東日本大震災以降、マンションの耐震性への関心が高まっています。大きな資産であり、家族が不安なく安全に暮らすためも、耐震性はマンション選びの重要なポイントの一つです。
購入を検討しているマンションの構造や躯体の耐久性、地震対策の設備などをしっかりと確かめておきましょう。
地震対策の3つの構造(耐震構造・免震構造・制震構造)
新しく建てられるマンションは1981年に定められた建築基準法の「新耐震基準」に基づく地震対策が施されています。震度5程度の地震でも建物に損傷を受けないようにし、震度6程度の地震の場合は建物の倒壊を防ぎ、中にいる人の安全を確保されるように基準が定められています。
耐震基準をクリアしているマンションでも、構造によって違いがあります。耐震性を高めるために、マンションでは主に「耐震構造」「免震構造」「制震構造」という3つの構造のいずれかに分類されます。
耐震構造
柱や梁、壁など建物の躯体全体で、地震の揺れに対抗する構造。
免震構造
建物と地盤の間に「免震ゴム」と呼ばれる免震装置が使用され、建物と地盤を切り離し、地震の揺れが建物に直接伝わることを防ぐ構造。
制震構造
建物内に「ダンパー」と呼ばれる振動軽減装置を設置し、地震のエネルギーを受け止め分散させることにより、揺れを小さくする構造。
構造躯体の耐久性(コンクリートの強度)
構造躯体を支える材料の中でも大切なのがコンクリートの耐久性です。構造躯体が長持ちしなければ安心とはいえないため、しっかりと確認しておきましょう。
柱、梁、床などの構造躯体をつくる材料は、コンクリートと鉄筋。コンクリートは、打設当初は強いアルカリ性の性質をもち、鉄筋が錆びるのを防いでいます。しかし、年月が経つにつれ、中性化し、内部の鉄筋が錆びやすくなっていきます。
鉄筋を覆っているコンクリートの厚さのことを「かぶり厚」といいます。これが不足していると鉄筋が酸化し、鉄筋コンクリートの強度が低下してしまいます。
他にもコンクリートの水セメント比(50%以上)や、コンクリート強度、鉄筋の配筋方法なども躯体の耐久性に影響があります。どのような設計基準を設けて、耐久性に配慮しているかを確かめておきましょう。
安全に関わる防災対策
建物の構造だけでなく、防災面での地震対策も重要です。
まず、室内の安全性を確保するには、収納庫などから物が飛び散るのを防ぐ耐震ラッチや、揺れを感じた際に、ガスが自動で止まるマイコンガスメーターなども地震対策の設備として重要です。
さらに、玄関枠が変形してもドアが開く耐震ドア枠や耐震扉になっていると、いざという時に安心です。また、エレベーターの地震対策についても最寄階への自動停止機能や、非常用バッテリー付きのマンションが増えてきました。
さらに、災害時にマンションの住民が利用する水、非常食、毛布、簡易トイレなど生活必需品を保管する防災倉庫が設けられているかも確認しておくとよいでしょう。