不動産税金ガイド

2.売却するときの税金

ケーススタディ-2

併用住宅を売却してアパートを取得する場合

  • Q 10年前に取得した併用住宅(東京都23区内に所在する1階部分店舗(100m2)・2階部分住宅(100m2)・土地面積100m2)を3億円で売却し、調布市内において4億5,000万円でアパート(土地面積400m2)を取得し、私は息子の家に同居することにしています。税金はどうなりますか。なお売却に係る費用は次の通りとなります
    売却費用 取得費 土地建物の取得費合計:2,000万円
    仲介手数料 売却代金の3%:900万円
  • A 併用住宅を売却したときの税金は、居住用部分については3, 000万円の特別控除と低率分離課税の適用があり、事業用部分については特定の事業用資産の課税の繰り延べの適用があります。
    今回の場合、居住用部分と事業用部分とを床面積の比率で分ける必要があり、ここでは1階の店舗と2階の住宅の面積割合が50%ずつとなります。なお、居住用と事業用の売却代金及び売却費用は次の通りとなります。
    居住用
    売却額 3億円の50% 1億5000万円
    売却費用 取得費 ① 土地建物の取得費合計の50%:1,000万円
    ② 売却代金の5%:750万円
    ③ ①>②∴1,000万円
    仲介手数料 売却代金の3%:450万円
    事業用
    売却額 3億円の50% 1億5000万円
    売却費用 取得費 ① 土地建物の取得費合計の50%:1,000万円
    ② 売却代金の5%:750万円
    ③ ①>②∴1,000万円
    仲介手数料 売却代金の3%:450万円
    居住用部分については、3,000万円の特別控除と低率分離課税を適用することができます。

    一方、事業用部分1.5億円については、大変有利な買いかえができます。今回の事例では所有期間が10年以上の既成市街地内にある住宅を売却し、既成市街地外にあるアパートを取得することから、下記図の①又は②のいずれの要件を満たします。このため、売却益のうち80%までは課税の繰り延べをすることができます。ただし、土地については、譲渡した土地の面積の5倍までしか課税の繰り延べを行うことができません。

    なお、今回の事例では調布市内の物件を例として記載しましたが、これが23区内である場合には課税の繰り延べができる割合は70%、三鷹市のうち一定の区域である場合には75%となります。
    譲渡資産 買い換え資産
    既成市街地等(※1)内にある土地等又は建物で譲渡の日の属する年1月1日において所有期間が10年を超えるもの(適用期間:2023(令和5)年12月31日) 既成市街地外にある土地等又は建物
    土地等又は建物で譲渡の日の属する年1月1日において10年を超えるもの(適用期間:2023(令和5)年3月31日) 土地等でその面積が300m2以上のもの又は建物
    ※1 既成市街地等とは次の地域をいいます。特定の区域が既成市街地に該当するかは各自治体へ問合せを市確認してください。
    首都圏 東京都 23区・武蔵野市の全域
    三鷹市の特定の区域
    神奈川県 横浜市・川崎市の特定の区域
    埼玉県 川口市の特定の区域
    近畿圏 大阪府 大阪市の全域
    守口市・東大阪市・堺市の特定の区域
    京都府 京都市の特定の区域
    兵庫県 神戸市・尼崎市・西宮市・芦屋市の特定の区域
    中部圏 愛知県 名古屋市の特定の区域
計算例
居住用部分(10年超所有なので低率分離課税を適用)
売却益
  • ① 売却額 1億5,000万円
  • ② 売却費用 1,000万円+450万円=1,450万円
  • ③ 特別控除 3,000万円
  • ④ ①-②-③=1億550万円
納税額
  • ① 6,000万円以下の部分 6,000万円×14.21%=852万6,000円
  • ② 6,000万円超の部分(1億550万円‐6,000円)×20.315%=924万3,325円⇒924万3,300円
  • ③ ①+②=1,776万9,300円(A)
事業用部分
売却益
  • 売却額 1億5,000万円<アパートの取得価額 4億5,000万円
  • ① 売却額 1億5,000万円×(1-80%)=3,000万円
  • ② 売却費用 (1,000万円+450万円)×(1-80%)=290万円
  • ③ ①-②=2,710万円
納税額 2,710万円×20.315%=550万5,365円=550万5,300円(B)
居住用と事業用部分の税額合計
今回の納税額 (A)+(B)=2,327万4,600円

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・当サイトの内容は、2023年4月1日現在の法令にもとづいて作成したものです。
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