お役立ち情報
2024年度の税制改正では、不動産市場の活性化や住まいの質の向上を目的とした改正がなされました。住宅ローン控除制度やリフォーム減税制度に目を向けると子育て世帯への優遇措置が講じられているほか、認定住宅等の新築等をした場合の所得税の特別控除制度については所得金額の要件を引き下げるなど、低所得者層が多い若年層に対しての配慮がなされており、昨今の少子高齢化の社会情勢が税制にも反映されています。また、カーボンニュートラルの実現や災害への対策といった政策的な観点から、固定資産税、不動産取得税及び登録免許税の特例措置が延長されるとともに、一定の要件を満たす住宅等に対してはこれらの税目においてそれぞれ優遇措置が講じられております。
【1】子育て世帯に対する住宅ローン税制の据え置き措置
住宅ローン減税制度においては、2024年に入居となる新築住宅等(※1)について借入限度額が縮小されております。一方で、子育て世帯・若年夫婦世帯(※2)については、昨年の水準が据え置かれる優遇措置が講じられております。
※1 新築住宅・買取再販
※2 「19歳未満の子を有する世帯」又は「夫婦のいずれかが40歳未満の世帯」
【2】既存住宅のリフォームに係る特例措置の拡充・延長
既存住宅を耐震・バリアフリー・省エネ・長期優良住宅化のリフォームに対する所得税・固定資産税の特例措置がいずれも2年間延長されました。また、所得税においては、子育て世帯等が子育てに対応した住宅へリフォームを行う場合の工事が追加され、標準的な工事費用相当額の10%が所得税から控除されることになりました。
〔子育てに対応した住宅の例〕
【3】固定資産税の各種特例措置の延長
固定資産税においては、従前の各種特例措置が延長されており、土地にかかる固定資産税の負担調整措置及び条例減額制度は3年間(令和6年4月1日~令和9年3月31日)並びに新築住宅に係る減額措置、省エネ性能等に優れた住宅に対する減額期間の優遇措置及び既存住宅の一定のリフォームに対する減額措置はそれぞれ2年間(令和6年4月1日~令和8年3月31日)延長されております。
【4】登録免許税
住宅用家屋の所有権保存登記等に係る登録免許税及び住宅取得資金の貸し付け等に係る抵当権の設定登記に対する登録免許税の税率の軽減措置について、適用期限が令和9年3月31日まで3年間延長されます。
また、所得税や固定資産税と同様に、優良住宅等に対する税率の優遇措置についても、現行措置が3年間(令和9年3月31日まで)延長されております。
【5】その他の改正
①住宅取得等資金の贈与に係る贈与税の非課税期限延長
直系尊属(※)から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税措置及び相続時精算課税制度の特例について、適用期限が3年間(令和6年1月1日~令和8年12月31日)延長されました。
※直系尊属:贈与を受ける者の、父母・祖父母等
通常、相続時精算課税制度においては、贈与者の年齢は60歳以上と定められておりますが、本制度は、相続時精算課税制度の特例措置として、一定の要件を満たせば、贈与者の年齢が60歳未満であっても適用することができます。ただし、相続時精算課税制度は一度選択した場合には、その贈与者からの贈与については、贈与者の相続が発生するまで取り消すことはできません。
②不動産取得税の軽減措置の延長
土地の取得については、従前より不動産取得税の軽減措置が取られておりましたが、土地の取引件数は依然として低水準を推移していることから、現行の軽減措置が3年間延長されました。また、冒頭でも述べましたカーボンニュートラルの実現に向けて、一定の要件を満たす優良住宅等に対する不動産取得税の優遇措置についても現行措置が2年間延長されております。
不動産を購入時にかかる印紙税・不動産取得税など、売却時にかかる所得税・住民税など、保有をするときにかかる固定資産税・都市計画税などのほか、受けることのできる控除や特例などを一覧やケーススタディを交えて分かりやすくご案内します。