3.保有するときの税金
【1】不動産所得の概要
不動産を賃貸している場合には、その賃料収入は不動産所得として所得税の課税対象となります。また、その年の所得税額は、不動産所得に給与所得等の他の所得を合算して総合課税とされます。
【2】不動産所得の計算方法
不動産所得の金額=(1)総収入金額-(2)必要経費
収入金額に含まれるもの |
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必要経費に含まれるもの |
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【3】減価償却について
建物、建物付属設備、構築物及び器具備品(以下「建物等」)は、時の経過とともに老朽化して価値が減少します。建物等の取得価額をその価値の減少に比例してその使用可能期間に配分してそれぞれの期間の必要経費とすることを減価償却といいます。この使用可能期間に当たるものとして法定耐用年数が法令で定められています。ただし、一定の場合には、建物等の取得に要した費用をその取得価額とせずに、その取得をした年に全額必要経費とすることができます。なお、土地については、減価償却という概念はありません。
【4】中古資産を取得した場合の取扱いについて
中古資産を取得した場合にも減価償却をする必要があるのだが、その使用可能期間は法定耐用年数ではなく、その取得した日以後の使用可能期間として見積もられる年数を適用することができます。また、使用可能期間を見積もることが困難な場合には、次のとおりに簡便的に算定した年数を適用することができます。
【5】青色申告の特典について
青色申告を選択すると税務上の特典を受けることができます。ただし、その不動産賃貸が次のいずれかを満たす事業規模である場合に限ります。
不動産貸付けが事業的規模か否か |
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要件 | 控除額 | |
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1 |
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65万円 |
2 | 上記①②を満たすこと | 55万円 |
3 | 上記①②以外の場合 | 10万円 |
青色事業専従者給与の特典を受けるための要件 |
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【6】損益通算について
不動産所得を計算して赤字になった場合には、その赤字を一定の順序で他の所得と通算することができます。例えば、給与所得が400万円で、不動産所得の赤字が300万円の場合には、その年の課税所得は100万円となります。ただし、その赤字のうち、土地等を取得するための借入金の利子に相当する部分の金額等については、他の所得と通算することはできません。
不動産を購入時にかかる印紙税・不動産取得税など、売却時にかかる所得税・住民税など、保有をするときにかかる固定資産税・都市計画税などのほか、受けることのできる控除や特例などを一覧やケーススタディを交えて分かりやすくご案内します。