初めて不動産を売却するときは何から始めればいいのかわからないものです。そこで、ここでは不動産売却の流れについてご紹介していきます。不動産売却の流れを知っているだけでも安心してスムーズに進めることができるでしょう。
1. 不動産を売却するときの流れとは
不動産売却の流れは「売却の相談」から始まり「売却物件の調査・査定」「媒介契約」「売却活動の準備」「売却活動」「売買契約」「契約後の手続き」、そして「決済・引渡し」で完了します。以下で詳しく解説していきます。
STEP1 | STEP2 | STEP3 | STEP4 | STEP5 | STEP6 | STEP7 | STEP8 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
STEP1売却相談 | STEP2物件の調査・査定 | STEP3媒介契約 | STEP4売却活動の準備 | STEP5売却活動 | STEP6売買契約の締結 | STEP7契約後の手続き | STEP8決済・引渡し |
STEP1 売却相談
不動産の売却はまず不動産会社への売却相談から始まります。新聞の折込やポスティングチラシ、インターネットなどの広告を頼りに、FAX相談、WEBフォームなどから問い合わせてみるとよいでしょう。もちろん気になる不動産会社があれば、その不動産会社へ直接電話やメールで問い合わせ・訪問してみるのもよいでしょう。
また相談の際「売却物件購入時のパンフレット」「売買契約書」「重要事項説明書」など物件に関する資料を持参すると話がスムーズです。
不動産会社には周辺での売却実績や依頼した場合どういった活動をするのかを聞いておくと後々依頼するときの判断材料になります。
STEP2 物件の調査・査定
不動産を売却するには物件の現在の市場価値を知ることが重要です。そのためには不動産会社へ物件の査定を依頼します。査定は複数の不動産会社に依頼することができます。
査定ではまず物件に関する確認と調査を行い、周辺の類似する物件の取引相場を参考にして査定額を算出します。
査定にあたって確認・調査する項目について以下が例になります。
- 所有者など物件の権利関係
- 土地や建物の状態
- 周辺環境
- 住宅ローンの状況や売却理由 など
不動産と売主についてさまざまな点を確認・調査します。それらを踏まえて経済動向や周辺の取引相場を参考に不動産会社の実績や経験から査定額を算出します。
また、査定には大きく分けて「机上査定」と「訪問査定」があります。「机上査定」では実際に現地を見ることなく、周辺の取引事例などから机上で査定します。
一方の「訪問査定」は「机上査定」で価格の概算を算出した後、現地で実際の物件を見て査定を行います。実際に現地に訪問することから訪問査定と呼びます。訪問査定では机上査定では加味されなかった実際の物件状態などを考慮して、より状況に則した査定額を算出します。
STEP3 媒介契約
査定の結果を受けて売却してもよいと判断したら、 通常は査定を依頼した不動産会社に売却の仲介業務を依頼し、不動産会社と媒介契約を締結します。
媒介契約には「専属専任媒介」「専任媒介」「一般媒介」という3種類の媒介契約があり、それぞれ契約内容に違いがあります。
「専属専任媒介」と「専任媒介」は契約できる不動産会社が1社に限定され、契約の有効期限は最長3カ月となっています。また「専属専任媒介」では媒介契約締結日から5営業日以内に指定流通機構(通称「レインズ」と呼ばれる登録業者のみ利用できる不動産情報システム)に登録して1週間に1回以上依頼者に報告することが義務となっており、「専任媒介」ではそれぞれ7営業日以内、2週間に1回以上の報告が義務となっています。
「専属専任媒介」では依頼者が自分で取引相手を見つけた場合でも、媒介契約をした仲介会社を必ず経由しなければならない点が「専任媒介」とは異なります。
一方「一般媒介」は、複数の不動産会社に媒介(仲介)を依頼できますが、指定流通機構への登録や依頼者への報告の義務がありません。
そのため、しっかりと情報公開や報告をしてもらいたい場合は「専属専任媒介」または「専任媒介」を選ぶほうが安心です。さらに、専属専任媒介や専任媒介で依頼した場合は、売却に関連したハウスクリーニングや荷物の一時預かりなど売主にとっては売却しやすくなるさまざまなサービスを受けることができます。
種別 | 概要 | 備考 |
---|---|---|
専属専任媒介 | 概要契約できる不動産会社が1社に限定され、契約の有効期限は最長3カ月 | 備考依頼者が自分で取引相手を見つけた場合でも、仲介会社を必ず経由しなければならない |
専任媒介 | 概要契約できる不動産会社が1社に限定され、契約の有効期限は最長3カ月 | ― |
一般媒介 | 概要複数の不動産会社に媒介(仲介)を依頼できる | 備考指定流通機構への登録や依頼者への報告の義務がない |
なお、不動産会社の選ぶ際の基本的なポイントは売却活動について報告・連絡・相談といったビジネスの基本をしっかりと守ってくれるかどうかです。
また不動産の売却にあたっては、「不動産会社の拠点(支店)が多いこと」や「社内のネットワークがしっかりしていること」、「自社ホームページが充実していること」など購入希望者へ物件の情報が届きやすく、アクセスしやすい体制が整っている会社を選ぶことも重要です。
加えて、専属専任媒介や専任媒介の形式で仲介業務を依頼した際、受けることのできるサービスも見逃せないポイントになります。仲介業務の依頼先や媒介契約の種類を選ぶときには、物件査定を依頼する段階から、提供されるサービスや実際の対応をよく見て判断するようにしましょう。
STEP4 売却活動の準備
媒介契約を締結した後、いよいよ売却活動が始まります。売却活動中は、購入を検討する人が室内を見学しに訪れるようになりますが、そのときに慌てないよう売却活動前に準備しておきたいことがあります。
物件の購入を検討する人に購入してもらうには、やはり物件を気に入ってもらわなければなりません。そのためには物件見学の際の印象が非常に大切になります。特に第一印象は重要なので、室内の清掃や片付け、庭の手入れなどを少し念入りに行って魅力を感じてもらえるようにしましょう。
また、せっかく購入を検討する人が物件の見学を希望しているのに、売主の都合で見学できないということになると早期の売却の機会を失ってしまうことにもなりかねません。そこでできるだけ週末は予定を空けられるようにスケジュールを事前に調整しておくというのも大切です。
ほかにも、住宅ローンの残債と売却物件に設定されている抵当権の抹消手続きについて金融機関に確認しておくとよいでしょう。物件を買主に引き渡すには住宅ローンの完済と同時に抵当権を抹消しなければならないため、その事前準備となります。さらに、マンションであれば管理費や修繕積立金の支払い方法や状況などを確認することも準備のひとつです。これらの情報は、まとめて媒介契約を依頼する不動産会社に伝えておく必要があります。
STEP5 売却活動
売却活動の準備が整ったら、不動産会社は指定流通機構(レインズ)や自社ホームページ、不動産ポータルサイト、チラシなどさまざまな媒体で物件情報を公開します。指定流通機構への登録は不動産会社にお客を付けてもらうことを目的としていますが、自社ホームページやチラシ、ダイレクトメールなどは直接購入希望者へ情報を届けることを目的としています。また、自社の顧客向けネットワークなどから顧客を見つけることや物件担当者が近隣に訪問営業を行うこともあります。
一方、売主も募集中に購入希望者の内覧(室内の見学)などに積極的に協力することも重要です。例えば内覧では室内を見栄えよくするために清掃・片付けする、日程もできるだけ見学者に合わせるなどできることは協力するようにします。
STEP6 売買契約の締結
売却活動が実を結び、購入希望者から不動産会社に購入申込書(「買付」とも呼ぶ)などの書面が提出されると正式な購入申込みとなります。申込書の記載内容によっては価格など条件面で交渉が必要なこともあります。
正式に申込みが入り、取引条件について売主・買主間で合意に至ったら「売買契約」となります。
売主として売買契約時に準備しておくものとしては「権利証(登記識別情報通知)」「身分証(免許証など)」「固定資産税納税通知書(または固定資産税評価証明書)」「土地建物の図面」「建築確認済証・検査済証」「マンションの管理規約」などさまざまなものがあります。必要なものの詳細は、不動産会社の担当者からの案内に従って準備しましょう。
売買契約当日は、基本的に売主・買主・媒介する不動産会社が揃って行います。
当日の流れは、契約に先立って宅地建物取引士が買主に重要事項説明書を交付・説明を行います。その際「物件状況確認書」と「付帯設備表」という書面も買主に交付しますが、これらの書面には、売主が不動産の状況について知っていることを正確に告知し記載するようにします。契約時に不具合などを買主に告知しておくことで未然にトラブルを防ぐことに繋がります。
重要事項説明後は契約の説明を行います。契約説明は主に売買条件の確認となりますので、売主も内容に問題がないか、しっかりと確認しながら説明を受けるようにしましょう。
契約内容に問題がなければ、契約書への売主買主双方の記名・捺印となります。
その後、事前に決めた手付金の授受を行います。手付金は売買金額の5%~10%程度となることが多いようです。また、不動産会社にもよりますが契約の時点で仲介手数料の半分を支払う場合があります。
- 宅地建物取引士が買主に重要事項説明書を交付・説明
- 契約の説明
- 事前に決めた手付金の授受など
STEP7 契約後の手続き
売買契約の締結後、住宅ローンの残債がある場合は売却物件に抵当権が設定されているため、その抹消の手続きを金融機関に依頼します。その他、引っ越しの準備や決済に向けた必要書類の準備なども並行して行います。
決済に向けて準備するものとしては「権利証(登記識別情報通知)」「実印」「印鑑証明書」「抹消登記費用」「仲介手数料」「引き渡す物件の資料」などがあります。こららは、契約時と同様に不動産会社の担当者から案内されるので漏れのないように準備しましょう。
また、物件の引き渡しに向けて、引っ越しを済ませるのはもちろん、物件の補修やクリーニングなど契約時に買主との間で取り決めたものがあれば、その状態にしなければなりませんので、その準備もしっかりとしておきましょう。
STEP8 決済・引渡し
決済・引渡しの日は売主買主双方で相談して決定します。売却物件の売買代金残金の授受、固定資産税などの税金やマンションなら管理費や修繕積立金など金銭の清算を行うことを「決済」といいます。
決済・引渡し当日は、売主・買主・仲介する不動産会社の担当者のほか、司法書士が同席することが一般的です。司法書士には売主から買主へ名義を移転する「所有権移転登記」や売主の「抵当権抹消」、買主の「抵当権設定」などの登記手続きを行ってもらいます。
また、当日の流れとしては司法書士が売主・買主双方の本人確認を行った後、所有権の移転登記等に必要な書類の確認を完了したところで清算を含めた金銭の授受を行います。
買主が住宅ローンを利用する場合はそのローンの実行を待ちます。売主指定の口座にお金が振り込まれ、入金確認が取れたら決済は完了となります。
その後、物件の鍵や関係する書類をすべて買主に引渡します。一般的には、物件の引渡しが完了したことを確認するために「引渡確認証」など書類を取り交わして引渡しが完了となります。
最後に、仲介した不動産会社へ仲介手数料を支払います。なお、通常は司法書士がこの後同日中に各種登記手続きを行います。
- 司法書士が売主・買主双方の本人確認
- 所有権の移転登記等に必要な書類の確認
- 清算を含めた金銭の授受
- 物件の鍵や関係する書類をすべて買主に引渡
- 仲介した不動産会社へ仲介手数料を支払い
2. まとめ
不動産を売却する際はまず不動産会社に相談することから始まります。その後、物件の査定をし、媒介契約を締結します。媒介契約を締結したら売却活動を行い、購入希望者から購入の申込みが入った際には、契約条件の調整を行います。売主・買主双方で合意に至ったら、売買契約を締結します。
売買契約後は、住宅ローンの残債がある場合、抵当権の抹消手続きを行います。最後に、決済・引渡しへと進んで不動産の売却が完了です。今回紹介した流れを理解してスムーズに不動産売却を進めましょう。また、不動産売却に関するよくある質問をまとめていますので、下記記事も参考になさってください。
不動産サポートオフィス 代表コンサルタント
横浜国立大学卒業後、神奈川県住宅供給公社に勤務。その後不動産仲介会社等を経て、独立。現在は、自宅の購入、不動産投資、賃貸住宅など個人が関わる不動産全般に関する相談・コンサルティングを行う。その他、不動産業者向けの企業研修や各種不動産セミナー講師、書籍、コラム等の執筆にも取り組んでいる。
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