(令和7)年12月31日までに、都市計画区域内にある一定の低未利用土地等を500万円(一定の場合は800万円)以下で売却した場合 |
また、低未利用土地等の定義とは、以下のとおりです。
低未利用土地等とは、居住の用、事業の用その他の用途に利用されておらず、またはその利用の程度がその周辺の地域における同一の用途もしくはこれに類する用途に利用されている土地の利用の程度に比し、著しく劣っている土地や当該低未利用土地の上に存する権利のことをいいます。 |
抜粋:No.3226 低未利用土地等を譲渡した場合の長期譲渡所得の特別控除|国税庁
マイホームを売る際の3,000万円特別控除
マイホーム(居住用財産)を売ったときは、所有期間の長短に関係なく譲渡所得から最高3,000万円まで控除ができる「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例」が使えます。
3,000万円特別控除は、原則として売却直前まで自分が住んでいれば利用ができ、以前住んでいたがもう住んでいない家屋でも、住まなくなってから3年後の12月31日までに売れば適用可能です。
さらに、住まなくなったマイホームを解体した場合、その家を出てから3年後の12月31日までもしくは解体後1年以内の、いずれか早い日までに売却した場合に利用可能です。
相続した空き家を売る際の3,000万円特別控除
売却した古い家が、マイホームではなく相続した空き家の場合でも、要件を満たせば3,000万円特別控除が利用可能です。課税譲渡所得金額の計算式は、マイホーム売却時の3,000万円特別控除と同じです。
課税譲渡所得金額 = 売却価格 ー(取得費 + 譲渡費用)ー 特別控除3,000万円
建物の要件は、1981(昭和56)年5月31日以前に建築された家、かつマンション以外の建物であること、かつ相続開始時点で被相続人以外は住んでいない、というものがあります。そして、相続開始日の3年後の12月31日までに家を売却しなければなりません。
また、相続空き家の3,000万円特別控除を利用するには、耐震リフォームを施してから売る、または解体して更地で売る、のどちらかになります。
7. まとめ
古い家といっても築年数が古いだけでなく、物理的に使用できない家や、需要がなくなった家、見た目やイメージなどによって判断がわかれます。古い家は商品力が乏しいため、購入者の意向を汲みとって売れやすい条件を増やせるよう、客観的な視点が必要です。
売りづらいからと古い家を放置すれば、環境悪化や倒壊によって周囲へ迷惑をかけるばかりか、税金が上がったり、次世代へ問題を繰り越したりしてしまいます。老朽化した古い家でもポイントを押さえれば、売れないことはありません。
ただし、高値を願うばかりに、売りどきを逃すといったことがないようご注意ください。売却の際、知らなければ適用できない税制優遇措置がないよう、今から知識を付けて古い家の売却準備を始めましょう。
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宅地建物取引主任士、管理業務主任者
司法書士事務所に2年、大手不動産管理会社に5年、個人顧客を中心に不動産賃貸・売買の仲介営業会社に7年間従事。また、外資系金融機関にも2年間従事し個人顧客へ金融資産形成や相続税の節税アドバイスなどを担当。現在は不動産/金融業界での経験を活かし、記事を執筆にもあたっている。
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